2024年4月25日木曜日

第3522話 翌日戻った 荒川車庫前

車庫でフラれたその翌日。
どうにも気になって今一度、現場へ。
犯行現場に戻る犯人の心理と一緒だネ。
同じ轍は踏むまいと12時半前には到着した。

うわっ、けっこうな繁盛ぶりじゃないかー。
元気なオバちゃんたちがフロアを縦横無尽。
壁に向いた変形カウンターの一画を確保し、
料理カウンターに進み寄る。

あんまり並んでないなァ。
というのも注文後に作り始めるもの多し。
「今日の揚げ物はイカフライで~す!」
オバちゃんの掛け声にイカを通す客が7割だ。

冷奴と肉じゃがの小鉢を取り、
ドライ大瓶とともにお願いした。
トレイに乗せて着席したら
ビールとグラスが直ちに運ばれ来た。

近所で人気の豆腐屋のものと思われる豆腐は
半丁だけど、けっこう大きい。
ねぎとおかかが掛かっているが
やはりこれにはおろし生姜が欲しい。
肉じゃがは新じゃがとにんじんに豚小間。
今が季節の新じゃががうれしい。

1240分になると潮が引くように客が引ける。
ライチャス・ブラザースの「引き潮(Ebb tide)」が
聞こえてきたが英語なのでやめとく。
たぶん英語を解さない浪花の小姑の目を
すり抜けるには好い機会だが
鬼の居ぬ間の洗濯みたいな行為は慎みたい。
いろいろ気を使うなァ、ジッサイ。

引き潮とともに身を引くことにした。
しかし、まだ飲み足りない。
荒川線の車庫前から熊野前まで4駅歩き、
日暮里・舎人ライナーに乗った。
行く先は西新井大師西の「みたけ食堂」。

此処でもドライ大瓶をもらい、
生たらこ1切れ、さば味噌煮1/4身、
そしてさっきはパスしたイカフライ。
当店はポーションが小さいので
少食のJ.C.にはまさに打ってつけ。
明るく楽しく健康的な独り飲みである。

壁に「居酒屋風営業はしません」の但し書き。
ビールだけはあるが
日本酒・焼酎・ウイスキーの類は置かない。
フロアのオジさんにおそるおそる、
缶ビールの追加を打診すると
快く引き受けてくれた。
何度も来ているので覚えてもらったらしい。

ちなみに「ふじ家」も「みたけ食堂」も
飲んでいたのは、われ独りきりでした。

「ふじ家」
 東京都荒川区西尾久8-33-3
 03-3893-7186

「みたけ食堂」
 東京都足立区谷在家2-5-2
 03-3890-4421

2024年4月24日水曜日

第3521話 車庫でフラれて 昭和の町へ

北区・飛鳥山の中国料理店に
足繁く通うようになってから
都営荒川線(東京さくらトラム)によく乗る。
電車に揺られながら窓外の景色を眺めるうち、
荒川車庫駅前の食堂「ふじ家」に目がとまり、
気になったから初めて出掛けた。

到着すると、ん? んんん?
なんだよぁ、どうして準備中なんだよぉ。
あやっ! この店の営業時間は9~13時。
時刻は13時8分と来たもんだ。
あちゃ~! とんでも8分、もとい、ハップン。

でもネ、こういうのって意外に嫌いじゃない。
予定を崩されたとはいえ、
近所で代替店を探す楽しみが生ずるのだ。
まさに戸締りがおろそかな家を物色する、
空き巣狙いの心境ですな。

此処からJR高崎線・尾久駅はわりと近いハズ。
テクテク歩くことにした。
尾久という地番は東尾久も西尾久も荒川区の領域。
ところが駅は北区・昭和町一丁目なんだ。
その一丁目に「ブラッスリー つぐみ」がある。

車庫前でフラれ、昭和の町に来たわけだ。
実は当店も初訪問でガラス戸を静かに引く。
ドライの中瓶を通し、メニューをチェックする。

ポークカツトマトソース or トンカツソース
ポークポトフとロールキャベツ
チーズハンバーグデミグラスソース
牛ハラミのステーキバーベキューソース
牛ほほ肉の赤ワイン煮と帆立貝のグラタン
国産牛スネ肉のビーフシチュー
本日の鮮魚のポアレ(この日は真鯛)
たらこのスパゲッティ
チキンオムライス

