2013年9月11日水曜日

第662話 ハマの市場へ行きました (その2)

コレを書きながら聴いている吉幾三のCDは早くも2周目。

 ♪ 津軽海峡 捨ててきた
   こなごなに こなごなに写真
   も一度 も一度 やり直せるなら
   このまま このまま 引き返すけど
   もう遅い もう遅い 涙の海峡  ♪

幾三サン、熱唱の「海峡」だ。

さて、こちらは津軽海峡ならぬ横浜港にいる。
熱い陽射しがコンクリートにはね返り、ダブルで暑い、暑い。
遠出の目的は場内の食堂で昼めしを食べること。
市場で荷おろしの作業をしていたアンちゃんに訊ねて到着したのがここだ。
隣りにその名も「市場食堂」なるハデな店があったが
店頭の自販機の数がハンパじゃなく、入る気にならなかった。
いかにも市場の食堂といった風情
ふ~ん、ハマの食堂で「浜膳」かァ、そのまんまだわ。
そういやあ、そのまんま東、最近見掛けんなァ。

ビールはキリンのラガーしかない。
横浜は国産ビールの発祥地にしてキリンの創業地、
一大キリン王国なのである。
この際、銘柄なんかどうでもいいや。
プッファ~! この瞬間のために歩いて来たんだもんネ。
一瞬、もう死んでもいいっ! って思っちゃったもんネ。

注文したつまみは以下の3品。
自家製ポテサラときゅうりのぬか漬け
3枚付けのあじフライ
ポテトときゅうりがとてもよかった。
試しに芋の上にきゅうりを乗せて食べたら、これがぴったしカンカンなのだった。

飲んでばかりはいられないので定食を一人前。
あじ刺し定食は800円也
実はビールで乾杯してるときに
同じあじ刺し定食が隣りの卓へと運ばれていった。
それを盗み見したJ.C.、あじの質の高さを確信し、
青背のサカナに目のないP子に強く推奨したのだった。
ねっ、ご覧くださいまし、鮮度抜群でしょ?
案の定、その美味しさに舌鼓の二人となった。
コイツを酢で軽く〆、本わさでやったらさぞかし旨かんべ。

店はホールに気のいいオバちゃん。
厨房にこれまた人の好さそうなオジさんと洗い場のオバちゃん。
洗い場のオバちゃんは昔の美人サンで、微笑みに気品が漂っている。
皿を洗いながら笑顔が絶えないのは職場が楽しいのか、
日常生活がシアワセなのか、おそらくその両方であろう。

壁のメニューボードをながめていたP子が
「ねェ、あづま丼って、なあに?」―こう訊ねてきた。
「ほほう、いいところに目をつけたじゃないか、
 鉄火丼のまぐろをヅケにすると、あづま丼になるんだヨ」―こう答えてやる。
「へえ~っ、そうなの!」―さすがにじぇ、じぇ、じぇとは言わなんだ。
生まれて初めて目にした由、目をまん丸にしてしきりにうなずいていた。

ごきげんの昼食後、炎天下を東神奈川駅に向かいながら
本日のこれからを思案する。
今宵もともにはしご酒の約束をしちまったからネ。
夕暮れまでずいぶん時間があるヨ、ハァ~。

「浜膳」
 神奈川県横浜市神奈川区山内町1
 045-441-7369