2020年12月1日火曜日

第2536話 マリナーラとラザーニャ

飲む・食う・歌うの、さんとも・O戸サンが

散歩のお供をすると言い出した。

歩き出したら簡単には中断しない長距離散歩に挑むとは

この命知らずめ、と思いつつも連れてゆくことにする。

“さんとも”が“よんとも”に転じた瞬間である。

 

この日は東急池上線沿いに往くつもり。

正午に旗の台駅で落ち合い、まずは腹ごしらえ。

中原街道に出てこの辺りだなとキョロキョロするも

目当ての店は見当たらず、代わりに交番が目の前にあった。

渡りに舟(最近はこればっかり)と訊問じゃなかった、

訊ねると懇切丁寧に教えてくれた。

 

「どうもありがとうございました」

「いえ、はい、すみません」

すまないのはこっちのほうなのに謝られちゃったヨ。

旗の台交番のお巡りさん、あらためてお礼を申します。

「お世話になりました」

 

ビルの2階の「ルーティン・ダイニング」は

薪釜で焼くナポリ・ピッツァがウリのカジュアルイタリアン。

黒ラベルの生のグラスを合わせる。

通したのはピッツァ・マリナーラとラザーニャ。

 

最初にサーウされたオリーヴ油の浮く、

ミネストローネ風スープがアッチッチのチ。

サラダはサニーレタヅ、グリーンカール、ラディッキオ。

スーパーではトレビスとして売られているけれど

ラディッキオが正しい呼称。

トレビス(伊語はトレヴィーゾ)は似て異なるものだ。

 

マリナーラはトマト・ニンニク・オレガノだけの

チーズを使わぬシンプルなピッツァ。

それだけにピッツァイオーラ(ピザ職人)の腕が試される。

魚介も使われないがナポリの漁師たちに愛されたことから

マリナーラと呼ばれるようになった。

う~ん、当店のそれにはもの足りなさが残る。

 

ラザーニャもナポリの名物でなぜか日本人はラザニアと呼ぶ。

こちらも全体にゆるくパンチ力に乏しい。

ワンランク上を期待しただけにちと残念。

 

地番は品川区旗の台だが最寄り駅は大田区にある長原。

めったに来ない土地なので駅周辺を丹念に散策した。

日蓮上人が足を洗ったという洗足池を眺め、

石川台―雪が谷大塚―御嶽山―久が原と踏破してゆく。

 

東急池上線が同多摩川線と最も接近するのが

千鳥町と下丸子、両駅の間だ。

1年半ぶりの下丸子を一めぐりして千鳥町に到達した。

 

「ルーティン ダイニング」

 東京都品川区旗の台6-33-11 SPINACH HILL III 2F

 03-6426-2944