上野アメ横のレトロ喫茶「丘」。
ナポリタン後のコーヒーを楽しんでいる。
コーヒーは専門分野じゃないから
四の五の言える立場にない。
それでもそこは老舗、美味しくいただけた。
手元の「散歩の達人」に
「丘」も掲載されている。
紹介されていたのはナポリタン。
これは単なる偶然に過ぎまい。
さあてと、これから向かうのは
ガス・ステーションならぬ、
ビア・ステーションだ。
「丘」が3年前にビールの提供を
ストップしちまったからネ。
行きつけの立ち飲み酒場、
「たきおか」に飛び込んだ。
ドライ大瓶と焼きとんはバラタレを2本。
朝鮮焼肉にも似たニンニク醤油味は
豚バラニンニク、略称バラニンと呼ばれる。
ビールの補給は済んだし、
他に寄るところもあるので
滞空はたったの15分。
アメ横を御徒町に戻った。
駅前のサカナのスーパー「吉池」へ。
例によって晩酌の肴の調達だ。
まぐろがずいぶん値上がりしている。
ミナミマグロはそうでもないが
本マグロの高騰ぶりは
出した手を思わず引っ込めさせる。
バチマグロ赤身に良いサクがあり、確保。
野菜ならともかく鮮魚売り場で
バスケットを携えることはない。
つい、つい、余分なものまで
放り込んじまうからネ。
珍しくもホッケの刺身があった。
このサカナは十中八九、
開きにされて干される。
刺身だと繊細な旨みが楽しめて
恰好の酒友となるのだ。
地下に降り、ウルメイワシの丸干しも。
以上、3点にとどめおいた。
あとは上野広小路と湯島天神下の間に
位置する「業務スーパー」に立ち寄り、
家の在庫が少なくなったブランデー。
レミーかヘネシーが理想なれど、
庶民はお手頃価格のダーヴェル・フレール。
その XOで御の字なんざんす。
「丘」
東京都台東区上野6-5-3 尾中ビルB1
03-3711-6621
「立ち飲み たきおか」
東京都台東区上野6-9-14
03-3833-2777
「吉池」
東京都台東区上野3-27-12
03-3831-0141
「業務スーパー 上野広小路店」
東京都台東区上野2-3-4
03-5812-2168
今日は近場ばかりなれど
あちこちと忙しい。
家を出て最初に団子坂下の青果店へ。
前日に取り寄せを頼んでおいた、
生わさびをピックアップ。
バスに乗ってノガミ(上野)へ。
手元不如意につき銀行で現金の引き出し。
お次は14時近くに遅いランチだ。
上野三大レトロ喫茶の一翼を担う「丘」へ。
「王城」と「古城」はどちらも
ここ1年ほどの間に訪れたが
「丘」は何と30年ぶり。
階段を降りてステッップ・イン。
ずいぶんガタが来てるねェ。
シャンデリアはぶら下がってるが
絨毯みたいな床材が擦り切れてるヨ。
先客も単身が2名のみで淋しい。
オニジさんに
「ビールありましたよネ?」
「今、出してないんです」
「エッ、いつから?」
「3年くらい前にやめました」
いつの間にやら純喫茶になっていた。
毎回ミートソースでもないもんだから
たまにはナポリタンをいってみよう。
ホットコーヒーと
セット(950円)でお願いした。
1964年、東京五輪の年に
開業した「丘」は今年で60周年。
当時と変わることのないナポリタンは
まさに喫茶店のソレである。
極太のスパゲッティに
具材はハム・玉ねぎ・ピーマン。
ケチャップがふんだんに使われてかなり甘い。
でも、昔から喫茶店のナポリタンはこうだ。
お決まりのパルメザンと
タバスコもサーヴされた。
レジ横にあった「散歩の達人」は上野特集。
10年以上前の号だった。
” 濃い上野 ”
アレもコレも、ぎゅっと詰まった魅惑の街
そうかなァ?
パラパラめくりながらフォークをあやつる。
レトロ喫茶のレトロなナポリタンを
古い雑誌を眺めながら食べてると
だんだん旨さが加味されてきた。
不思議なもんですねェ。
=つづく=
この日は北区のタバギン(田端銀座)へ。
うなぎと焼き鳥の「都鳥」は
マークしていたが初めての訪れである。
13時前に暖簾をくぐると先客はゼロ。
「いらっしゃいませ~」
迎えてくれたオニジさんの白衣の汚れが
目について少々気になった。
日曜日で休みなのか
女性スタッフがいないため、
おそらく厨房の彼が
接客に出て来たものと思われた。
よって大目に見ることにしよう。
うなぎ屋では最小サイズを択ぶのが常。
そこに肝焼きを1本プラスするのだ。
うな丼(1850円)と肝焼き(350円)を通す。
ビールはキリンラガーの中瓶のみ。
頼まざるを得ない。
「ごはんにはタレをかけないで下さい」ー
いつもそうお願いするが初めての店では
どんな状態で出て来るのか判らないし、
デフォの姿を拝む意味合いもあり、
あえて指示しない。
15分ほどで肝焼きが運ばれた。
8尾分くらいあろうか?
