2024年4月29日月曜日

第3524話 8年ぶりの同窓会

食用ひょうたんのおかげをもちまして
♪ リズムウキウキ 心ズキスキ ワクワク ♪
意気揚々と「地球飯店」に乗り込んだ。
同窓会は8年ぶりで前回も此処だった。

東武東上線の線路の脇にあった母校。
生徒たちが先生の目を盗んで遊ぶのは
いつも池袋だったせいもあり、
同窓会は常にこの街なのだ。

会場の4階へと上ったエレベーターで
出勤して来たスタッフと相乗りになる。
「何階ですか?」
「4階お願いします」
「お客さまは上板一中ですか?」
「そうだけど、よく判ったネ?」
「同僚が上板一中出身なんですってー」
「そうなの? 彼女も出勤?」
「今日はお休みなんです」
「そりゃ、残念だな」
「ええ、そうですネ」

参加者はめっきり数を減らして28名。
男女ほぼ半々である。
幹事・N中クンの挨拶のあと、
J.C.が乾杯の音頭。
何の役にも立たなかったけれど、
一応、生徒会長だったもんでネ。
幹事のN中、音頭のO澤は不動なのだ。

ビールから紹興酒に移行する頃、
料理が運ばれて来た。
こういう席ではあまり食べないJ.C.ながら
前菜のクラゲと鳥&豚のチャーシュー、
青椒肉糸は少しづつづつ取り皿に取った。

7~8席設けられたテーブルは4つ。
あちらこちらと渡り歩く。
たとえクラスは違えど
3年も同じ学窓に過ごした仲である。
言葉を交わしたことなどなくとも
面貌に当時の面影をしのぶことはできた。

アッという間に2時間半が過ぎゆき二次会。
これまた8年前と同じ、
近所の「清龍 西口店」へ。
食べものは何も口にせず、
ひたすらビールを飲み続ける。

一同、興に乗ってしまい、続いて三次会。
ここまでくると店名も場所も覚えちゃいない。
みんなよく飲み、よくしゃべる。
中華コースのあとだってのに
パクパク食ってるヤツも少なからず。

かく言うJ.C.、中瓶換算で12本は飲んじまった。
げっ、6リットルと来たもんだ。
かくも楽しき宵ですもの、仕方なかんべサ。

「地球飯店」
 東京都豊島区西池袋1-22-8 三笠ビル3・4F
 050-5456-5894

「清龍 池袋西口店」
 東京都豊島区西池袋1-22-2
 03-5928-2992

2024年4月26日金曜日

第3523話 生まれて初めて 食べたひょうたん

今宵は母校、上板橋第一中学校の同窓会。
ちょいと早めに開催地の池袋に赴き、
例によって独りO次会である。
昭和31年創業の行きつけ酒場、
「三福」のカウンターに落ち着いた。

ドライ大瓶と当店の名物、
なか豆腐(380円)を通す。
もつ煮込み(650円)のもつ抜きなんだが
もつが1~2片、いつも必ず混入するのは
単なる偶然ではあるまい。
生活困窮者に対する店側の情けだろう。
ハハ、困窮者が酒場に来ることはないかー。

スタッフはベトナム、あるいはミャンマー、
男女ともアジア系が大半を占めるが
珍しくカウンターに日本のオネバさん。
ここで働き始めてそう長くはないらしい。

本日のおすすめボードに 
ひょうたん漬け(450円)というのを発見。
ん? ひょうたん? 見たことないな。
食べられるんかいな?

オネバさんに訊いてみた。
「ひょうたんって、あのひょうたん?
 食べられるの?」
彼女応えて
「エエ、食用ひょうたんです」
「エエッ? そんなのあるの?」
どうして看過することができようかー。

へえ~っ、こうなんだ。
小鉢に4ツほど小さいのが盛られていた。
カブトムシの半分くらいのサイズで
薄緑色がちゃんとひょうたん形である。
こればかりは写真を紹介したいところだが
写真を撮らなくなって久しい。

この7年間、何度も読者の方々に
「どうして写真を載せなくなったんですか?」
異口同音に質問を受けてきた。
「ある日突然、こんなことをしてる自分に
 嫌気がさしちまいましてー」
そう、応えてきた。

味わいは酸っぱくしょっぱく、
奈良漬に使われる小型のスイカに似ている。
帰宅後、調べてみたらククルビタシンという、
苦味成分を含有しており、
嘔吐・下痢などの症状を起こすが
その成分の少ない食用品種も存在するとのこと。

話のタネにもなるし、実に美味しいので
どこかで出逢ったら、ぜひお試しください。
載せはしませんが、この写真だけは撮りました。

「三福」
 東京都豊島区西池袋1-27-1
 03-3971-1773

2024年4月25日木曜日

第3522話 翌日戻った 荒川車庫前

車庫でフラれたその翌日。
どうにも気になって今一度、現場へ。
犯行現場に戻る犯人の心理と一緒だネ。
同じ轍は踏むまいと12時半前には到着した。

うわっ、けっこうな繁盛ぶりじゃないかー。
元気なオバちゃんたちがフロアを縦横無尽。
壁に向いた変形カウンターの一画を確保し、
料理カウンターに進み寄る。

あんまり並んでないなァ。
というのも注文後に作り始めるもの多し。
「今日の揚げ物はイカフライで~す!」
オバちゃんの掛け声にイカを通す客が7割だ。

冷奴と肉じゃがの小鉢を取り、
ドライ大瓶とともにお願いした。
トレイに乗せて着席したら
ビールとグラスが直ちに運ばれ来た。

近所で人気の豆腐屋のものと思われる豆腐は
半丁だけど、けっこう大きい。
ねぎとおかかが掛かっているが
やはりこれにはおろし生姜が欲しい。
肉じゃがは新じゃがとにんじんに豚小間。
今が季節の新じゃががうれしい。

1240分になると潮が引くように客が引ける。
ライチャス・ブラザースの「引き潮(Ebb tide)」が
聞こえてきたが英語なのでやめとく。
たぶん英語を解さない浪花の小姑の目を
すり抜けるには好い機会だが
鬼の居ぬ間の洗濯みたいな行為は慎みたい。
いろいろ気を使うなァ、ジッサイ。

