2024年10月25日金曜日

第3653話 そのとき 小学五年生 (その1)

都営新宿線・西大島駅前から
東陽町行きのバスに乗り込んだ。
此処は隅田川と荒川に挟まれた江東区。
戦前は城東区と呼ばれた。

明治通りを南下してゆく車内は
かなり混み合っていたが
3つ目の北砂三丁目で多くの客が下車。
ほとんどが砂町銀座に吸い込まれてゆく。
都内に〇〇銀座は数あれど、
最大の盛況を誇るのは砂町だからネ。

彼らを見送りながら乗り続け、
南砂三丁目で降りた。
仙気稲荷通りを東に歩く。
以前は仙気稲荷があったが
お稲荷さんはとうに千葉県・谷津へ引っ越した。

真っ直ぐ往くと途中で元八幡通りに変わる。
永井荷風が昭和10年(1935)の中央公論3月号、
「残冬雑記」の「元八まん」に記した如く、
この道筋には関東大震災前、元〆川が流れていた。

元八幡は富賀岡八幡宮のことで
深川の富岡八幡の元宮にあたる。
この先で地番は南砂から東砂に変わった。

本日のターゲットは「高龍軒」。
先代の親父サンを引き継いで
三姉妹が切盛りする町中華である。
待ち人ゼロだが引き戸を引いたら満席。
自分が待ち人1号を仰せつかる。

当店は昭和37年(1962)創業。
奇しくもオカザワ・ファミリー四人が
大田区から江東区に引っ越して来た年で
J.C.は大森第五小学校から
平久小学校へ転校を余儀なくされた。
そのとき小学五年生、紅顔の美少年でした。

「高龍軒」の最寄りはメトロ東西線・南砂町。
わが家は東西線で2駅大手町寄りの木場。
5分ほどで席が空いた。
左手にカウンター、右にはテーブル。
カウンターの一番端、引き戸の目の前に着く。
まずは黒ラベルの大瓶を所望する。

メニューは卓上に置かれ、壁にも貼り出され、
その数、おびただしいものがあるが
目を引くのはセットメニュー。
これを紹介しておきましょう。

=おすすめセット=
① ラーメン・餃子3個・小ライス ¥850
② 野菜炒め・餃子3個・小ライス ¥800
③ タンメン・餃子3個 ¥800
④ ラーメン・小チャーハン ¥900

④ をラーメンの方も
半分にしてもらうよう、お願いした。

=つづく=