2024年11月29日金曜日

第3678話 来るたびに 店が消えゆく 不動前 (その1)

JR日暮里駅で乗った山手線外回りを
五反田で下車した。
今日は目黒不動界隈を散策するつもり。
最寄りは目黒駅だが
五反田からの道筋を往きたかった。
別段、理由はないけどネ。

目黒川に沿って歩き、
東急目黒線の高架をくぐったところで
山手通りを横断すると、かむろ坂下。
都内屈指の桜の名所である。

坂を上り、桐ケ谷通りを右折してほどなく、
お不動さまの門前に出た。
すぐにはお参りせずに
門前通り(参道)の緩やかな坂を下ってゆく。
参拝の順路を逆行しているワケだ。

時刻は13時15分。
となると、まずは昼めし。
参道途中に在ったとんかつ屋と
ジンギスカンが2軒まとめて消えていた。
更地になって跡形もない。

門前のうなぎ店「にしむら」に戻っても
テイクアウトのみでイートインは出来ない。
それではと赴いたのが参道のそば屋だ。
「海老民 本店」の店先は何回か通っており、
本わさびの有料提供も承知している。

ドライ中瓶を手酌しながら品書きの吟味。
お通しは枝豆だった。
おっと! 穴子天せいろが目を射抜く。
そば屋に穴子が居ると
かなりの確率でお願いしてしまう。
海老天にはまったく反応しないクセにー。

接客のオネエさんに
「本わさびはいくらになるのかな?」
「ええ~、そうですね」
「フツーのせいろが700円で
 わさびせいろが1000円だから
 300円の差額を払えばいいんだよネ?」
「そうなりますが・・・」
「それじゃ、穴子天せいろを本わさびで」
「ハイ、あのぉ、今日はわさび切れてまして」
「ハア~ッ! 初手から言うてくれい!」
怒鳴りつけはしないけど何てこったい!

穴子1尾に茄子・ピーマン・さつま芋付き。
天ぷらはまずまずながら期待を下回った。
そばにさほどのコシはないが
なかなかの噛み締め感あり。
つゆは塩気控えめでやさしい感じ。

支払いは2300円也。
再び門前通りを行ったり来たりする。

=つづく=

「海老民 本店」
 東京都目黒区下目黒3-11-10
 03-3711-6621