神保町シアターの特集、
「女優・佐久間良子」も今日が最終日。
12時開映の「肉体の盛装」から
「細雪」「黄色い風土」を経て
19時15分の「越後つついし親不知」と
4本を残すのみとなった。
今回観た6作はすべて東映東京製作。
前半3本は紹介したので
後半の3本まいりましょう。
「人生劇場 飛車角」(沢島正 1963) は
彼女の作品で唯一既観済みだが
悲恋を割かれるヒロインを演じて可憐。
東映任侠映画の先駆けとなった作品で
主演が鶴田浩二、助演に高倉健。
まだ高倉に鶴田ほどの貫禄は出ていない。
往年の剣劇スター、月形龍之介や
浪曲師上がりの演歌歌手、
村田英雄も顔を出している。
原作は尾崎士郎だ。
監督の沢島忠は中村錦之助並びに
美空ひばり母娘(殊に母・喜美枝)とは
絶大な信頼関係で結ばれていた。
ラストの決闘シーンが省かれて
尻切れトンボの肩透かし。
こんな終わり方も有りなのかなァ?
「東京丸の内」(小西通雄 ’62)は
丸ビルと思われるビルディングが舞台。
原作はサラリーマンものを得意とする源氏鶏太。
高倉健とのキスシーンが話題となったが
高倉のキスは極めて珍しい。
他愛ないオフィス劇のデキはそれなりだ。
「黄色い風土」(石井輝男 ’61)には
正直ガッカリさせられた。
松本清張原作の連続殺人事件だが
脈絡が目茶苦茶で人をジャンジャン殺せば
それでいいというもんじゃない。
清張ものは松竹の野村芳太郎に
任せておけばそれで良い。
石井輝男の十八番は「網走番外地」。
同一人物がメガホンを取ったとは
思えない仕上がりになってしまった。
カトレアの香り(原作では沈丁花)を
身にまとう謎の女を演ずる良子。
ほとんど台詞らしい台詞はないし、
鶴田浩二の週刊誌記者というのも
何となくミスキャスト感否めず。
とはいえ5本の出演作を観た結果、
佐久間良子に親近感が湧いたことは事実だ。
明日から「ドラエもん映画祭 2025」が
34日間連続上映になるらしいけど
子どもじゃないからそれは全てパス。
神保町はしばらくの間、ご無沙汰になります。