作曲家・中村泰士(ときには作詞も)に続いて
作詞家・なかにし礼(ときには作曲も)も亡くなった。
哀しむべし。
お二人については年が明けたらあらためて語りたい。
悪夢の令和2年も残すところ数日。
年末の築地場外市場に出向いた。
最後の訪れは昨年、大型10連休の初日だった。
築地魚河岸小田原橋棟3Fの「小田保」で
ホタテフライとカニクリームコロッケをつまみに
サッポロ赤星を飲んだ。
その節の場外は芋の子を洗うがごとし。
英語・スペイン語・韓国語が空中を飛び交い、
ひときわ喧しかったのはもちろん中国語。
此度は静かなもので、ほとんど誰も歩いちゃいない。
客を呼び込む店員の声だけが空しく響く。
それにしても海鮮丼屋の多いこと。
猫も杓子も海鮮丼の一つ覚え、いくら呼んでも客がいないから
海鮮丼じゃなくって閑散丼だネ、この有り様は―。
8年ぶりにくぐったのは焼鳥丼の老舗「とゝや」の暖簾。
はるか昔、ストックホルムの私設日本クラブで
手にした文芸春秋に作家の丸谷才一サンが
「食通しったかぶり」を連載しており、当店の紹介があった。
題して「春の築地の焼鳥丼」。
帰国後、直行したのは言うまでもない。
ボリューム少なめサービス丼(1100円)を通し、
ドライの中瓶をお願いした。
ビールとともに鳥の煮凝りがサーヴされる。
ありがたや。
どんぶりを構成するのはもも肉3枚、つくね2枚、もみ海苔。
これに焼き麩&かまぼこ入りのスープ、白菜漬けがつく。
ももは赤ん坊の手のひらサイズでプリプリと旨い。
つくねはミートローフ状のものを
斜めにスライスしてあり、こちらもイケる。
何度も利用しているが今回が最も美味しく感じた。
15年以上前、会社の部下たちと此処で忘年会を開いた。
鳥の水炊きを囲んだところ、期待ほどではなく、
「とゝや」は明るいうちに限るなと思った。
現在は昼のみの営業。
店主の住まいだった2階を改装し、客を入れるようになった。
コロナ禍にあってもそこそこに繁盛している様子が頼もしい。
魅力の薄れた築地場外で自信を持ってオススメできるのは
当店とすぐ裏手にある「てんぷら黒川」の2店。
次回は「黒川」で天丼にするつもりであります。
「とゝや」
東京都中央区築地6-21-1
03-3541-8294