引き潮とともに身を引くことにした。
しかし、まだ飲み足りない。
荒川線の車庫前から熊野前まで4駅歩き、
日暮里・舎人ライナーに乗った。
行く先は西新井大師西の「みたけ食堂」。

此処でもドライ大瓶をもらい、
生たらこ1切れ、さば味噌煮1/4身、
そしてさっきはパスしたイカフライ。
当店はポーションが小さいので
少食のJ.C.にはまさに打ってつけ。
明るく楽しく健康的な独り飲みである。

壁に「居酒屋風営業はしません」の但し書き。
ビールだけはあるが
日本酒・焼酎・ウイスキーの類は置かない。
フロアのオジさんにおそるおそる、
缶ビールの追加を打診すると
快く引き受けてくれた。
何度も来ているので覚えてもらったらしい。

ちなみに「ふじ家」も「みたけ食堂」も
飲んでいたのは、われ独りきりでした。

「ふじ家」
 東京都荒川区西尾久8-33-3
 03-3893-7186

「みたけ食堂」
 東京都足立区谷在家2-5-2
 03-3890-4421

2024年4月24日水曜日

第3521話 車庫でフラれて 昭和の町へ

北区・飛鳥山の中国料理店に
足繁く通うようになってから
都営荒川線(東京さくらトラム)によく乗る。
電車に揺られながら窓外の景色を眺めるうち、
荒川車庫駅前の食堂「ふじ家」に目がとまり、
気になったから初めて出掛けた。

到着すると、ん? んんん?
なんだよぁ、どうして準備中なんだよぉ。
あやっ! この店の営業時間は9~13時。
時刻は13時8分と来たもんだ。
あちゃ~! とんでも8分、もとい、ハップン。

でもネ、こういうのって意外に嫌いじゃない。
予定を崩されたとはいえ、
近所で代替店を探す楽しみが生ずるのだ。
まさに戸締りがおろそかな家を物色する、
空き巣狙いの心境ですな。

此処からJR高崎線・尾久駅はわりと近いハズ。
テクテク歩くことにした。
尾久という地番は東尾久も西尾久も荒川区の領域。
ところが駅は北区・昭和町一丁目なんだ。
その一丁目に「ブラッスリー つぐみ」がある。

車庫前でフラれ、昭和の町に来たわけだ。
実は当店も初訪問でガラス戸を静かに引く。
ドライの中瓶を通し、メニューをチェックする。

ポークカツトマトソース or トンカツソース
ポークポトフとロールキャベツ
チーズハンバーグデミグラスソース
牛ハラミのステーキバーベキューソース
牛ほほ肉の赤ワイン煮と帆立貝のグラタン
国産牛スネ肉のビーフシチュー
本日の鮮魚のポアレ(この日は真鯛)
たらこのスパゲッティ
チキンオムライス

ザッとこんなラインナップ。
あまり出逢わないポトフに白羽の矢を立てる。
最初のサラダからしておざなりではなかった。
赤&黄パプリカ・チコリ・サニーレタス・
ミニトマト・きゅうり、実に立派だ。

ポトフは豚肩ロースのほか、
じゃがいも・かぶ・にんじん・竹の子・菜の花・
モロッコインゲン・ブロッコリと盛り沢山。
ロールキャベツが同居してスープがヒタヒタ。
食べ出はあるし、味わいも深い。

うれしかったのはブレッド&バター。
2スライス分はあるバゲットに
バター好きが食べ切れないほどのバター。
近頃、バター別料金の店も少なくないなか、
心温まる応対である。

会計は金1700円也。
いやあ、いい店でした。
昭和の町でほくそ笑んだ次第であります。

「ブラッスリー つぐみ」
 東京都北区昭和町1-3-15
 03-3810-2936

2024年4月23日火曜日

第3520話 おらがそば、じゃなくって 田舎そば

薬師あいロードを南下して
中野ブロードウェイにやって来た。
せっかくだから2階に上がり、ぶ~らぶら。
とろろめしの「丸子(まりこ)屋」は健在。
ユニークな天丼の「住友」は定休日の様子。

中野に来るといつも
「vivo daily stand」の本店。
ビールが黒ラベルからハートランドに
代わったこともあって今日はヨソに廻ろう。

ここで思い出したのが
さっきのキューバサンドのビールだ。
やはりハートランドで
「泡、少な目でお願いネ」
「ウチはほとんど泡ナシですから・・・」
ホントに完全泡抜きで目の前に置かれた。
これにはシェフと意気投合。
しばし”泡談義” で盛り上がったのだった。

早稲田通りを東に歩む。
山手通りにぶつかる交差点を左折。
此処はメトロ東西線・落合駅の真上だ。
結局は薬局、中井の駅に戻って来ちゃった。
妙正寺川に架かる寺斉橋のたもと、
「田舎そば 須坂」に入店。
たびたび店先を通るので
存在は認知していたが入店はお初である。

15~18時はハッピーアワーで
ドリンクは瓶ビール以外、すべて250円。
時刻は15時45分、こいつはラッキー! 
じゃなくって、ハッピー!

さっそく一番搾りの中ジョッキをお願い。
つまみは野沢菜だ。
J.C.のふるさと、長野市の東隣りが須坂市。
この地域も北信、野沢菜の本場である。
白山上「戸隠そば 満寿美屋」には譲るが
じゅうぶん美味しかった。

生をお替わりして白海老のかき揚げをー。
何とこれが100円玉1個と来たもんだ。
揚げ具合よろしく、ビールの友に打ってつけ。
安価なものばかり注文して申し訳なく思い、
大海老天を1本追加。
それでもこれが野沢菜と同値の250円。
これじゃ、申し訳なさの上塗りだネ。

一茶の一句が思い浮かんだ。
信濃では 月と仏と おらがそば
ハハ、おらがそばだの田舎そばだの、
いろいろ能書き並べたくせに
キューバのせいでそばを食べられなかった。
ビールだけは3杯も飲んどいてネ。
近々、ウラを返したいと思っちょります。

