J.C.は子どもの頃、
カレーをさほど好まなかった。
大人になって好きになったといえる。
こういう食べものってけっこうあるよネ。
鮨種の光りモノ、冷奴や鍋などの豆腐、
そして嫌いだった芋類に豆類。
自分の典型例はそんなところだ。
昔、たまに家で鮨の出前を取ると、
母親の玉子とJ.C.の小肌は
常に物々交換の対象となっていた。
大学生になってもそれは続いた。
今は鮨種で小肌が一番好き。
カレーに目覚めたのは
シンガポール赴任時代。
中国系住民が7割以上を占めるなか、
インド系は1割程度ながら
インド料理の水準は高いものがあった。
カレーはもとよりタンドゥーリも好きで
実によく食べた。
そんなカレーだが
近頃はタイカリーが気に入っている。
殊に緑の唐辛子を使った、
グリーンカレーを好む。
神保町シアターにほど近い、
「チャントーヤ」を見つけて以来、
短い間に4度も通ってしまった。
グリーンカレーが無いにも関わらず。
常に立て混むものの、
待っても15分かそこいら。
男女の比率は圧倒的に女性が多い。
日本のアジア系エスニックは女の天下で
オッサンはもっぱら焼き魚か煮魚にとんかつ、
あとは日本そばと相場が決まっている。
初回は無難にタイトルロールの
チャントーヤカレーをお願い。
即刻通したドライ中瓶に
コーン散らばるミニサラダが供された。
女性客を呼び込むのに
生野菜は不可欠とみえる。
ソースとライスが別盛りで登場。
具材はチキン・ナス・タケノコ。
てっぺんにパクチーが一葉鎮座している。
黄色いカリーを一匙口元に運ぶ。
ふむ、ココナッツはさして主張しないが
深い滋味を感じた。
(コイツは美味いや!)
思わず心の内でつぶやいた。
緩みゆく頬を実感していました。
=つづく=