2019年1月16日水曜日

第2047話 馬券売り場の裏だから

何とかロースカツをクリアして業平の町を歩く。
2丁目から四ツ目通りを横断して4丁目へ。
業四商店街は別名、お買物横丁。
松の内のこととて開いている商店は少ない。
それでも向かい合わせで八百屋が2軒、
競い合うように営業していた。

横川、太平を経て錦糸町にやって来た。
腹はいっぱいでも酒は飲める。
わがストマックは液体・個体は別腹になっている。
場外馬券売り場のある錦糸町なら
中途半端な時間帯でも飲み屋を探すに苦労しない。

錦糸町でその名を知られた「三四郎」に入店。
変形カウンターはほぼ満席ながら
入口近くの1席を確保した。
時に15時50分。
小1時間ほど楽しめれば、それでじゅうぶんだ。

当店のビールは瓶がキリンラガー、生はスーパードライ。
ちゅうちょすることなく中ジョッキをオーダーする。
壁に貼りめぐされた短冊は裏返しが目立つ。
みな売切れちゃったんだネ。

煮込みもなければ、焼きとんは全滅である。
ちょいと待てヨ、こりゃ、売切れじゃなくって
ハナから仕込んでないんだな。
まっ、正月だから仕方がないか。

残り少ない料理は揚げものばかりである。
とんかつ・串かつ・カキフライ・イカフライ・魚フライに
鳥の唐揚げと来たもんだ。
命からがらとんかつ屋を脱してきた身に
このラインナップはきびし過ぎる。

つまみを取らぬわけにはいかないから何とかせねば―。
幸い、まぐろの刺身とブツを見つけ、ここはブツをお願い。
大衆酒場には刺身よりブツが似合う。
ところが、このブツ、
バチマグロだろうが、かなりスジッぽかった。
スジを通す男は好きだがスジの通ったマグロはなァ。

あれっ、まだ16時10分だってえのに暖簾が仕舞われたヨ。
TVの競馬中継も終わりつつあるし、
まだ通常営業に戻してないんだネ。
あわてて酎ハイを追加した。

支払いは1730円と、大衆酒場としてはやや高め。
これも馬券売り場の裏という好ロケーションの成せるわざ。
浅草では通用しないだろうに。
おっと、あっちにも売り場があったか―。
要するに錦糸町で飲むんなら浅草で飲め、
ということなんでしょうヨ。

「三四郎」
 東京都墨田区江東橋3-5-4
 03-3633-0346