2023年11月30日木曜日

第3417話 ブクロのハシゴは西東 (その1)

本日出没した盛り場はブクロ。
そう、池袋である。
近頃はもっぱらエンコとノガミばっかりで
城北と城西にはあまり足が向かないけれど
ジュクに比べりゃ、ブクロはまだ来るほうだ。

この街は東口と西口では丸っきり表情が異なる。
西武デパートを中心とした東口のほうが上品。
東武デパートが主役を張る西口はだいぶ下品。
風俗も断然こちらが多い。
駅の出入口とデパートの東と西があべこべなのは
都会になり切れない池袋の田舎くささと言えよう。

いずれにしろ中学・高校と遊び盛りのJ.C.を
やさしく育んでくれた、
この街に対する愛着は限りないものがある。
東でも西でもよく遊んだ。
西口の付属品みたいな北口は健在ながら
南口は消滅した。

さて、この日。
最初に訪れたのは西口の「三福」。
焼きとんと煮込みがメインだが
生モノのレベルも相当高い。

この日の刺身は飛び魚がオススメだった。
あまりポピュラーではないけれど、
美味しいサカナである。
しかし、このところひんぱんに利用する、
北千住のブレイク・ルームで行くたんびに
良質な白身を肴にしているため、
飛び魚といっても青背は青背、見送った。

寄れば通すのなか豆腐をお願い。
煮込みの鍋にドボンと飛び込んだ豆腐に
煮込みのつゆだけだがとても旨い。
ドライの大瓶にピタリ寄り添う。

左隣りのオッサンはスゴいペースで
焼きとんにかぶりついている。
元々大ぶりなヤツを数種類2本づつ。
どうしても目に入るから呆気に取られてしまう。

ボンベイ・サファイアのロックに移行して
串カツを1本だけ揚げてもらう。
しみったれているようでもストマックのキャパを
セーヴするためには致し方ナシ。

オッサンが引き上げたあとにアンちゃんが座った。
おっと、黒ホッピーとともに飛び魚を注文したヨ。
なかなかやるじゃん、と感心はしたものの、
この御仁もスゴいペース。
じゃんじゃん口に放り込んでパクパクのパク。
おい、おい、刺身って
そんな食い方するもんじゃないだろ、ったく。

=つづく=

2023年11月29日水曜日

第3416話 マジメにスケベな焼き鳥屋

日暮里駅前ロータリーの北側裏に
レベルの高い焼き鳥屋がある。
3~4年前に1度おジャマして
このコラムでも紹介したが利用はそれっきり。
いや、行っても入れないんだ。
これはコロナ禍でも変わることがなかった。

人気の秘密は安くて旨くて早いからだろうが
入れなきゃ物事は前に進まない。
いつしか忘却の彼方に押しやっていた。

とにかく店名があんまりで
「真面目焼鳥 助平」と来たもんだ。
スケベなんざマジメにやるもんじゃないだろがっ!
店主だかオーナーだか
名付け親の顔が見たいヨ、ったく。

まっ、いいや。
或る日の16時過ぎだったかな?
ふと思い出してスケベに会ってみる気になった。
17時開店らしいから誰かスタッフがいるだろう。
電話を入れた。
「今夜の開店は何時ですか?」
「もうやってますぅ!」
「一人だけどこれから行ってもいいかな?」
「待ってますぅ、お名前は?」

到着すると、先客はカウンターに7名。
14~5席あるから余裕だった。
他にテーブルが1卓。
おもてにも以前利用した1卓。
赤星の大瓶を通してトクトクトク。

突き出しはほうれん草のおひたし。
ひたひたの出汁に浮き沈みしている。
けしておざなりなものではなく、
丁寧に作られ、量もたっぷりで
野菜不足の解消になり得る。

さっそく焼き初めてもらった。
プリプリのハツとクニュクニュのハツモトを塩でー。
水準がとても高い。
続いてこれまたクニュクニュのハラミと
しっとりのフリソデをやはり塩。
フリソデは手羽元と胸肉のつなぎ目で快い歯応え。

アバラの周りのハラミは昔っから好きだ。
クリスマスに母親がローストチキンを奮発すると
いつもしゃぶっていた。
キレイに骨が残るまでしゃぶれりつくせり。

酎ハイに切り替え、箸休めとしちゃ、ちと量が多いが
スルメイカ(スルメじゃないヨ、生だヨ)の
山わさび醤油漬けで舌先を転換する。
そうしておいて焼き鳥の仕上げは
血肝とツクネをいよいよタレでー。

大瓶1本、酎ハイ2杯と合わせ、
満足のお勘定は3300円也。
17時過ぎたらいっぱいになるから
次回も早めに仕掛けよっとー。

「真面目焼鳥 助平」
 東京都荒川区西日暮里2-25-1
 03-5615-5140

2023年11月28日火曜日

第3415話 神保町のタコハウス

さっき下った坂を今度は上る。
上りながら考える。
はるばる自由が丘の先まで出張っていって
一雨降られたひにゃことだ。
都心に戻ろう。
目黒駅の地下鉄ホームに潜った。

メトロ南北線、都営三田線、先に来たほうに乗る。
三田線が来た。
ドアのそばに立って思いをめぐらす。
三田駅そばの大衆立ち飲みかな?
日比谷ミッドタウンの高級立ち飲みにするかー。

