2013年9月30日月曜日

第675話 一年ぶりに大宮へ (その1)

埼玉県・大宮にはまず行くことがない。
調べてみたら最初に行ったのが2001年の4月。
老舗洋食店「紅亭」でオムライスを食べたのだった。
オムレツの裾(すそ)がドレスのようにエレガント。
パリ社交界の貴婦人を思わせる一品は
ドレス・ド・オムライスの異名をとる。
玉子4個を使ったそれは美しさにおいて他を圧倒していた。

その次はつい去年のこと。
群馬県・桐生の行き帰りに二度立ち寄って
昼は有形文化財に指定したくなる中華食堂「多万里」で
ラーメンをすすったあと、駅前の大衆酒場「いづみや」にて一杯。
夜は夜で「いづみや」に立ち戻り、再び一杯。

今回は丸一年ぶりの訪問。
当日の相方は宮城も岩手に近い、
くりこま高原からやって来たN堂女史。
翌日、長野だか新潟だか、とにかく信越方面に足をのばすので
大宮に1泊するんだそうだ。
そこではるばる(そんなに遠くないけど)大宮くんだりまで
呼び出されたというワケなのです。

大宮駅の待合わせは16時ちょうど。
世の中まだとことん明るいが
そろそろ飲み始めても後ろ指を指されない時間帯だ。
一年前の再現ってことで、真っ先に出向いたのがここ。
道端で出会ったら絶対入店しちゃうネ

 ♪ つたのからまるお店で おそばをすすった日
   つゆ多かりしあの鉢の 焼き豚をつまめば
   なつかしい肉の香り ふわりふわり浮かぶ ♪

思い出すなァ、あれから1年か・・・。
フフフフフ、J.C.オカザワも今じゃ地方のドサ回り、
人生裏街道の枯れ落葉かァ・・・。

 ♪  義理の 義理の 夜風にさらされて
   月よお前も 泣きたかろ     ♪

いや、やめます、やめます、悪ノリしすぎだわ。

暖簾をくぐり、サッシの引き戸を引いた。
先客は二人だけで気の向いたテーブルに着席。
再会を祝して黒ラベルで乾杯する。
ん? いきなりジョニ黒か! ってか?
ちゃいますがな、サッポロ、サッポロ。

 ♪ ミュンヘン サッポロ サッポロ ミルウォーキー ♪ 

ってネ。
このCMソングが判る方はかなりの年配者。
店内もまたレトロスペクティブ

この空間に身を置けるシアワセをひしひしと感じてしまう。
ところがどっこい、ただ一つこの店には困ったことがあるんですわ。

=つづく=