「田舎そば 須坂」
 東京都新宿区上落合2-18-9
 03-4296-3493

2024年4月22日月曜日

第3519話 新井薬師のキューバサンド

本日のターゲットは中野区・新井薬師。
ここに都内でも珍しい、
キューバのサンドイッチ・スタンドがある。
都営大江戸線を中井で下車し、妙正寺川沿いに
そのせせらぎを聞きながらひと駅歩いた。

真言宗の新井山梅照院(新井薬師)に一礼し、
薬師あいロードの「SUNSETBEER FC」へ。
店頭のシェフに一声掛けた。
「イートイン、いいですか?」
「はい、どうぞ!」

キューバサンド・クラシックの1/2サイズと
ガラナサワーをお願いして
小っちゃなテーブルに着く。

ガラナサワーはキンミヤ焼酎を
ブラジルの国民的ドリンク、
ガラナ・アンタルチカで割ったもの。
ジンジャーエールに似ているが
J.C.はこちらのほうが好みだ。

キューバサンドは生地にラードを練り込んだ、
クバーノというパンにバターを塗って焼き、
プルドポーク・ハム・チーズを挟んだサンド。

発祥はフロリダ州マイアミながら
前身はキーウエストのシガー工場の労働者が
ハムチーズサンドをアレンジしたものだという。
マイアミの北西に位置するタンパ系もあるそうだ。
ミラノ生まれのパニーニに似たホットサンドだが
こちらの歴史はずっと古い。

焼くのに時間がかかり、10分近く待ったかな?
フランスのバゲットサンドを
細身にした感じで現れた。
両手でホールドしてパクリ。
いや、ガブリだなこれはー。
ラード&バターに U.S ポークとハム&チーズ。
ダイナミックな旨みが口内に拡がった。
1/2 サイズで十分、いや、十二分だネ。

学校帰りの小学生がみんなして
「ただいま」「ただいま」と
シェフに声を掛けてゆく。
ママと一緒に食べに来て仲良くなったそうだ。
ここでドリフが「ズンドコ節」を歌い出す。

♪ 学校帰りの 森陰で
  ぼ~くに駆けより 
  チューをした
  セーラー服のおませな子 ♪

おっと、相手は小学生、
教育上の問題もあるからここらでやめとく。
ハートランドの生を1杯もらい、
「ごちそうさま、またおジャマするネ」
「お待ちしてま~す!」

「SUNSETBEER FC」
 東京都中野区新井1-35-11
 電話ナシ

2024年4月19日金曜日

第3518話 いつも元気な砂町銀座

東京に、いや、日本全国どこにでも
数多あるナントカ銀座。
そのうちJ.C.一番の気に入りは
江東区・北砂の砂町銀座である。
丸八通りと明治通りを結ぶ、
東西600mほどの商店街だ。

シャッター街と化した銀座が多い中、
此処はいつ訪れても元気いっぱい。
活気にあふれている。
久々に行きたくなって出掛けた。

「銀座ホール」に入ろうとも思ったが
待て、待て、端から端まで歩いてみよう。
どんなめっけもんが潜んでいるやも知れぬ。
すると・・・ん?「みどりのおかず」?
記憶にない店舗に出くわした。

店頭に焼き鳥、惣菜、弁当などが所狭し。
店内をのぞくとドライ生のタップが見えた。
オネエさんに
「おかずを買って中で飲めるの?」ー訊ねると
「ハイ、そうですヨ」ー明るいお応え。
「お店は前から在ったっけ?」
「エエ、9年くらいになります」

5個入りのたこ焼きと
肉野菜炒めのパックを手に取り、
中ジョッキをお願い。
CODの支払いは809円也。

たこ焼きを1粒、口内に放り込むと
辛うじてオクトパスを感じられた。
2粒目を箸で割ったら
紫式部の小指の先ほどのたこが出て来た。

野菜炒めは食べ出があった。
豚バラ・キャベツ・もやし・にんじん・
ニラがけっこうな量、よく炒まっている。
味も真っ当な町中華のレベルに達していた。

生をもう1杯飲んで銀座を丸八通りに抜け、
北に歩いてほどなく大島の町。
此処に来たら「亀戸餃子 大島店」だ。

カウンターに陣を取り、
ドライ大瓶と餃子1人前(5ヶ)を発注。
ゆでもやしが出て来るのは毎度のこと。
卓上のガーリックオイルと酢をかける。

餃子の旨さは相変わらず。
J.C.的には東京で1番。
2番は飛鳥山の「豫園飯店」である。
老酒を1杯所望し、
意気揚々と引き上げました。

「みどりのおかず」
 東京都江東区北砂5-1-32
 03-5683-0203
「亀戸餃子 大島店」
 東京都江東区大島4-8-9
 03-5628-0871

2024年4月18日木曜日

第3517話 ビールの友の草だんご

足立区・北千住で所用を済ませ、
遅めの昼食とまいりましょうかー
そうだ、西新井大師に参りましょう。
東武伊勢崎線だと西新井乗り換えだが
北千住からは大師行きのバスが出ている。
OK! 発車、オーライ!

参詣もそこそこに参道を戻り、
かねて利用したかった「かどや」へ。
ブリキのペンキがはげかかり、
妙な愛嬌をかもす、どレトロな店。
ラーメン、うどん、焼きそば、あんみつを出し、
店頭で今川焼(120円)も売っている。
ただし、アルコールはビールすらないのが残念。

=代金は品物と引き換えにてお願い致します=

店内のあちらこちらに貼り紙がペタペタ。
ラーメン(500円)と引き換えに
コインを1枚差し出した。

あっさりスッキリ鶏ガラ出汁に細打ちちぢれ麺。
具材は、ももチャーシュー・シナチク・ナルト。
期待通りの素朴感が舌を和ませ、心に響く。

参道を再び山門に向かう。
次に入ったのは門前の「清水屋」。
名物は草団子である。
ドライの中瓶を発注し、品書きに目を落とす。

軽めのものは、枝豆・酢の物・上新香・
焼き鳥・おでん・もつ煮込みといったところ。
でもねェ、ラーメンのあとだしなァ。
そうだ、ここは一番、開き直っちゃうかー。
窮鼠、猫を咬むの例え通り、
思い切って草だんごを注文したのでした。

