2013年9月25日水曜日

第672話 「酔来軒」再訪の夜 (その1)

およそ1年ぶりで横浜は阪東橋に近い、よこはま橋商店街へ。
狙いはユニークな中華料理店、「酔来軒」である。
集結したのは同い年が6名、J.C.以外はみな板橋区の住民だ。
K木夫妻、I﨑夫妻、そして未亡人・Gラ。
彼らはみな都立豊島高校の卒業生。
J.C.だけはすぐそばの同じく都立板橋高校出身。
まあ、縁あってともに酒を酌み交わす間柄となったわけだ。

「酔来軒」は去年の今頃だったかな、
週刊「FRIDAY」の巻末連載、
「旨すぎる!男の昼めし」に登場を願った。
この店の名物・酔来丼にたまたま遭遇し、
いたく感動したのがその理由だ。

酔来丼もさることながら、
ほかの一品料理も好打者揃いで残暑きびしき折、
飲み仲間を集めて小宴を張ったのが去年の9月初旬だった。
此度はその再現を試みたのだが、メンバーはまったく異なる。

メトロ副都心線と東急東横線がつながったので
板橋方面から横浜に来るのはとても便利になった。
1時間どころか50分を切るのだからネ。
ただし、先ほどネットの乗り換え案内をチェックして気づいたが
私鉄・東急の代わりにJR湘南ラインを利用すると
トンデモないことになる。
なんと490円で来れるところが780円になっちまうんだから。
東急なら渋谷―横浜が260円なのに対し、
JRの池袋―横浜は620円だもの。

親方日の丸、”官”のやることといったら
庶民から搾取することばかりだ。
まったくもって嘆かわしい。
おっと、JRはすでに”民”だった。
みなさん、できるだけ私鉄や地下鉄を使ってあげましょう。

板橋区民より先着したJ.C.が暖簾をくぐると、
店主、といってもまだ若いオニイさんが笑顔で迎えてくれた。
「その節はお世話になっちゃって」―いきなりお礼を言われた。
「エッ? 何で判ったの?」―キツネにつままれて問い返す。
確かに予約はオカザワの名前で入れた。
だけど、それだけで身元が割れちゃうかな。
だって取材はアシスタントとカメラマンがしてくれたから
面は割れていないハズなのだ。
それに綾小路とか、愛新覚羅ってんなら
覚えられてしまうけど、オカザワなんてありふれた苗字じゃないの。

あらあら、壁に「FRIDAY」のグラビア・ページがペタリと貼られてら。
「ウチの家宝にしてんです」―ご冗談でしょ。
こういうのってメッチャ恥ずかしいんだよネ。
咬みつき亀の友里征耶あたりだと大喜びするんだろうが
とかく控えめなJ.C.はテレちゃいます。

確保しておいた小上がりに独り上がり、
仲間に先立って、まずは生ビール。
港町・横浜につき、もちろん銘柄はキリンだ。
「プッファ~ッ!!」
京急・日ノ出町から歩いて来たから、これが旨いのなんの!
重ねて笑顔の店主が運んでくれた一皿に思わず破顔一笑である。

=つづく=