ザッとこんなラインナップ。
あまり出逢わないポトフに白羽の矢を立てる。
最初のサラダからしておざなりではなかった。
赤&黄パプリカ・チコリ・サニーレタス・
ミニトマト・きゅうり、実に立派だ。

ポトフは豚肩ロースのほか、
じゃがいも・かぶ・にんじん・竹の子・菜の花・
モロッコインゲン・ブロッコリと盛り沢山。
ロールキャベツが同居してスープがヒタヒタ。
食べ出はあるし、味わいも深い。

うれしかったのはブレッド&バター。
2スライス分はあるバゲットに
バター好きが食べ切れないほどのバター。
近頃、バター別料金の店も少なくないなか、
心温まる応対である。

会計は金1700円也。
いやあ、いい店でした。
昭和の町でほくそ笑んだ次第であります。

「ブラッスリー つぐみ」
 東京都北区昭和町1-3-15
 03-3810-2936

2024年4月23日火曜日

第3520話 おらがそば、じゃなくって 田舎そば

薬師あいロードを南下して
中野ブロードウェイにやって来た。
せっかくだから2階に上がり、ぶ~らぶら。
とろろめしの「丸子(まりこ)屋」は健在。
ユニークな天丼の「住友」は定休日の様子。

中野に来るといつも
「vivo daily stand」の本店。
ビールが黒ラベルからハートランドに
代わったこともあって今日はヨソに廻ろう。

ここで思い出したのが
さっきのキューバサンドのビールだ。
やはりハートランドで
「泡、少な目でお願いネ」
「ウチはほとんど泡ナシですから・・・」
ホントに完全泡抜きで目の前に置かれた。
これにはシェフと意気投合。
しばし”泡談義” で盛り上がったのだった。

早稲田通りを東に歩む。
山手通りにぶつかる交差点を左折。
此処はメトロ東西線・落合駅の真上だ。
結局は薬局、中井の駅に戻って来ちゃった。
妙正寺川に架かる寺斉橋のたもと、
「田舎そば 須坂」に入店。
たびたび店先を通るので
存在は認知していたが入店はお初である。

15~18時はハッピーアワーで
ドリンクは瓶ビール以外、すべて250円。
時刻は15時45分、こいつはラッキー! 
じゃなくって、ハッピー!

さっそく一番搾りの中ジョッキをお願い。
つまみは野沢菜だ。
J.C.のふるさと、長野市の東隣りが須坂市。
この地域も北信、野沢菜の本場である。
白山上「戸隠そば 満寿美屋」には譲るが
じゅうぶん美味しかった。

生をお替わりして白海老のかき揚げをー。
何とこれが100円玉1個と来たもんだ。
揚げ具合よろしく、ビールの友に打ってつけ。
安価なものばかり注文して申し訳なく思い、
大海老天を1本追加。
それでもこれが野沢菜と同値の250円。
これじゃ、申し訳なさの上塗りだネ。

一茶の一句が思い浮かんだ。
信濃では 月と仏と おらがそば
ハハ、おらがそばだの田舎そばだの、
いろいろ能書き並べたくせに
キューバのせいでそばを食べられなかった。
ビールだけは3杯も飲んどいてネ。
近々、ウラを返したいと思っちょります。

「田舎そば 須坂」
 東京都新宿区上落合2-18-9
 03-4296-3493

2024年4月22日月曜日

第3519話 新井薬師のキューバサンド

本日のターゲットは中野区・新井薬師。
ここに都内でも珍しい、
キューバのサンドイッチ・スタンドがある。
都営大江戸線を中井で下車し、妙正寺川沿いに
そのせせらぎを聞きながらひと駅歩いた。

真言宗の新井山梅照院(新井薬師)に一礼し、
薬師あいロードの「SUNSETBEER FC」へ。
店頭のシェフに一声掛けた。
「イートイン、いいですか?」
「はい、どうぞ!」