まさに、ビールの友の草だんご。
これが予想を覆すヒットであった。
選手を使い切ってしまい、
代打にピッチャーを送ったら
タイムリーを放ってくれたケースだ。

餡子滑らかにして上品な甘さ。
6粒のだんごきめ細かく、よく延びる。
葛飾・柴又の題経寺(帝釈天)参道と
比べてしまうが「とらや」よりはるかに上。
「高木屋老舗」と同レベルか?
いや、それ以上かもしれない。
草だんごは柴又より西新井がオススメだ。

隣り合わせた左右の客は天丼と天ざる。
天ぷらはタネ、揚げ切りともによし。
そばは茶切りでなかなか美味しそう。
次回は食事をしてみよう。
そんな気にさせられたのでした。

「甘味 かどや」
 東京都足立区1-7-12
 03-3890-2360

「清水屋」
 東京都足立区西新井1-9-11
 03-3890-4122

2024年4月17日水曜日

第3516話 始まりは真っ赤な梅干し

隅田の川っぺりの桜を堪能したので
この日は荒川沿いに出掛けてみた。
バランスをとる意味もあってネ。
都営新宿線を降りたのは
江東区の東のはずれ、東大島だ。

ビールを買い忘れ、シラフで歩いた。
花見客なんぞ一人としていない。
というより誰もいなかった。
思う存分、ぶ~らぶら。

船堀橋で荒川と中川をダブルで渡り、
船堀駅前に到達した。
この町に来たら当然「百味家」である。
あれ? 看板が付け変わってる。
「船堀食堂 百味家」だってサ。
飲む客より食う客を呼び込むつもりかな?
どっちでもいいや、おジャマしまッス。

ズラリ並ぶ料理の皿、皿、皿。
ふと目についた梅干しの小皿を手に取った。
真っ赤っ赤ではあるけど、
これは食紅による着色であって
間違っても紅麹ではあるまいな。
種をしゃぶりながら、そう思う。
種をしゃぶれども果肉はまだとってある。

ドライの中ジョッキを飲りつつ、
何かもう一品欲しい。
料理台に戻り、珍しくチキン南蛮をー。
敷かれたレタスとオニスラがうれしく、
チキンは柔らかいし、タルタルも上出来。 
これは当たりでした。

赤紫蘇ドリンク、バイスサワーに切り替えた
梅干しに赤紫蘇は付き物だからネ。  
バイスの友に箸先で突ついていると
とてもよいアクセント。
梅干しと信頼感で結ばれた気がした。

船堀駅前ロータリーに戻ったら
間もなく新小岩駅行きのバスが来る。
前回、時間が早過ぎてあきらめた、
立ち飲み「しげきん」に寄ってみよう。

ドライの中ジョッキに
富山湾産ホタルイカの酢味噌を所望。
兵庫産に比べ、プリプリ感がまったく違う。
これにはワカメもたっぷり添えられていた。
辛子のよく効いた酢味噌がシャープだ。

さいたま市の清酒・蔵そだちを1杯、
常温で飲み干し、さァ、これからは?
JRで錦糸町、バスで綾瀬、
そのどちらかになりましょう。

「船堀食堂 百味家」
 東京都江戸川区船堀3-2-3
 03-3869-6610
「しげきん」
 東京都葛飾区新小岩1-30-8
 03-5662-8536

2024年4月16日火曜日

第3515話 J.C.イチ推しの花見スポット

ビールで煮込んだカレーのあと、
いよいよ花見。
ドイツビールをあえて回避したので
まずはコンビニに直行。
ドライのレギュラーを2缶買い、
隅田川を中央大橋で渡った。

橋の南詰から佃公園に掛けての左岸沿いが
J.C.イチ推しの花見スポットである。
桜そのものは千鳥ヶ淵や播磨坂に
勝ると云えないまでも
何たって此処の魅力は花見客の少なさ。
ゆるりと花を愛でることができる。

今年も花の下の独り歩きはあちこちで敢行した。
上野公園は多くの人が宴を催す、
お山よりも不忍池のほとりが断然よろしい。
日比谷公園も穴場ながら
桜の木が少な過ぎるきらいあり。

千鳥ヶ淵&靖国神社ではヒドい目にあった。
あの人ゴミは、もとい、人混みはいったい何だ?
3分歩いて退散の巻。
あれじゃ、花見じゃなくて人見だヨ。
桜に代わる人のドタマにゃ、やってられまへん。

隅田のほとりでくつろぎ、
相生橋で晴海運河を渡り、門前仲町へ。
気に入りの立ち飲み酒場、
「ますらお」に来るも、またまた臨時休業。
やる気あんのか? 責任者出て来い!

すぐそばの「魚三酒場」をのぞいたとき、
入口近くにちょうど席が2つ空いており、
直ちに舞い戻ったものの、
すでにテイクン・バイ・レディース。
2階もいっぱいだったが2階のオニイさん、
下の ”はなれ” ならOKとのこと、再び階下へ。

はなれというのは
2つのコの字カウンターの左側。
窓辺に備わるエクストラ・カウンターのこと。
1階のオジさんが3席を2人で
自由に使えと云ってくれ、お言葉に甘えた。

ドイツカレーのせいで腹はパンパンだけど
別腹のドライ大瓶をお願いし、
できるだけ少量のつまみを吟味した。
生うに&焼きはまぐりを注文。
これならパンパンでもクリア出来る。

「魚三」が初めての相方は
雰囲気の良さと値段の安さにW感激。
次週には友人を連れて
再訪すると意気込んじまってる。
ドライのお替わりと肝付きあわびを追加。
肝が売り切れてしまい、身だけとなった。

大瓶2本、つまみ3品で勘定は3千円少々。
西東京の山の手じゃ、どう背伸びしたって
出来っこない芸当じゃござんせんか?
I love Shitamachi でございます。

「魚三」
 東京都江東区富岡1-5-4
 03-3641-8071

2024年4月15日月曜日

第3514話 ドイツのカレーは ビールで煮込む

のみとも・S織からメール来信。
花見に行きたいので
ここぞという所に連れて行けとの仰せ。
いいでしょう、いいでしょう、お連れしましょ。
人の少ない、とっておきのスポットがあるんだ。
おっと、その前に腹ごしらえ。

