せっかく築地に出張っておいて手ぶらで帰るのもなんだし、
魚河岸をのぞく気になった。
小田原橋棟に着いた時点で閉館の15時まで15分しかない。
晴海通り側から入ってすぐ左の「菊市」に
小ぶりながらも良形の車子(蝦蛄)がワンケース残っている。
むかれたばかりのつぶ貝が4~5粒。
真鱈の白子はなじみの「吉池」のものより張りがあり、
鮮度の高さを証明していた。
奥へ進めど、まだ開け残っているのは
まぐろ屋ばかりが数店舗のみ。
うち1店で生わさびを2本買い、すぐに舞い戻った。
「菊市」はオネバさんとオネエさん、
二人体制で男っ気まるでナシ。
オネバさんに
「シャコは瀬戸内?」
「いえ、愛知です」
「あっそう、三河湾OK!」
上記3点すべて購入したところで
砕氷上に並ぶ2本の瓶詰めに目がとまる。
このわた&このこ、である。
どちらも千円ちょっとと、ずいぶん安い。
「オネエさん、これも貰おうかな」
「どちらですか?」
「このこのほうネ」
オネバさんにオネエさんを指しながら
「ついでにこのこ(娘)も貰っとこうか―」
「エッ? エヘッ、どうぞ、どうぞ!」
と来たもんだ。
帰宅後、缶ビールをグラスに注いで厨房に立つ。
およそ30分で整った晩酌のつまみはラップして冷蔵庫へ。
夕方のTVニュースを見、夕刊に目を通して一休み。
空腹感はなくとも本格的な晩酌に移行した。
食卓に並んだのは
①
ケースから出しただけの茹で車子
②
真子がれい昆布〆
③
真鱈白子ポン酢
④
長崎・佐世保特産の瓶詰海鼠子(このこ)
⑤ つぶ貝刺身
②は前夜の刺身の残りを自分で〆た。
以上をよく冷やした菊正樽酒と
手搾りのライムジュース、スペアミント、
金宮焼酎のモヒート仕立てで楽しむ。
今宵は車子・真子・白子・海鼠子(このこ)の子だくさん。
ん? つぶ貝が余計だろ! ってか?
何をおっしゃる読者サン、これとて立派な一つの子。
誰より可愛い、ひとツブ種ってネ。
「菊市」
東京都中央区築地6-26-1築地魚河岸小田原橋棟
03-6264-7110