2024年10月24日木曜日

第3652話 半々丼を食べて「銭ゲバ」

この日も神保町に出掛けた。
映画の前の腹ごしらえは日本そば「冨多葉」。
創業は大正6年(1917)、百年超えの老舗だ。
この店は夕方には店を閉める。
それはいいけどビールを出さないのがツラい。

もり&ミニ半々丼のセット(1050円)を通す。
半々丼というのはかつ丼と親子丼、
両方食べたい向き用である。
かつ丼のカツは1切れだけだが
親子丼はプリップリの鶏もも肉がたっぷり。

ミニ丼といっても手にずっしり重みが伝わる。
小皿の新香はきゅうり&たくあんが2切れづつ。
池之端の「新ふじ」のそれに瓜二つでビックリ。

特筆すべきはユニークなそばのコシ。
噛み締めるといったん奥歯を跳ね返す。
二度、三度噛んで初めて受け入れられる。
女に例えりゃ最初のデートでは
けして肌を赦さないが二度目、三度目で
ようやくブラのフックを外すタイプだ。
つゆは甘みが勝って奥行きに欠けるが
町場のそば屋の老舗感あふれて
これはこれでよろしい。

シアターの前に「TACO BELL」に寄り、
ドライの生をプラコップで1杯。
タップの手入れも行き届き、
キンキンに冷えており、好きだ。

そうしておいて今日はジョージ秋山の漫画を
原作とする「銭ゲバ」(1970)。
監督は和田嘉訓、主演が唐十郎、
製作は近代放映である。

1970年から ’71年にかけて少年サンデーに
連載されたが「銭ゲバ」どころか
こいつは「殺しゲバ」である。
これでもか、これでもかと人が殺される。

ゲバはドイツ語のゲバルト、
 ”暴力行為”のことである。
当時は学生運動華やかなりし頃。
あちこちの大学構内外で
内ゲバが横行していた。
真っ当な学生には暗黒の時代であった。

この特集は「怪人物!唐十郎の映画」。
「小説家・山崎豊子 華麗なる映画たち」が
並行して同時開催されている。

唐十郎のほうは今日・明日の
「任侠外伝 玄界灘」(唐十郎)と
「セックス猟奇地帯」(中島貞夫)。
その後は「新宿泥棒日記」(大島渚)、
「犯された白衣」(若松孝二)を残すばかり。

確かに唐十郎は怪優なんだが
あまり食指が動かず「銭ゲバ」1本に留め置く。
代わりに山崎豊子は3本観るつもりです。

「冨多葉」
 東京都千代田区神田猿楽町2-2-9
 03-3291-4887

「TACO BELL」
 東京都神田神保町1-8-4
 03-5577-6328