メトロ日比谷線・八丁堀駅で待ち合わせた。
銭形平次のキメぜりふが脳裏をよぎる。
「八丁堀の松殺しの下手人が
 挙がったってェじゃねェかい
 八、ひとっ走り走りねェ」

南高橋を高橋から眺めつつ、亀島川を渡る。
此処からの景色は Best10 of Tokyo に
数えられるほどの絶景である。
橋の南側は新川だ。
新川には江戸の昔、各地から酒樽が集結した。
米蔵だと蔵前、酒蔵なら新川と
相場が決まっておった。

2年ほど前、築地にあったドイツ料理店、
「ピラミッド」が新川に移転した。
13時過ぎで店先には4人の並び。
1グループだから即解消されて入店。

昼のメニューはカレー一色である。
何回かドイツには行っているが
彼の国でカレーは食べたことない。
それどころか見たことすらない。
まっ、ずいぶん昔のハナシだけどネ。

品揃えは5品。
すべてドイツビールで煮込まれている。
チキン・ビーフ・ソーセージ・キーマに
本日のカレーはボンゴレと来たもんだ。

協議の結果、チキンとソーセージを通す。
ビールは花の下までとっとくとして
ミント葉入りのお冷やでガマン。
200円以下のトッピングが付くというので
ザウアークラウトとミニサラダをお願いした。

カレーのソースはどちらも欧風で似たり寄ったり。
ビールで煮込まれたという感じはあまりしない。
驚くのはその具材でチキンはもも肉がたっぷり。
ソーセージは長いのがとぐろを巻いていた。
途中からの味変のため、生クリームが付いて来る。
ライスの上にはちと水っぽい、
マッシュドポテトが鎮座していた。

ザウアークラウトは
本来の酸っぱいタイプではなく、
日本橋「たいめいけん」の定番、
酢油キャベツによく似たタイプで美味。
サラダはガーバンゾー(ひよこ豆)入りだ。

会計は2640円。
さぁ、S織、これから桜花を愛でるぞヨ。

「ピラミッド」
 東京都中央区新川2-3-7
 03-6260-3808

2024年4月12日金曜日

第3513話 山田太一と木下恵介 (その2)

そして2本目は松竹大船の
「惜春鳥(せきしゅんちょう)」(1959)。
監督・脚本ともに木下恵介である。

例によってその前に昼めし。
前回好かったので「グランタイム」再訪だ。
当店は千葉県の企業の運営で
地産地消をモットーに
多古米や房総ポークを積極的に提供している。
大原漁港仲買人の免許も取得済みの由。

今回はランチビールとともに店の意を汲んで
房総ポークの生姜焼きにした。
スープ・サラダ・ライスが付き、
バラ肉は1100円、ロースだと1200円。
豚の脂身は大好き、バラを選択する。

もやし・玉ねぎ・にんじんと炒めてあった。
肉・野菜ともにたっぷりである。
脇の生野菜はキャベツ・きゅうり・トマト。
豚の味付けはちょいと濃かったものの、
それなりに美味しくいただいた。

それにしても当店は女性客ばかり。
男女比は2:8、いや、1:9かな?
スープもサラダもメインディッシュも
野菜がいっぱい、夢いっぱい、だからねェ。

さて惜春鳥、これは架空の鳥だ。
映画「惜春鳥」のストーリーは
5人の高校同級生を軸に進む。
彼らを鳥に例えて過ぎ去りし青春を
惜しませるということらしい。

津川雅彦・川津祐介・小坂一也・
石濱朗・山本豊三、懐かしい顔ぶれが揃う。
彼らのエピソードを縦糸とすれば
横糸は佐田啓二と有馬稲子。
暗い過去を持つ、訳アリのカップルである。

舞台は会津若松。
当地ゆかりの白虎隊、その剣舞が
これでもか、これでもかと舞われる。
鳥たちだけにとどまらず、
芸者・みどり役の稲子もたびたび舞う。
踊りの基礎を習得した彼女、見事なものだ。
熱いファンにつき、ひいきの引き倒し。
そのそしりは免れないけどネ。

来月(4/20~5/24)の特集は
=戦前戦後 東京活写=
 映画の中で生き続ける、
 失われた東京の風景
楽しみで楽しみで今からワクワクしている。
全20作中、ザッと半数は観るでしょう。
興味のない方には申し訳ないが
リポートするのでおつき合いくださいネ。

「グランタイム」
 東京都千代田区神田神保町1-19-1
 03-6803-3966

2024年4月11日木曜日

第3512話 山田太一と木下恵介 (その1) 

今月(3/23~4/19)の神保町シアターは
標題通り「山田太一と木下恵介」。
けれどあまり惹かれることもなく、
鑑賞は12本中2本にとどまった。

1本目は武者小路実篤の「友情」と
「愛と死」を原作にした「愛と死」(1971)。
脚本が山田太一、制作は松竹大船だ。

この原作は日活映画、
「世界を賭ける恋」(1959)でも採用された。
あちらは裕次郎&ルリ子で監督は滝沢英輔
こちらは新克利&栗原小巻で監督は中村登。

まず、いつものようにチケットをゲットしたら
近所で腹ごしらえだが、この日はあいにくの雨。
シアターのはす向かいのカフェ・レストラン、
「グランタイム」に初めて入った。

正午過ぎで7割の入り、天気のせいかな?
4席しかない窓辺のカウンターに陣を取り、
シアター入口を眺めながらの食事。
ランチビールは一番搾りの生だけど、
仕方なくお願い。

本日のパスタはスパゲッティで
小海老・アスパラ・リコッタのトマトクリーム。
これが意想外に美味しかった。
初めに出たフジッリ入りサラダと
野菜コンソメもおざなりではなく好かった。
生をお替わりして会計は1600円也。

界隈をぶらぶらし、シアターへ。
武者小路の小説2作をまとめ上げ、
山田がシナリオにした労作は正直言って
さほどのデキと思えない。
「世界を賭ける恋」のほうがいいネ。

