2025年2月4日火曜日

第3725話 逢うが別れの はじめとは (その1)

1月末としては陽光うららかな暖かい日。
毎年7月には七夕祭りで賑わう、
かっぱ橋本通りをズンズン歩いて往った。

北上野二丁目の交差点でふと思い出す。
1月2日に遭遇した「大自然」なる、
不自然な屋号の日本そば屋のことをー。
豊富な品書きに割安な値付けが好印象。
近々来てみようとBMしたのだ。

今日はもう無理だが
再度の値踏みをしてみよう。
交差点を右折して15mほど。
行ってみてガッビ~ン!
何と、何と、ついでにもう一丁何と!
貼り紙に目を射抜かれた。

閉店のお知らせ
いつも当店をご愛顧頂き
誠にありがとうございます。
この度諸般の事情により、
今月、31日をもちまして
閉店する運びとなりました。
突然のお知らせとなり
お詫び申し上げます。
ご愛顧頂きました皆様に
心より感謝申し上げます。
大自然オーナー

1月31日といったら今日じゃないか!
虫の知らせとはまさにこのこと。
虫の知らせに導かれて
閉店のお知らせを目にしている。

もうあまり食べられないけど
本日が営業最終日じゃ、
見逃すわけにはいかない。
余力を振り絞って敷居をまたいだ。

店内は8割方埋まっている。
みんな別れを告げに来たんだろうか?
地元の常連客と思しき人が大半の様子だ。
中に交じって2人掛けに着卓した。

浅草だからビールは瓶も生もアサヒ。
中瓶をお願いするとき訊いてみた。
「お店は今日が最後なの?」
お運びのオネエさん応えて
「はい、そうなんです」
「ヨソに移転とか?」
「いいえ」
「しばらく休んで再開とかは?」
「ありません」

3年半の命が今、終わるのでした。

=つづく=