2013年7月18日木曜日

第623話 男と女のいる小部屋 (その1) この歌詞が魅了する Vol.3

半月ほど前に紹介した「マンハッタンからのメール」。
盟友・K美子に励ましのメールを送ったら返信が届いた。
何でも彼女がスー・シェフを務めるフレンチレストラン、
「Lafayette」のメニューから因縁のブイヤベースが消えたんだと―。
結局は薬局でご愁傷さま。

さて、本日は”この歌詞が魅了する”、その第三弾。
題して「男と女のいる小部屋」である。
ジャン=リュック・ゴダールの「女と男のいる舗道」を
学生時代に観た覚えがあるが何が何だかよう判らんかった。
NHKの「あまちゃん」よりも理解に苦しんだ。

その点、邦楽の歌詞は、殊に演歌の歌詞は判りやすくてようござる。
1曲目は1971年に本人としては何度目かの、
五木ひろしとしては初めてのデビュー曲、
「よこはま・たそがれ」を取り上げる。

♪ よこはま たそがれ ホテルの小部屋
  くちづけ 残り香 煙草のけむり
  ブルース 口笛 女の涙
  あの人は 行って行ってしまった
  あの人は 行って行ってしまった
  もう帰らない             ♪
        (作詞:山口洋子)

日本TVの「全日本歌謡選手権」を10週勝ち抜き、
プロ再デビューの特典を得てこの曲が生まれた。
作詞・作曲は番組の審査員だった山口洋子と平尾昌晃。
芸名は五木寛之のファンだった山口が拝借した由。
”いいツキ拾し”のゲン担ぎも込められた命名だ。

振り返れば五木ひろしを生かすも殺すもこの曲がすべてだった。
番組でグランド・チャンピオンを勝ち取った歌唱力もさることながら
山口・平尾の名コンビなくして五木の成功はあり得ない。
師匠たちにはいくら感謝してもし切れないものがあろう。

で、歌詞である。
出だしからサビまでは単語の連発。
「なあんだ、コレだったらオレでも書けるわ」―そう思うなかれ。
ユニークな着想に拍手を送りたい。
なおも卓抜な2番と3番を紹介したいくらいのものだ。

最後にお定まりの五木ひろし・マイ・ベストスリー。

 ① よこはま・たそがれ 
 ② 霧の出船
 ③ 待っている女
   次点:あなたの灯

みなデビューから2年ほどの曲だ。
作詞はすべて山口洋子、作曲も③以外は平尾昌晃。
のちのちどんなに大成しようとも
やはり出だしが肝心だってことなんですネ、いや、ジッサイ。

=つづく=