キューバサンド・クラシックの1/2サイズと
ガラナサワーをお願いして
小っちゃなテーブルに着く。

ガラナサワーはキンミヤ焼酎を
ブラジルの国民的ドリンク、
ガラナ・アンタルチカで割ったもの。
ジンジャーエールに似ているが
J.C.はこちらのほうが好みだ。

キューバサンドは生地にラードを練り込んだ、
クバーノというパンにバターを塗って焼き、
プルドポーク・ハム・チーズを挟んだサンド。

発祥はフロリダ州マイアミながら
前身はキーウエストのシガー工場の労働者が
ハムチーズサンドをアレンジしたものだという。
マイアミの北西に位置するタンパ系もあるそうだ。
ミラノ生まれのパニーニに似たホットサンドだが
こちらの歴史はずっと古い。

焼くのに時間がかかり、10分近く待ったかな?
フランスのバゲットサンドを
細身にした感じで現れた。
両手でホールドしてパクリ。
いや、ガブリだなこれはー。
ラード&バターに U.S ポークとハム&チーズ。
ダイナミックな旨みが口内に拡がった。
1/2 サイズで十分、いや、十二分だネ。

学校帰りの小学生がみんなして
「ただいま」「ただいま」と
シェフに声を掛けてゆく。
ママと一緒に食べに来て仲良くなったそうだ。
ここでドリフが「ズンドコ節」を歌い出す。

♪ 学校帰りの 森陰で
  ぼ~くに駆けより 
  チューをした
  セーラー服のおませな子 ♪

おっと、相手は小学生、
教育上の問題もあるからここらでやめとく。
ハートランドの生を1杯もらい、
「ごちそうさま、またおジャマするネ」
「お待ちしてま~す!」

「SUNSETBEER FC」
 東京都中野区新井1-35-11
 電話ナシ

2024年4月19日金曜日

第3518話 いつも元気な砂町銀座

東京に、いや、日本全国どこにでも
数多あるナントカ銀座。
そのうちJ.C.一番の気に入りは
江東区・北砂の砂町銀座である。
丸八通りと明治通りを結ぶ、
東西600mほどの商店街だ。

シャッター街と化した銀座が多い中、
此処はいつ訪れても元気いっぱい。
活気にあふれている。
久々に行きたくなって出掛けた。

「銀座ホール」に入ろうとも思ったが
待て、待て、端から端まで歩いてみよう。
どんなめっけもんが潜んでいるやも知れぬ。
すると・・・ん?「みどりのおかず」?
記憶にない店舗に出くわした。

店頭に焼き鳥、惣菜、弁当などが所狭し。
店内をのぞくとドライ生のタップが見えた。
オネエさんに
「おかずを買って中で飲めるの?」ー訊ねると
「ハイ、そうですヨ」ー明るいお応え。
「お店は前から在ったっけ?」
「エエ、9年くらいになります」

5個入りのたこ焼きと
肉野菜炒めのパックを手に取り、
中ジョッキをお願い。
CODの支払いは809円也。

たこ焼きを1粒、口内に放り込むと
辛うじてオクトパスを感じられた。
2粒目を箸で割ったら
紫式部の小指の先ほどのたこが出て来た。

野菜炒めは食べ出があった。
豚バラ・キャベツ・もやし・にんじん・
ニラがけっこうな量、よく炒まっている。
味も真っ当な町中華のレベルに達していた。

生をもう1杯飲んで銀座を丸八通りに抜け、
北に歩いてほどなく大島の町。
此処に来たら「亀戸餃子 大島店」だ。

カウンターに陣を取り、
ドライ大瓶と餃子1人前(5ヶ)を発注。
ゆでもやしが出て来るのは毎度のこと。
卓上のガーリックオイルと酢をかける。

餃子の旨さは相変わらず。
J.C.的には東京で1番。
2番は飛鳥山の「豫園飯店」である。
老酒を1杯所望し、
意気揚々と引き上げました。

「みどりのおかず」
 東京都江東区北砂5-1-32
 03-5683-0203
「亀戸餃子 大島店」
 東京都江東区大島4-8-9
 03-5628-0871

2024年4月18日木曜日

第3517話 ビールの友の草だんご

足立区・北千住で所用を済ませ、
遅めの昼食とまいりましょうかー
そうだ、西新井大師に参りましょう。
東武伊勢崎線だと西新井乗り換えだが
北千住からは大師行きのバスが出ている。
OK! 発車、オーライ!

