2013年9月23日月曜日

第670話 柴又へご案内 (その1)

北海道・札幌からN藤サンが出張で上京してきた。
これからは東京出張が増えるんだそうだ。
また飲む機会が増えちゃうなァ・・・
まっ、それはそれでいいんだけどネ。

彼女と初めて会ったのは4年前の秋。
友人の紹介により、下町の酒場で同席した。
以来、何度か酒盃を重ねる機会を持ってきた。

今回は平日の昼に身体が空いたから
半日つき合ってほしいとの仰せだ。
いいですともと気軽に引き受けた。
夜は銀座でアポがあるとのこと、15時に落ち合うことにした。
どうせ行く場所は下町に決まっている。
会うときはいつもそうなのだ。

浅草・深川・人形町、どこへでもお連れしますヨと訊ねたら
何と、柴又に行ってみたいという応え、こりゃ驚いた。
どういう風の吹き回しかと思いきや、
数日前に「男はつらいよ 寅次郎紙風船」を観たのだと―。
なるほどそういうことか、
あの作品のヒロインは確か、音無美紀子だったな。
本郷・菊坂の旅館なんぞも出てきたな。

でもって、お連れしました葛飾・柴又へ。
待合わせたのはJR常磐線・金町駅のホーム。
先ごろ不幸な死に方をした藤圭子が

 ♪ 金がなくても 金町は
   させてあげます いい思い 
   よってらっしゃい よってらっしゃい お兄さん ♪
                (作詞:はぞのなな)

と歌う、「はしご酒」の舞台にもなった金町だ。
そこから歩いて到着したのが柴又駅前の広場である。
ここには寅さんの銅像が建っている。
しかし、これが何とも不デキ。
人相が悪いというか、姿かたちがイケないというか、
何とも暗い、やくざ風の寅さんになってしまっている。
それが証拠に地元民にも訪問者にもまるで愛着されていない。

広場には何度か訪れたことのある居酒屋「春」が健在。
この時間ではまだ開いていない。
とにかく参道に向かい、帝釈天の名でおなじみ、題経寺に詣でる。
矢切の渡しには乗らなかったが、江戸川の土手にも行ってみた。

参道に戻り、ひとまず休憩。
イヤ~な感じがした「門前とらや」に様子見で入ってみる。
ここはもともと「柴又屋」が屋号。
映画のの第4作までは撮影の舞台となった店だ。
それが「門前とらや」と改名したために
第40作の「寅次郎サラダ記念日」以降、
作中の「とらや」は「くるまや」に変更を余儀なくされた由。
なんかイヤだネ、あざとさ丸出しの所業じゃないか!