千代田区・平河町の「天真」のカウンター
片側3席あるうちの左端に収まっている。
板橋区・小豆沢の「天鈴」では
花王石鹸のお月さんみたいに湾曲する、
1本カウンターのアゴの位置で右端だった。
老いたりとはいえ、J.C.も男の端くれ、
最近どういうわけか端っこが多い。
先客はカップルが1組で座ったばかり。
活海老野菜とほたて野菜を注文している。
店主が3人分まとめて天種を鍋に投入。
およそ10分で3つの漆器入り天丼が完成した。
おもむろにフタを開けると
やや大きめのめそっこが2匹並んでいる。
めそっこは穴子やうなぎの幼魚・若魚のこと。
いわゆるヤンガー・ジェネレーションである。
2匹はそれぞれ胴体を菜箸で両断されて4片。
なかなかの雄姿がそこにあった。
脇を固めるのは、グリーンアスパラ、ブロッコリ、
ズッキーニと緑の洋物トリオに
薩摩の雄・さつま芋、通称・丸十といった陣容。
味噌椀の具は絹ごし豆腐と油揚げ、吸い口は小ねぎだ。
さっそく1匹の下半身、
しっぽのほうを口元に運んでパクリ。
身肉は薄いがカリッと揚げ切られて好きなタイプ。
色濃い丼つゆは見た目よりしょっぱくないものの、
ごはんにもたっぷり掛かって多過ぎる気がする。
どの天丼にも多彩な野菜が同居するから
野菜自慢と見受けたが、きわめてフツーで
小豆沢の「天鈴」を上とみた。
味噌椀はとてもいい味を出している。
いったん奥の厨房に消えた店主が戻ってきて
「穴子天丼になってますネ、失礼しました」
「あっ、いえ、いえ」
外の看板を確かめてきたんだ。
まあ店主自ら看板の出し入れはしないから
今まで見る機会がなかったものと思われる。
2匹付けとはいえ、野菜たちが小片だし、
ごはんの量も控えめで、すんなり食べ終えた。
時刻は13 時半。
腹ごなしの散歩のルートを思い浮かべながら退店する。
会計は2970円也。
この地点からの東西南北は
東―ポチが裁かれるかもしれない最高裁がある隼町
西―ポチがチョンボしたホテルがある紀尾井町
南―ポチが追い出された永田町
北―ポチと仲良しのTV局があった麹町
以上の町々だが、どっちに転んでも、
いいことはなさそうだ。
いっそ帰ろかな・・・やれやれ。
「天真」
東京都千代田区平河町2-3-10
03-3222-1588