裕次郎と新克利の差と言ったら
克利が可哀想だけど
男が女の元を離れて行く先が
欧州と奥州ではあまりに違い過ぎる。

監督の中村登は特異な人で
1950年以降はほとんど文芸路線専門。
大佛次郎・山本有三・永井荷風・
志賀直哉・井伏鱒二・舟橋聖一・
三島由紀夫・吉屋信子などなど。
何の因果か知らんが、ちとやり過ぎだろう。

ちなみにJ.C.が一番好きなのは
松本清張原作の「波の塔」。
ヒロイン・有馬稲子に
心を奪われちまいやした。

=つづく=

2024年4月10日水曜日

第3511話 みんなコリャコリャ コリアめし

2カ月に1度の6人会。
此度は新橋の韓国料理店を択んだ。
数日前、参鶏湯を食べたばかりなのにネ。

みんなと会う前に独りで日比谷公園へ。
桜の木の下の宴会をやめてずいぶん時が経つ。
ああいうマネは
いい大人がするもんじゃないと気づいた。
若気の至りが許される若者の特権なんだヨ。

プラコップのビールを飲みながらそぞろ歩く。
コサギが1羽獲物を狙う、心字池から雲形池へ。
ほとりには立派な染井吉野の大木が2本。
なかなかの眺めである。

内幸町を抜けて新橋へ。
会食のスタートは16時。
時間通りに飲食店が
何軒も入居するビルの8階に上った。

6人には狭苦しい卓に着いたのは5番目。
最後の一人がなかなか現れないが
定刻を過ぎたので見切り発車。
ドライの中ジョッキを合わせた。
1名のみグラスの赤ワイン。

「ハヌリ新橋店」にはもちろん焼肉もあるが
焼肉はどこででも食べられるから
本日は正宗韓国料理を攻めてゆくことにー。

最初はまたもや参鶏湯。
今日は6人なので
丸2羽といきたいところなれど
そこは自重して1羽にとどめおく。
うん! うまい!
出汁がよく出て先日の西巣鴨より上だネ。

続いては豚バラ肉を焼くサムギョプサル。
韓国語で三枚肉のことだ。
2人前はデカく熱いのが2枚。
ほぼ焼き上がったらハサミでチョキチョキ。
白菜キムチも脇で焼かれてゆく。
これも実にうまかった。

レギュラー、黒豆、こがし、
3種あるマッコリを何杯もあおる。
合間に生ビールをはさみつつ、
飲み放題に任せてどれだけ飲んだかな?
IKKO サンなら、どんだけ~!必至。

牛赤身ユッケ、ワタリ蟹ケジャン、
炙り牛レバー、海鮮チヂミ、冷麺、
ユッケジャンと食うほうも、どんだけ~!
これだけ飲み食いして会計は
1人アタマ5千円ちょっと。
安くてどうも、カムサハムニダ!

サァ、これからN々&トモ夫妻の邸宅に
みんなで押し掛け、二次会でありまする。

「ハヌリ 新橋店」
 東京都港区新橋3-13-4 eatus 新橋8F
 03- 5843-8188 

2024年4月9日火曜日

第3510話 熱々ランチは 半参鶏湯

コリアン料理の参鶏湯が食べたくなった。
日本の鳥の水炊きに似ていないこともないが
彼の地では一羽丸ごと煮てゆく。

思い起こせば、40年前。
盟友と二人で韓国旅行に出掛けた。
ソウル(京城)からプサン(釜山)に廻り、
釜山では名物の穴子刺しと参鶏湯を堪能した。

穴子は海っぺりに何軒も連なる屋台でー。
参鶏湯は市内を見下ろす高台の店で食べた。
どちらも実に美味しかった。

日本では珍しい穴子の刺身だが
韓国ではよく食べられる。
殊に釜山は穴子の大産地、
対馬の目の前だからネ。
参鶏湯も釜山が本場なのである。

当欄でも一度紹介した、
西巣鴨の「韓なら」に二度目の訪問。
前回はプルコギをいただいた。
丸一羽では多すぎるため、
韓国料理店はどこでも半参鶏湯を供する。
特にランチタイムはネ。

ドライの中瓶とともに
半参鶏湯定食をお願いした。
最初に運ばれたのは韓流の小さな冷奴。
そして白菜キムチと豆もやし。
ビールの友にはちょうど好い。

そしてしばらく・・・
来た、来ました。
グツグツグツと煮えたぎってー。
こいつは地獄谷のミニチュア版ですな。
いや、熱いのなんのっ!
猫舌にはどうすることも I can not.

白濁したスープの中に骨付きチキンが
浮き沈みしている。
ほとぼりが冷めるまでしばし放置しておいた。
鉄は熱いうちに打て!
鍋は冷めてから食え!

正統派のレシピに従い、
高麗人参1片、ナツメの実1個、
そして、もち米がそこそこ投入されていた。
人参とナツメはもっと欲しいんだけどな。
上品な薄味は飽きがこないけれど、
ここにポン酢があったら云うことナシ。
ちょいとばかりミツカンが恋しいのでした。

「韓なら」
 東京都豊島区西巣鴨4-14-14
 03-4361-7830

2024年4月8日月曜日

第3509話 玉ねぎまみれ 金町の午後 (その2)

葛飾・金町の午後3時半。
「さと村」でくつろいでいる。
ペタペタ壁に貼られた貼り紙を
ぼんやり見ていたら玉ねぎ焼酎があった。

先刻のスタッフに
「玉ねぎで焼酎なんか出来るの?」ー訊ねたら
「エッ? エエ」ー何だか頼りない返事。
まずはボトルを見せて貰う。

淡路玉葱40%以上使用 
玉ねぎ焼酎 淡路のひだまり
とあった。

単式蒸留焼酎の原料は
玉ねぎのほかに国産米と麦麹。
販売者は兵庫県洲本市の淡路酒販。
製造所が徳島県上板町の日新酒類。
アルコール分25%、内容量720ml。

ロックで所望したら
大き目のグラスになみなみと注がれて来た。
こりゃ酔っ払ちまうゾ。
玉ねぎの香りはまったく感じない。
25度にしてはもっと強く感じた。

頼りない返事のオネエさんに
「玉ねぎつながりで淡路のオニオンスライスを
 いただこうかな?」
「ソレ、いいですネ」
「淡路モノが目立つけど
 オーナーかマスターが淡路島の出身なの?」
「そうなんです」
「焼き場で焼いてる彼?」
「そうです、そうです」