みっしりと串打ちされ、ふくら雀状態。
こいつは食べ出があるゾ、粉山椒を振る。
焼き上がりも味も、まことにけっこう。
うな丼に乗せるため、1/3ほどを残す。
10分遅れてうな丼が調う。
再び粉山椒を振り、口元へ運ぶ。
これまた想像以上の出来映えにニンマリ。
ただし、タレの分量は多過ぎた。
香の物はきゅうりぬか漬け&キャベツもみ。
そして歯応えがとても好いたくあん。
この店は当たりである。
お勘定は2750円。
帳場に店主らしきオジイさんが現れた。
この御仁を見ただけで店の年季が判る。
次回はうなぎ好きのニューめしとも、
S蘭を連れて来よう。
帰りにタバギンのおでん種屋「佃忠」で
晩酌用に何か買おうとしたが
あにはからんや定休日。
砂町銀座に本店のある鮮魚店、
「魚壮」に迂回したのでした。
「都鳥」
東京都北区田端3-7-6
03-3821-0205
神保町シアターにおける、
「映画に生きるー田中絹代」もいよいよ大詰め。
この日は永井荷風による三つの短篇、
「春情鳩の街」「にぎりめし」
「渡り鳥いつかへる」を原作とした映画、
「渡り鳥いつ帰る」(1955)。
上手いことまとめ上げたのは久保田万太郎。
監督が「警察日記」の久松静児。
今世紀初頭に一度だけ観た記憶が残っており、
前回の「流れる」に負けず劣らず好きな作品だ。
舞台は玉の井(東向島)と
向島の中間に位置する鳩の街。
荷風が愛した紅燈街でも比較的新しい。
戦災で焼け出された玉の井の業者が
移転して開いた新興カフェー街が此処。
敗戦の年、昭和20年5月に数軒がオープンし、
8月には数十軒に膨れ上がっていた。
いつB29の爆撃を受けるか判らぬ空の下で
いったいどんな人種がエッセエッセと
性なる行為に励んだのだろう。
明日死ぬかもしれないならヤることは一つか。
それはそれとして「渡り鳥いつ帰る」は
「流れる」同様に女優陣が豪華。
田中絹代を始め、淡路恵子・久慈あさみ・
岡田茉莉子・高峰秀子・桂木洋子。
「流れる」との大きな違いは
男優たちの存在が重要で
田中とともに娼館を営む亭主が森繁久彌。
あとは脇役陣ながら
左卜全・中村是好・藤原釜足など。
笑えるのは原作者の永井荷風。
昭和24年、浅草のストリップ劇場、
「ロック座」で「渡り鳥いつかへる」が
寸劇として上演された。
すると本人が「僕も出よう!」と舞台に上がる。
こんな感じであった。
舞台の中央におでんの屋台がある。
上手から出て来た荷風先生は
屋台のおやじに声を掛ける。
「おじさん、忙しい?」
「おや、産婦人科の永井先生じゃござんせんか?
まあ、お休みになってお一つ」
「や、ありがとう、一杯いただくか」
そこへ赤い洋装の若い女が通りかかる。
「あんた、なかなか可愛いネ、
そこまで一緒に帰ろう」
手を組んで去ってゆく。
観客はもちろん、楽屋裏も拍手喝采だった。
「渡り鳥いつ帰る」は今日(火)の正午、
明日(水)夜、明後日(木)夕方、
その翌日(金)午後と4回の上映を残している。
7日(土)からは新シリーズ、
「マキノ雅弘の時代劇傑作選」が始まる。
皮切りはあのバンツマの華麗なる立ち回り、
「決闘高田の馬場」
(「血煙高田の馬場」改題短縮版)であります。
穴子天せいろのあと、腹ごなしの散歩。
参道に天台宗安養院が門を構えていた。
境内に足を踏み入れると
一対の立派な狛犬のお出迎え。
その脇に山主による立て札がある。
アブナイ!
危険ですから
狛犬に~
おい、おい、こいつはヤベエ。
近寄ると狛犬が噛みつくのかえ?
