斑(まだら)の猫に手を振ってサヨナラ。
大踏切通りを渡り、
柳原一丁目から二丁目へ。
古い家屋が密集する界隈は人間に例えれば、
後期高齢者みたいなものだろう。
柳原二丁目は防災上の難題を抱えており、
2022年に東京都都市整備局が発表した
「地震に関する地域危険度測定調査」で
都内5,192町丁目にあって
火災危険度がワースト1位。
建物倒壊危険度と総合危険度では3位。
オリンピックなら金1個に銅2個。
大活躍なんだけどねェ。
老舗「やなぎ家」の暖簾をくぐる。
今年の外食の年越しそばは
あらかじめ当店に決めてあった。
あちこち歩き回ったので時刻は13時半。
なのに8割の席が客で埋まっている。
2人掛けに腰を下ろし、
ドライ中瓶を発注した。
あげそばカレーが
ビールに合うと聞き及んでいる。
揚げたそばにカレールウを掛けたものだ。
普段からキワモノは避けているが
ビールに合うと聞いちゃ、
つい、頼んじまうのもむべなるかな。
そばの太さは中くらい。
豚小間・玉ねぎ・にんじん入りのルウが
たっぷりブッ掛かっている。
ただ、あまり美味しそうには見えない。
どの角度から眺めても
容姿端麗にはほど遠かった。
箸を進めると、
ふ~む、悪くないけど良くもない。
ところが食べ進むうちに
親近感が生まれたというか、
信頼関係が構築されたというか、
だんだん旨くなってきて
仕舞いにゃ愛まで芽ばえ、
おい、俺はお前を好きになったゾ!
千住のはずれで愛を叫びたくなった。
当初はもりで締めるつもりだったが
急遽かけに切り替える。
半分食べたあと残ったルウをブッ掛け、
カレー南蛮に仕立てるためだ。
ちょいとばかり食べ過ぎたものの、
去り行く辰年の年越しそばは祝着至極。
良いカタチで巳年につながることでしょう。
「やなぎ家」
東京都足立区柳原2-18-8
03-3881-0204