オニスラがとても美味しい。
淡路の特産といえば、第一に玉ねぎだが
新玉ねぎの如くにフレッシュだ。

ものはついで。
玉ねぎスープも頼んじまった。
こちらは多少の化調感が残るものの、
揚げ玉ねぎチップが大量に浮いて香ばしい。
コレも好かった。

お勘定は金2180円也。
何だかスゴく得をした気分で
南口ロータリーから小岩行きのバスに乗りました。

「さと村」
 東京都葛飾区東金町1-25-5
 070-2001-5746

2024年4月5日金曜日

第3508話 玉ねぎまみれ 金町の午後 (その1)

この日は江戸川区・平井に行くつもり。
上野松坂屋前でバスを待っていた。
すると平井行きの3分前、
バス停に来たのは葛飾区・金町行きである。

この場所から出ていることは知っていたが
本数が少ないため、乗ったことはない。
これ幸いと乗り込んだ。
前日に続く葛飾参りで、平井はまたの機会。

普段と違う路線は心ウキウキ。
ちょっとした観光バス気分だネ。
景色の見えないメトロではこうはいかない。
ほうら、藤圭子も歌い出す。

♪ 遊びじょうずな 人だから
  あなた仕事を 押上よ
  金がなくても 金町は
  させてあげます いい思い
  よってらっしゃい
  よってらっしゃい お兄さん ♪
   (作詞:はぞの・なな)

「はしご酒」は1975年のリリース。
当欄では5回目ぐらいの登場になる。
それほど好きなんです。

金町に到着して主に北口を徘徊。
以前、何度も利用した雀荘「T」には
”テナント募集” の貼り紙がー。
ときどきそばをたぐった「白樺」は中休み。
この時間でも開いていそうな
「ときわ食堂」に向かう。

すると、お初の焼きとん屋に出くわした。
開業して間もない様子だ。
ガラス越しに店内をのぞく。
時刻は15時ちょい過ぎで店の開店直後。
にもかかわらず、何人かの人影を確認できた。

逆さL字カウンターの奥に案内される。
サッポロ赤星の中瓶を貰い、
焼きとんリストのチェック。
カシラとサガリを塩、
レバ胡麻油ネギというのを1本づつ。
レバの圧勝で、ほかはかなり硬かった。

座った位置からは
本日のオススメ・ボードが見えない。
目の前の女性スタッフに
「ちょっとボードを見てくるネ」ー伝えると
「お持ちします」ー外して持って来てくれた。

いつもは無いのだろう、
焼き鳥のフリソデがあった。
鳥の肩肉である。
タレでお願いすると2本供された。
プリッとした食感が好もしい。

中瓶をお替わりし、
さらに入念にメニューのチェック。
佃煮だろう、淡路のりがあって
驚いたことに850円でボトルキープ可能。
のりの瓶詰のボトル売り。
しかもキープ有りというのは初めて見たヨ。

=つづく=

2024年4月4日木曜日

第3507話 親を救った孝行息子 (その2)

誰もいない「玉子家」を自由に歩き回る。
「木根川の歴史」だったかな?
書棚から当地を紹介する書物を抜き取った。
席に戻り、ビールをお替わりし、
パラパラやっていたら図らずも引き込まれた。

1954年の写真はかつて浅草にあった、
美人座の前で靴磨きするオジさん。
彼の背後の美人座ポスターには

満嬢一致 快戯は踊る 
ヌードショウ 毛穴までどうぞ

とあってハハハ、笑わせるなァ、
毛穴見てどうすんだよぉ。
乳房も露わな美人が映っていたが
エロスというより、むしろ漫画チックだ。
それとは別に若い頃の高峰秀子や
清川虹子のスナップがとても懐かしい。

ほぼ食べ終えた頃、
閉じていた座敷の襖(ふすま)が
スス~ッと開いて中から美女、もとい、
老女将が顔を出し、ここで会話が始まった。

ときどき都内で見かける、
ひよこの絵柄入りバンをてっきり、
この店のものだと思って
何を運んでいるのか訊ねたらまったく見当違い。

同じ「たまごや」でもこちらは「玉子家」、
あちらは「玉子屋」、関係はなかった。
先方は大田区を中心に
弁当の宅配をなりわいとしているそうだ。
いずれにしろ、ご馳走さまでした。
ちなみに来客は最後までありませんでした。

せっかく四ツ木に来たので隣りの立石へ歩く。
駅の北側はいよいよ大型再開発が始まっていた。
何が出来るものやら、とてつもなく広い地域が
駅自体をも巻き込んで大工事の真っ最中。
以前のレトロ感なんか吹き飛んじまった。

一方の南側は相変わらず。
この町随一の人気を誇る、
焼きとん「宇ち多゛」は前代未聞の大行列。
ザッと50人が並んでいた。
こりゃ、ハケるまで2時間はかかるネ。

近所に酒が飲める甘味処「舟和」と
「えびす屋食堂」があるけれど、
丼めしのあとではキツい。

京成押上線を青砥で京成本線に乗り換え、
黄昏れの上野に戻ったのでした。
「たきおか」か「味の笛」で
瓶か生のドライでしょうな。

「玉子家」
 東京都葛飾区東四つ木3-23-25
 03-3691-0016

2024年4月3日水曜日

第3506話 親を救った孝行息子 (その1)

世界のあちこちで人気のサッカー漫画、
「キャプテン翼」の町、四ツ木へ。
此処へ来るのは5年ぶりだ。

同じ葛飾区でも隣りの立石や北側の堀切菖蒲園、
あるいは南の新小岩にはよく出没するのに
四ツ木は何となく縁遠い。
サッカーは好きだけど、
「キャプテン翼」を読んだことがないしネ。

駅から徒歩1分の和食店「玉子家」が
本日のターゲット。
4階建ての1階に入店してみると
先客はまったくのゼロ。
誰かが居た気配すらない。
時刻はまだ13時なのにー。

ドライの大瓶にずいぶん立派な突き出し登場。
山菜天ぷら・ほたるいか&天豆・
かきベーコン巻き&煮ごぼう
みなしっかりしているが
ワンコインでは収まりそうにないな。

屋号は「玉子家」なれど
玉子料理専門店ではない。
ちょいと気取った和食店てな感じの料理が並ぶ。
ただし、親子丼と玉子丼はオススメらしい。

せっかくの「玉子家」。
ほとんど注文した記憶のない玉子丼にしようかー。
いや、持ち帰りの玉子焼きがウリのようで
それが組み込まれたメニューはないかな?

