2025年2月5日水曜日

第3726話 逢うが別れの はじめとは (その2)

閉店してしまうお店を紹介しても
しょうがないんだけど、
やっぱり放っておけない。
素通り出来ないものがある。

ピアディーナなんか
食べなきゃよかったと思ったりしたが
「PANZEDINA」に寄ったからこそ
「大自然」に間に合ったともいえる。

あらためて品書きを手に取った。
店のオススメは2品で
温かい柚子おろしそばと
そば付きのしらす丼定食。
定食なんざハナからムリだ。
冷たい柚子切りだったら即決ながら
そばは冬でも(温)より(冷)が好き。

まずはビールのアテに
田楽こんにゃく&おしんこを発注した。
こんにゃくの田楽味噌が旨い。
おしんこの陣容は
岩下の新生姜、野沢菜、べったら漬け。
けしておざなりなものではない。

ともに破格の200円から店主の良心が伝わる。
量が少な目なのも J.C.好みだ。
きな粉をまぶしたわらび餅が2粒提供されて
これはデザートだろうネ。

よおし! もう1品いてまえとばかり、
イカソーメンを追加する。
こちらは380円だったかな?
本わさに近い偽わさで登場した。

宮城は塩釜の醸造元・佐浦の手になる、
浦霞の冷たいのを所望すると
しっかり正一合で供された。
どこを取っても閉店が惜しまれるほどに
佳いそば屋さんである。

締めくくりのもりそば(490円)は
中細のそばが皿盛りで出てきた。
薬味はさらしねぎと先刻のわさび。
つゆも気取りのない町場感あふれるもの。
満足してそば湯もちゃんといただいた。

”逢うが別れの始めとは”
歌の文句にあるけれど
出逢いと別れの同時襲来は儚すぎる。
近江敏郎が歌い出すのもむべなるかな。

  逢うが別れの はじめとは
  知らぬ私じゃ ないけれど
  せつなく残る この思い
  知っているのは 磯千鳥  ♪
   (作詞:福山たか子)

「別れの磯千鳥」の近江版は
1952年のリリース。
この曲には作詞者の福山たか子と
作曲者のフランシス座波にまつわる、
悲恋が絡むのだが書き始めたら
丸一話を費やしてしまうため、
興味のある方はググッて下さいまし。

「SOBA-HOUSE 大自然」
 東京都台東区北上野2-1-14
 惜しくも閉店です