「奥の細道」の出発点、千住大橋で
朝昼兼食したため、連想されたのが
下町・深川の芭蕉記念館と
芭蕉庵史跡庭園だった。
そして両者の中間点に位置する、
立ち喰いの「芭蕉そば」もだ。
都営大江戸線を森下駅で降りた。
駅前交差点の南西に出て
すぐ近くの深川神明宮に手を合わせる。
下町・深川の地名の由来となった、
深川八郎右衛門が伊勢神宮より、
分霊(天照大御神)を勧請して創建。
八郎右衛門は一帯の膨大な開拓に
大きく貢献した人物である。
此処は江東区常盤。
あの有名な「魚三酒場」も
森下店ではなく常盤店を名乗っている。
神明宮そばの居酒屋「三徳」と
深川めし「みや古」に行ってみた。
前者は7年前、後者は20年前に訪れた。
コロナ禍を乗り越えてなお、
営業を続けていることを慶びたい。
深川芭蕉通りと万年橋通りの交差点に
目当ての「芭蕉そば」の幟がはためく。
13時過ぎとはいえ、先客はゼロ。
もっと混んでると思ったがネ。
定員6名のカウンターの左端、
釜を仕切るオヤジさんの前に立ち、
タイトルロールの芭蕉そばをお願い。
店内を見回してもビールの札が無い。
ビールケースも見当たらない。
仕方ないからツルツルやったら
毎度お世話になってる、
牛めし屋に流れるとしよう。
でも、念のために
「ビールなんか無いですよネ?」
「いえ、ありますヨ」
「エエッ! じゃ、お願いします」
オヤジさん、ドライのレギュラー缶を
揚がった天ぷらのショーケースと
カウンターの隙間から滑らせながら
「夜勤明けのお客さんが飲みたがるんで」
「ですヨ、夜通し働いたあとの1杯は
最高ですもんネ」
「そう、そう」
芭蕉そばも隙間から出て来た。
ん? いろいろ浮かんでいる。
主役は厚焼き玉子で
脇にごぼうとにんじんの細切り、
いわゆるキンピラ揚げと
拍子木切りのさつま芋。
あとは小松菜にわかめと来たもんだ。
=つづく=