2019年1月30日水曜日

第2057話 チートとパタンと豚足と (その1)

2年ぶりで横浜を訪れた。
東京都心からさほど距離があるでもないのに
ずいぶんと間が空いてしまった。
今回は頭数(あたまかず)を揃えたプチ日帰り旅行。
JR京浜東北線・桜木町に集合後、野毛の町をゆく。
メンバーに”横浜の浅草”を見せてやりたくてネ。

都橋から大岡川沿いを歩き、台湾料理の「第一亭」へ。
最寄りは京急・日ノ出町。
それも駅から数分の距離ながら、逆に近すぎて面白くない。
多少なりとも遠出したからには遠足気分を味わわないとネ。

野毛町から宮川町、日ノ出町一帯はレトロスペクティヴな町。
その核心に転がりんだような気にさせるのが「第一亭」だ。
松竹映画なら小津安二郎の世界、
あるいは東宝の”駅前シリーズ”にもピッタリ。
われわれ一行は奥の小上がりに納まった。

ビールは店同士、申し合わせたようにキリン。
そう、横浜はキリンの街である。
乾杯しながら当店の名物料理を通した。
チート、パタン、豚足うま煮の3点である。
ついでに焼き餃子も1皿、粉モノ好きの女子のためにネ。

「1人前6個ですが何人前お持ちしましょうか?」—
意気込む接客のオニイさんに
「1人前でけっこう」
素っ気なく応えたJ.C.。
明らかに不満そうな仲間の視線を感じたけれど、
ここはこれでよいのだ。
メンバーは放っておいたら
餃子で腹一杯にしかねない愚か者の連なり、
カタギはこれを愚連隊と呼んで蔑視する。
だいじょうぶだヨ、他にもいろいろ頼むからヨ。

焼き餃子は面長の痩せ型、薄めの皮の歯ざわりがよろしい。
(お替わりしてヨ!)
いくつかの瞳がそうささやいている。
フン、バカめ!

チート登場。
チートって何だ! ってか?
豚の胃袋、いわゆるガツですな。
じゅうぶんに下茹でしたところに生姜を合わせ炒め、
トロみをつけて仕上げてある。
ウン、いかにも台湾だが料理名の由来は知らない。

チートを追いかけるようにパタンが運ばれる。
パタンって何だ! ってか?
焼きそばだとか冷やし中華だとか、
さまざまな意見があるようだが
一番近いのはイタリアンの
スパゲッティ・アリオ・エ・オリオ・ペペロンチーノだろう。
よく判らん! ってか?
それはまた明日。

=つづく=