2025年2月28日金曜日

第3743話 バッタリ出逢った ソフトシェル

JR日暮里駅から山手線外回りに乗った。
行く先は決めていないが
今日は大田区か目黒区に行こう。
五反田で池上線かな?
目黒から目黒線でも構わない。
五反田を素通りして
隣りの目黒で日吉行きに乗り換えた。

田園調布の次の多摩川で
多摩川線に再び乗り換え、下丸子下車。
此処は大田区である。
かねて狙いを定めていた駅そばの食堂へ。
すると4卓のテーブルはみな埋まっていた。
他に2卓あるがグラス類やら荷物やら
いろいろ並んで整理整頓がなっちゃいない。

見るからにやる気のなさそうな爺さんが
「今、席が空いてなくてー」
「ハイ、それじゃまたあとで」
一応、下丸子のメインストリートを流す。
と或る中華料理屋の前で足が止まった。
多彩な菜譜は点心も豊富。
そうだ、フカヒレ餃子でビールといこう。

目が留まったのはソフトシェル・クラブ。
脱皮したばかりの殻の柔らかい蟹である。
シンガポール赴任時代はお世話になったけど、
日本では5年前にただ一度、
東武伊勢崎線・曳舟駅前の「上海飯店」で
唐揚げのチリソースを食べただけ。
其処は墨田区である。

当店では食べ比べと称して
2種のソースで味わえる。
此処で逢ったが百年目、
餃子をソデにして柔ら蟹に決めた。
運ばれ来たのは細かい賽の目オニオンの
ピリ辛炒めが載ったのと、
チリソースと天津ソースの中間みたいのが
掛かっているヤツ。
蟹本体は油で揚げてある。

ビールは生も瓶もサントリーのオンパレード。
仕方なくサントリー生の中瓶を発注した。
プレモルよりなんぼかマシなんでネ。

そこそこ美味しくいただいて会計は2330円也。
「新荘園」は下丸子の本店以外に
都内各地と鎌倉にも支店がある。

くだんの食堂に戻ると、客は一人もおらず、
爺さんがボ~ッと腰掛けていた。
何処でも好きなとこに座れと言われ、
ど真ん中の卓に落ち着き、ビールをお願い。

「お酒はないヨ」
「エエ~ッ! サンプルケースにあるじゃん」
そう、ケースにはキリンラガーと
サントリーオールド(通称ダルマ)が並んでる。
「あれはただ置いてるだけ」
何処の世界にこんな店があるんだヨ、ったく。

ダメだこりゃ!
憤然と席を立ち、出て来たのでした。

「新荘園 本店」
 東京都大田区下丸子3-13-20
 03-3758-7105