2024年10月3日木曜日

第3637話 昔の名前で出てました

日暮里から亀戸行きのバスに乗って
東向島広小路で下車。
向島百花園の一つ先だ。
水戸街道を南へ歩く。
御堂筋を南に歩いた欧陽菲菲みたいにネ。

行き着いたのは「洋食あきら」。
老夫婦二人きりの切り盛りである。
歴史を感じさせる店内で
壁のメニューを見上げた。

ドライの中瓶を飲みながら
エスカロップとカニコロッケの盛合わせをー。
「ハイ、13番ですネ?」ーマダムの応答。
ホントだ、料理にはみな番号がふられている。
先客はカップル1組に
ママともたちの子連れ5人組。

エスカロップは北海道・根室のご当地名物。
あまり知られてないんじゃないかな?
何でも根室の洋食屋「モンブラン」が
’60年代に売り始めたとかー。
いわゆる肉の薄切りのことである。
と言っても生姜焼きみたいに薄くはなく
ポークソテーくらいの厚さがある。

語源はイタリア語のスカロッピーネだろう。
北イタリアの人々の大好物は間違いなく
仔牛のスカロッピーネ。
東京ではめったに
お目に掛からない仔牛だけどネ。

調ったプレートには
ソテーではなくパン粉を付けて揚げたカツ。
う~む、好いじゃないの。
カニコロもカニカニしさにあふれた逸品。
付合せは繊キャベ&ポテサラ。
豆腐の味噌汁にライスはやや少なめ。
思いっきり満足した。

2100円の会計時、マダムに訊いてみた。
「お店の名前のあきらサンって
 旦那サンのお名前ですか?」 
「ええ、そうなんです」
「だから小林旭に似てるんですネ」

すると店主が厨房から顔を出し、
「いや、いや、ウヒャヒャヒャ!」
おやおや、うれしそうに破顔一笑。
こいつは秋口から歓ばせちまったな。

まっ、昔から年寄りをイジクるのは
お手のモンの J.C.だからネ。
ん? オメエだって年寄りだろがっ! 
ってか?
こりゃまたシツレイしました。

とにもかくにも
「洋食あきら」は昔の名前で出てました。

「洋食あきら」
 東京都墨田区向島4-5-7
 03-3625-9481