と思いきや、
狛犬に登ったりして遊ばないでください。
山主
やれやれ。
目黒不動門前に比翼塚あり。
権八・小紫の悲話伝える比翼塚
処刑された愛人白井権八と、
彼の墓前で自害した遊女小紫。
その悲話は [後追い心中] として
歌舞伎などで有名だが、
この比翼塚は二人の来世での幸せを祈り、
たてられたという。
さっき上った、かむろ坂は小紫ゆかりの坂。
禿(かむろ)は江戸の世の高級遊女に仕える、
召使いの少女のことである。
恋仲だった小紫は権八が葬られた、
冷法寺の墓前で自ら命を絶つ。
帰らない小紫を案じたかむろは
目黒に向かい、主人の死を知る。
その帰途、当地付近で暴漢に襲われそうになり、
桐ケ谷二つ池に身を投げて自害する。
彼女を憐れみ、かむろ坂と名付けられた由。
目黒不動、泰叡山瀧泉寺の山門をくぐった。
仁王門脇の池で2匹の龍が
湧水を吐き出している
と思ったら手水場にもう1匹、
小さいのが水を吐いていた
辰年のせいでもあろう、みんな元気だ。
急な石段を上り、お不動さまに手を合わせ、
石段を下らず、裏手に廻って退出した。
北上して目黒通りに出ると
左手に寄生虫館が建っている。
不動前在住の GFと訪れたのは20年前のこと。
権之助坂を上がり、目黒駅へ。
そうだ! 駅ビル内の東急プレッセで
アルゼンチンの馬刺しでも買って帰ろう。
JR日暮里駅で乗った山手線外回りを
五反田で下車した。
今日は目黒不動界隈を散策するつもり。
最寄りは目黒駅だが
五反田からの道筋を往きたかった。
別段、理由はないけどネ。
目黒川に沿って歩き、
東急目黒線の高架をくぐったところで
山手通りを横断すると、かむろ坂下。
都内屈指の桜の名所である。
坂を上り、桐ケ谷通りを右折してほどなく、
お不動さまの門前に出た。
すぐにはお参りせずに
門前通り(参道)の緩やかな坂を下ってゆく。
参拝の順路を逆行しているワケだ。
時刻は13時15分。
となると、まずは昼めし。
参道途中に在ったとんかつ屋と
ジンギスカンが2軒まとめて消えていた。
更地になって跡形もない。
門前のうなぎ店「にしむら」に戻っても
テイクアウトのみでイートインは出来ない。
それではと赴いたのが参道のそば屋だ。
「海老民 本店」の店先は何回か通っており、
本わさびの有料提供も承知している。
ドライ中瓶を手酌しながら品書きの吟味。
お通しは枝豆だった。
おっと! 穴子天せいろが目を射抜く。
そば屋に穴子が居ると
かなりの確率でお願いしてしまう。
海老天にはまったく反応しないクセにー。
接客のオネエさんに
「本わさびはいくらになるのかな?」
「ええ~、そうですね」
「フツーのせいろが700円で
わさびせいろが1000円だから
300円の差額を払えばいいんだよネ?」
「そうなりますが・・・」
「それじゃ、穴子天せいろを本わさびで」
「ハイ、あのぉ、今日はわさび切れてまして」
「ハア~ッ! 初手から言うてくれい!」
怒鳴りつけはしないけど何てこったい!
穴子1尾に茄子・ピーマン・さつま芋付き。
天ぷらはまずまずながら期待を下回った。
そばにさほどのコシはないが
なかなかの噛み締め感あり。
つゆは塩気控えめでやさしい感じ。
支払いは2300円也。
再び門前通りを行ったり来たりする。
=つづく=
「海老民 本店」
東京都目黒区下目黒3-11-10
03-3711-6621
この春に早逝されたのみともを偲んで一昨夜、
男女4人が浅草観音裏「ニュー王将」につどう。
仏は横浜・伊勢佐木町にかつて存在した、
カレー・ミュージアムの
初代名誉館長・O野チャン。
多くの仲間に愛された人である。
此処を彼と最後に訪れたのは
2016年の今頃、8年前になる。
あのときは6~7人だったかな?
かなり盛り上がった。
そのあと一人のメンバーの発案で
台東区から豊島区・駒込に移動し、
何とも不気味な酒場で二次会となった。
今もあるだろうか・・・あのヘンな店?
それはさておき当夜の顔ぶれは
幹事役のパン専門家・P子。
O野チャンを含めた去年の忘年会で
初めて顔を合わせたSおり。
彼女はたまたまJ.C.の大学の後輩だった。
あちらは政経学部卒、
こちらは文学部中退だけどネ。
そしてO野チャンの弟子に当たるMクン。
彼とは今宵が初顔合わせ。
いやはやカレーを語り出したら
とどまることを知らずにノンストップ。
ベシャリは師匠どころの騒ぎではない。
まずは故人に敬意を表して献杯。
P子が角ハイ、他の3人は生ジョッキだ。
料理は先乗りした J.C.が
あらかた択んでおいた。
最初にまぐろ赤身&中とろ盛合わせ、
ずわい蟹たっぷりのカニサラダ。
何を食べても高水準の「ニュー王将」。
初訪の Sりと Mクンは早くもご満悦である。
続いて当店の人気 No1 メンチカツ。
このメンチは東京一、いや日本一。
ってことは押しも押されもせぬ世界一。
ずんぐり丸い球体から肉汁があふれ出す。
そうして人気 No2のカキバター。
あとは何だったけかな?
Mクンが追加したのは
ハゼフライとハムカツだったな。
中ジョッキを8杯も飲ったので
この夜も記憶が、ちと曖昧。
最近多いんだよネ、こういうの。
気を付けなきゃアカンな。
降りしきる雨の中の帰り途。
傘を忘れた J.C.は後輩と相合傘。
4人揃って浅草駅へ歩き、
メトロ銀座線の乗客となったのでした。
「ニュー王将」
東京都台東区浅草5-21-7
03-3875-1066