2019年1月31日木曜日

第2058話 チートとパタンと豚足と (その2)

横浜日ノ出町、長者橋のたもとにある「第一亭」。
当店の名物料理、パタンは茹でた太麺の上に
生の刻みニンニクが盛られていた。
これがイタリアン・パスタのペペロンチーノを想起させる。

口直しのスープが添えられてくるが
メンバーのあわて者はつけ麺感覚で食べ始めちまった。
おいおい、そうじゃないんだって!
いやはや、世話の焼ける仲間たちである。
結果、チートもパタンも
リピーターが異口同音に絶賛するほどのものではなかった。

次に運ばれたのは豚足うま煮。
この料理に尻込みした者が2名。
かたや食わず嫌い、こなた一度試してもうこりごり。
無理強いして食わせてみると、
かたやは意外に気に入ったが、こなたはやっぱり駄目。
まっ、おのおの好きにせいや。

それにしても豚足は食べにくいや。
骨離れが悪いうえに
コラーゲンと煮汁が相まってヌルヌルのベットベト。
こんな塊りを胡坐(あぐら)をかいた股座(またぐら)に
落としたひにゃ、それこそ一大事、楽しい遠出が台無しだぜ。
気をつけて気をつけて、おそるおそるしゃぶりましたとサ。

意見の一致をみて老酒のフルボトルをお願い。
台湾産の5年物はシャオシン・タイジェイドなる銘柄だ。
J.C.は常温で飲ったが、ほかの連中はみなオンザロック。
これまた、おのおの好きにせいや。

料理の追加はレバニラ炒めと焼きビーフン。
意外にもこの2皿がクリーンヒットであった。
豚レバーの火の通しジャストにして
脇の野菜はニラの量に不満は残るものの、
シャキシャキと歯ざわりがまことにけっこう。

極細のビーフンはイタリアン・パスタの
カッペリ・ダンジェロ(エンジェル・ヘア)をしのばせる。
スパゲッティ王国の日本では人気薄のカッペリーニだが
ニューヨークあたりでは極めてポピュラー。
滞在時には毎週のように食べてたっけ・・・。

結局は薬局、
最後に通した焼きビーフンがベストで
レバニラ炒めがセカンド・ベスト。
けして不味いワケではないけれど、
人気トリオのチート、パタン、豚足は総崩れの巻。
名物に旨いものナシ。
正鵠を射抜いた昔の人は偉大なり。

「第一亭」
 神奈川県横浜市中区日ノ出町1-20
 045-231-6137