参詣もそこそこに参道を戻り、
かねて利用したかった「かどや」へ。
ブリキのペンキがはげかかり、
妙な愛嬌をかもす、どレトロな店。
ラーメン、うどん、焼きそば、あんみつを出し、
店頭で今川焼(120円)も売っている。
ただし、アルコールはビールすらないのが残念。

=代金は品物と引き換えにてお願い致します=

店内のあちらこちらに貼り紙がペタペタ。
ラーメン(500円)と引き換えに
コインを1枚差し出した。

あっさりスッキリ鶏ガラ出汁に細打ちちぢれ麺。
具材は、ももチャーシュー・シナチク・ナルト。
期待通りの素朴感が舌を和ませ、心に響く。

参道を再び山門に向かう。
次に入ったのは門前の「清水屋」。
名物は草団子である。
ドライの中瓶を発注し、品書きに目を落とす。

軽めのものは、枝豆・酢の物・上新香・
焼き鳥・おでん・もつ煮込みといったところ。
でもねェ、ラーメンのあとだしなァ。
そうだ、ここは一番、開き直っちゃうかー。
窮鼠、猫を咬むの例え通り、
思い切って草だんごを注文したのでした。

まさに、ビールの友の草だんご。
これが予想を覆すヒットであった。
選手を使い切ってしまい、
代打にピッチャーを送ったら
タイムリーを放ってくれたケースだ。

餡子滑らかにして上品な甘さ。
6粒のだんごきめ細かく、よく延びる。
葛飾・柴又の題経寺(帝釈天)参道と
比べてしまうが「とらや」よりはるかに上。
「高木屋老舗」と同レベルか?
いや、それ以上かもしれない。
草だんごは柴又より西新井がオススメだ。

隣り合わせた左右の客は天丼と天ざる。
天ぷらはタネ、揚げ切りともによし。
そばは茶切りでなかなか美味しそう。
次回は食事をしてみよう。
そんな気にさせられたのでした。

「甘味 かどや」
 東京都足立区1-7-12
 03-3890-2360

「清水屋」
 東京都足立区西新井1-9-11
 03-3890-4122

2024年4月17日水曜日

第3516話 始まりは真っ赤な梅干し

隅田の川っぺりの桜を堪能したので
この日は荒川沿いに出掛けてみた。
バランスをとる意味もあってネ。
都営新宿線を降りたのは
江東区の東のはずれ、東大島だ。

ビールを買い忘れ、シラフで歩いた。
花見客なんぞ一人としていない。
というより誰もいなかった。
思う存分、ぶ~らぶら。

船堀橋で荒川と中川をダブルで渡り、
船堀駅前に到達した。
この町に来たら当然「百味家」である。
あれ? 看板が付け変わってる。
「船堀食堂 百味家」だってサ。
飲む客より食う客を呼び込むつもりかな?
どっちでもいいや、おジャマしまッス。

ズラリ並ぶ料理の皿、皿、皿。
ふと目についた梅干しの小皿を手に取った。
真っ赤っ赤ではあるけど、
これは食紅による着色であって
間違っても紅麹ではあるまいな。
種をしゃぶりながら、そう思う。
種をしゃぶれども果肉はまだとってある。

ドライの中ジョッキを飲りつつ、
何かもう一品欲しい。
料理台に戻り、珍しくチキン南蛮をー。
敷かれたレタスとオニスラがうれしく、
チキンは柔らかいし、タルタルも上出来。 
これは当たりでした。

赤紫蘇ドリンク、バイスサワーに切り替えた
梅干しに赤紫蘇は付き物だからネ。  
バイスの友に箸先で突ついていると
とてもよいアクセント。
梅干しと信頼感で結ばれた気がした。

船堀駅前ロータリーに戻ったら
間もなく新小岩駅行きのバスが来る。
前回、時間が早過ぎてあきらめた、
立ち飲み「しげきん」に寄ってみよう。

ドライの中ジョッキに
富山湾産ホタルイカの酢味噌を所望。
兵庫産に比べ、プリプリ感がまったく違う。
これにはワカメもたっぷり添えられていた。
辛子のよく効いた酢味噌がシャープだ。

さいたま市の清酒・蔵そだちを1杯、
常温で飲み干し、さァ、これからは?
JRで錦糸町、バスで綾瀬、
そのどちらかになりましょう。

「船堀食堂 百味家」
 東京都江戸川区船堀3-2-3
 03-3869-6610
「しげきん」
 東京都葛飾区新小岩1-30-8
 03-5662-8536