2013年7月12日金曜日

第619話 裕次郎も旭もアサヒ麦酒 (その1)

先週、ひかりTVで2本の日活映画を観た。
どちらも白黒で石原裕次郎の「錆びたナイフ」(1958)と
小林旭の「意気に感ず」(1965)。
もっとも前者には旭も脇役として出ている。

「錆びたナイフ」は小学一年生のときに母親と観た。
これについては以前どこかでふれたことがあるように思う。
そうだ、杉浦直樹が亡くなったときではなかったかな?
毒まんじゅうを頬張る杉浦の演技が子ども心にグサリ、
研ぎすまされたナイフのように突き刺さったのだった。
この作品、けっしてデキはよくないのだが、なぜか好きだ。
 ♪ 砂山の 砂を指で掘ってたら ♪
主題歌も心にググッと響く。

今回、観返すまで映画の舞台は
瀬戸内の岡山か広島の地方都市と思い込んでいた。
架空の街とはいえ、宇高市などといわれたら
第一感で宇高連絡船を連想してしまう。
かつて岡山・宇野駅と香川・高松駅を結んでいた鉄道連絡船だ。

ところが画面に西テツバスの停留所が登場。
瀬戸内に西鉄が走るわけはないから調べると、
舞台は福岡県の門司と判明した。
半世紀以上も勘違いしていたおのれのバカさにあきれたぜ。
まっ、しっかたなかんべサ。

さて、表題のアサヒ麦酒である。
主人公の裕次郎は「キャマラード」なるバーの経営者。
同時期に撮られた「俺は待ってるぜ」と似ているネ。
ちなみにキャマラードというのは仏語で同士、男友だちという意味だ。
バーの壁に日本の”SUNTRY”、フランスの”Marie Brizard”のパネル。
このリキュール・メーカーが
昭和30年代から日本に進出していたとは驚きだ。

「キャマラード」のビールはアサヒの大瓶。
スーパードライが生まれる30年も前のことで
垢抜けないラベルが常にカメラを向いている。
アングルが変わってもなぜかラベルはこっち向き。
カウンターの左側から右側にカメラがパンしても
必ずこっちを向いているんだからいやになっちゃう。

くだらんことに気づいたら最後、
映画の評価まで下がっちまったヨ。
そういえば旭がズベ公の白木マリを
バイクのうしろに乗っけて疾るシーンもヒドかった。
バックはモロにフィルム、交差点を曲がるとこだけ辛うじて実写。
往時の映画界はこんなもんだったんざんす。

=つづく=