2019年1月17日木曜日

第2048話 灼熱のあんかけ焼きそば

そう遠くもないんだが板橋区に遠征。
東武東上線・東武練馬で下車した。
若者たちはここをトウネリと称するそうだ。
地番は徳丸で今は無き都立北野高校に
サッカーの試合のため、訪れた記憶がある。

駅北側の坂道を降りてゆく。
目指すのは「飛鳥」なる、
およそ中華料理屋にそぐわぬ屋号の町中華。
今や東京中に雨後の竹の子の如くまん延する、
本格中華の店よりJ.C.は町中華を愛する。

良い評判を聞きつけた「飛鳥」は
坂を降り切ったところにあった。
キタナシュランの代表のような店構えに店内が拍車を掛けて
物事にあまり動揺しないJ.C.もいささかタジタジ。
このまま出るわけにもいかんし、
表情を変えず、涼しい顔でカウンターに着席した。

ビールはキリンラガーの中瓶(500円)。
サッと食べるだけなら湯麺(タンメン)系でOKだが
飲むときは合いの手を兼ねてくれる、
炒麺(ツォーメン)が好都合だ。

よって、通したのは
3種あった炒麺系からあんかけ焼きそば(550円)を。
ずいぶん安いネ。
8割方埋まった客入りに対処するのは初老の夫婦のみ。
しかも調理はオヤジさんだけだから
かなり待たされることを覚悟した。

ラーメン・餃子・炒飯を注文する客が目立つなか、
左隣りのオジさんはタンメン。
右隣りのオジさんはチキンライスだ。
おっと、右にはチキンライスに続いてラーメンが運ばれた。

20分ほどで焼きそばが届く。
皿から湯気がもうもうと立ち上がっている。
あんかけの餡がやたらに多く、麺がまったく見えない状態だ。
豊富な具材は豚肉・にんじん・白菜・もやし・きくらげ・竹の子。
さあ、いただきましょう。

ふうふう吹いたつもりだったが
ウワッチッチッチ!
舌のみならず、下唇まで火傷しそうになった。
あわててビールを追いかける。
油が多いせいでかなりの高熱、いや、灼熱と呼ぶに相応しい。

二箸目はつまんだ麺を数回上げ下げし、息を何度も吹きかけた。
頃合いを見てパクッ。
アッチッチ!
さっきよりはマシながら、まだまだ熱いぜ。
結局、味がよく判らないまま、
どうにか完食して、すごすごと引き上げてまいりました。

「飛鳥」
 東京都板橋区徳丸1-33-11
 03-3550-6686