すると、あった、ありました。
やきとり丼(玉子焼き入り)というヤツがー。
コイツはいいや、コレにしよう。
突き出しをアテに
努めてビールをゆっくり飲みながら待つ。

運ばれた丼の焼き鳥はもも肉のねぎま2本に
焼き立てホカホカの玉子焼きの大きいのが3カン。
玉子の上に焼き鳥のタレだろうか、
薄っすらとかかっておった。

うん、出汁巻き玉子はまことに結構。
麦酒にもピタリと寄り添う。
ところがどっこい、メインの焼き鳥が残念賞。
硬いばかりで弾力に欠け、ちっとも旨くない。
これはまさしく、親(鳥肉)の不手際を
親孝行な息子(玉子)が助けているネ。
ハハハ、鳶が鷹を産んだケースであります。

=つづく=

2024年4月2日火曜日

第3505話 三軒乱立 「ときわ食堂」

中野区在住の友人・F本サンから
メールが届き、引越ししたいと言う。
何でも文京区を想定しており、
ついては区民のJ.C.に
いろいろ指導を仰ぎたいとの仰せ。
週末に会うこととなった。

いろいろ物件を外見する前に腹ごしらえ。
不忍通りは動坂下交差点そば、
「食事処 ときわ」に入店した。
土曜日の13時とあって
かなりの立て混み様であった。
ほとんどの卓が昼飲み真っ盛りだ。

われわれも負けじとドライの大瓶に
つまみは小肌酢と穴子天ぷら。
小肌は巨肌に近いものだったが
酢の〆加減よろしく、そこそこ満足。
穴子もホックリと揚がっていた。
欲を言えば、もうちょい胡麻油の香りが欲しい。

それにしても「ときわ」を名乗る食堂が
たかだか1km 四方に
三軒も乱立するのがこのエリアである。
「巣鴨ときわ食堂 駒込店」は豊島区・駒込。
「食堂 ときわ」が北区・田端。
そして「食事処 ときわ」は文京区・本駒込。

18世紀フランスの哲学者、
モンテスキューが提唱したのが
立法・行政・司法の三権分立ならば
駒込界隈の「ときわ」は三軒乱立と来たもんだ。
何でまたこんなことになっちゃったのか?

「ときわ」のルーツは「常磐花壇」。
浅草に創業したのは明治22年で
維新から20年以上経っているのに
一番のウリは開化丼だったらしい。
ザンギリ頭はすでに珍しくなった頃だろう。
そこから派生した食堂タイプの第一号は
明治末期に墨東・本所で生まれたそうだ。

大瓶をお替わりして岩のり佃煮をー。
桃屋の江戸むらさき&ごはんですよに比べ、
塩気と甘みを抑えた味付けは
当店の自家製と思われた。

F本サンに食事を促すと、
ときわ名物・特別定食が食べたいと言う。
安くて旨くてボリューム満点のメニューで
今日のおかずは、とろまぐろ納豆、
しいたけ煮、切り昆布煮、とうふ味噌汁。
何でコレが650円なの? 価格破壊だヨ。

当方はらっきょを貰って飲み続ける。
支払いは3千5百円ほど。
さあ、これから物件を見て回ろう。
けれどネ、文京区に引っ越されたひにゃ、
のみともがまた増えちまうなァ。
秘かに危惧するJ.C.なのでした。

「食事処 ときわ」
 東京都文京区本駒込4-37-5
 03-3821-7420

2024年4月1日月曜日

第3504話 銀座のそば屋は そばよりつまみ

東京の時刻は午後四時。
八戸の「8 base」はまだ開かない。
この時間だと、う~ん・・・
そうだ「泰明庵」だ。
日本そば屋は中休みを取らない店が多く、
こんなときには打ってつけである。

みゆき通りの北西の端に出て、
泰明小学校前の小路に入る。
暖簾をくぐったら
脇目もふらずに2階へトントントン。
当店は1階がそば屋、2階は居酒屋。
別段、店が決めたわけではないが
客はそんな腹積もりで来店する。

ドライの中瓶を注ぎ合ってグラスを合わせた。
最初に通したのは
平目の刺身と真鱈白子の天ぷら。
平目は朝〆とみえてコリコリ感が残っており、
歯触りに快感をもたらす。
素材自体もなかなかの上物である。

一方の白子も好かった。
お運びのオネバさんに
「ゆがいてポン酢もできますけど・・・」
そう言われたが相方は天ぷらを主張した。

銀座という街は意外に日本そば屋が少ない。
そのせいか、どの店も繁盛しており、
「泰明庵」もご多分にもれず、
昼から晩まで賑わっている。

日本酒に切り替えようと
二人して壁の品書きを見上げた。
北海道・東北・北陸の銘酒が並ぶが
最も品揃え豊富なのは米どころ新潟である。

おっと、灘の生一本、白鷹酒造の手になる、
褒紋正宗があるじゃないか!
しばらく口にしていないが好きな酒である。
かつて本郷は東大前にあった、
東京最古のおでん屋「呑喜」の定番だった。

高校生のときに読んだ、
岩波新書の醸造学に関する1冊で
賞賛されていたのを記憶している。
歓んで発注したものの、残念ながら品切れ中。
気を取り直し、山形の出羽桜をぬる燗でお願い。

締めはせりそばと穴子天丼。
緑したたるせりは結構ながら
相変わらずそばがイマイチ。
天丼は穴子の脇にピーマン&かぼちゃ。
丼つゆに力が無くなった気がした。

やはり「泰明庵」はそばよりも
つまみで持っているのでした。

「泰明庵」
 東京都中央区銀座6-3-14
 03-3571-0840