2024年10月10日木曜日

第3642話 「点と線」の 帰りに買った「点と線」

新丸ビルの「ポワンエリーニュ」から
隣りの丸ビルに移動してTSUTAYAへ。
購入したのは前にも読んだ、
「点と線」(新潮文庫)だ。

あれは中学三年の修学旅行。
新幹線じゃなかったと思うが
特急だか急行だかの列車名は忘れた。
東京駅を出発してすぐに読み始め、
京都着のちょい前に読了した。

文芸評論家・平野謙が解説に書いている。
この小説にはキズがあるとー。
4分の間に犯人は二人の仲居を伴って
13番フォームに立たねばならず、
さらには一組の男女を15番フォームに
立たせねばならない。
非常に困難で、それがキズだと仰る。

J.C.思うに、女のことだから
「ちょっと私、おトイレ!」
なんてなったらすべてがパーだ。
さらに国鉄のダイヤは正確といっても
多少のズレだって考えられるだろう。
すべてが最初に4分間ありきで
ストーリーが進み、あちこちムリが生じて
キズだらけなのである。

何もわざわざ北九州までガイシャを
連れて行かなくともいいもんだが
旅行雑誌「旅」の連載小説だから
清張センセがサービス精神を発揮するのも
当然の成り行きなんだろう。

犯行現場は北九州・香椎の海岸。
心中に見せかけた男女の遺体が横たわる。
実は J.C.、この現場に立ってみたかった。
よって博多旅行の際、行ってみた。
二組の男女よろしくJR香椎駅から
西鉄香椎駅を経て海岸へ歩いた。

ところがどっこい、どこまで行っても
海岸にたどり着かないんだ。
今世紀初めだったから四半世紀も昔だが
すでに埋め立てが進んでいた。
’57年発刊の原作にもこうある。

西鉄香椎駅で降りて、海岸の現場までは、
歩いて十分ばかりである。
駅からは寂しい家なみがしばらく両方につづくが、
すぐに切れて松林となり、
それもなくなってやがて、
石ころの多い広い海岸となった。
この辺は埋立地なのである。

何てこったい!
心にシラケ鳥を飛ばせたまま博多に戻り、
屋台のヤケ酒をあおったのでした。