そうだ、神保町にしよう。
やって来たのはタコハウスである。
「Taco Bell」は東京ドームシティや
渋谷道玄坂など、都内に数軒あるが
利用するのは今回が初めて。
メキシコの国民食、タコスを食べたくなった。

ハンバーガーのマックみたいな造りの店だ。
みんな2階に上がってゆくけど
1階にもイートイン・スペースがある。
数カ月前、店の脇の道を歩いていて
ビールを飲む客をガラス越しに見とめ、
店に入って銘柄を確かめた。
バッチグー!につき、近々寄ろうと思っていた。

ドライの生(580円)はワンサイズ。
うれしいことに中生くらいは楽にある。
プラコップを片手にフォト付きメニューを眺めた。
ブリトーやケサディーヤもいいけど、
今日は初回につき、タコスにしておこう。

一番人気はマックのハンバーガーや
モスのモスバーガーに当たるビーフタコス(580円)。
クランチ(コーン)とソフト(フラワー)、
トルティーヤ2種のセットでこれはグッドアイデア。
でも、中華のあとにつき、ちょいと重い。

そこで択んだのがビーフタコスプリーム(410円)。
スプリーム(最高)とはまた大きくでたもんだが
ダイアナ・ロス率いるスプリームスを想起させた。
こちらはクランチかソフト、タコス1個を択ぶ。
クランチでお願いした。

うむ、いいネ、いいですネ。
ビーフのほかにチーズ、トマト、レタス、
そしてサワークリームがトッピングされている。

気に染まったので後日、ランチに訪れ、
ビーフタコスとチキンケサディーヤをー。
やはりソフトよりクランチが好みだ。
ケサディーヤはチーズっ子の意味だが
タコスの方がいいな。

帰りに立ち寄ったドームシティの鮮魚店「成田屋」。
シマアジが見るからに見事でイン・マイ・バスケット。
その横でタコが心なしか淋しそうだ。

♪ オジさんあなたは やさしい人ね
  わたしを買って おウチへ連れてって ♪

てな感じ。
情にほだされてコレも籠に放り込む。
刺身にはせず、タコブツで食べた。
わさびはおろさないで
バジル・ガーリック・オリーヴオイルの
ジェノヴェーゼにしてみた。
昼もタコ、夜もタコの一日でした。

「Taco Bell 神保町店」
 東京都千代田区神田神保町1-8-5
 03-5577-6328

「魚市場 成田屋 東京ドームシティ ラクーア店」
 東京都文京区春日1-1-1
 03-6240-0018

2023年11月27日月曜日

第3414話 目黒の菜館 酢豚が美味し

目黒駅前からなだらかに続く権之助坂。
ほぼ下り切って目黒川に架かる目黒新橋の手前に
1軒の菜館を見つけたのはひと月前のこと。
店頭のフォトメニューの上ロース黒酢豚が
やけに美味しそうだった。

気になってはいたものの、
なかなか機会に恵まれなかった。
それがようやく実現。
意気揚々と坂を下っていった。

その名も「目黒菜館」に入店すると
意外にかなりコンパクト。
勝手に大箱と思い込んでいたからネ。
サッポロ赤星の中瓶と
狙いすました黒酢豚を発注。
文学青年ならここで
スタンダールの「赤と黒」を連想するところだ。

ところが昭和歌謡大好き人間の
オッサンは違った。
耳朶の奥で鳴り響いたのは
鶴田浩二の甘い歌声である。

♪ 夢をなくした 奈落の底で
  何をあえぐか 影法師
  カルタと酒に ただれた胸に
  なんで住めよか なんで住めよか 
  あヽ あの人が     ♪
   (作詞:宮川哲夫)

♪ 赤と黒とのドレスの渦に
  ナイトクラブの夜は更ける ♪

そう始まる2番がそのまんまだけれど
より優れた歌詞の1番を紹介した。
「赤と黒のブルース」は1955年のリリース。
この曲も大ヒットしたがこの年、
日本列島を席巻したのは
島倉千代子「この世の花」と
春日八郎「別れの一本杉」であった。

それはそれとして「目黒菜館」の昼下がり。
ビールのお通し(380円+)の
たたききゅうり&蒸し鶏はどちらもなかなか。
これならチャージされても文句は出ない。

黒酢豚も好かった。
上ロースたっぷりに玉ねぎと緑&赤ピーマンが少々。
濃い目の味付けにつき、ライスが欲しくなるけど、
ここはがまんして中瓶を2本飲んだ。

切盛りは中国人のオジさんとオバちゃん。
かれこれ15年のつき合いだというが夫婦ではない。
家庭のあるシェフは重慶出身。
独身の女将はハルビン生まれで二人の会話は北京語。
客が引けたのをいいことにいろんな話を聞かされる。
こういう話好きのチャイナオバちゃんも珍しいわい。
支払いは3500円で小銭のオツリをもらった。

さて、もう1軒は世田谷・尾山台の予定ながら
風が出てきて肌寒いし、雲ゆきもあやしい。
菜館の前で思案投げ首の巻である。

「目黒菜館」
 東京都目黒区下目黒1-5-16
 03-3779-4655

2023年11月24日金曜日

第3413話 サカナは北から南から

文京区・根津の交差点近くに
土佐の高知のうまいもんを食わせる店があり、
先日、藁焼きかつおのタタキ定食が
当たりだったので再訪。

けれども店は閉じていた。
どうやら閉業した気配。
不忍通りを千駄木方面に戻る。
目指したのは数年前に一度訪れた、
和食店「蕾(つぼみ)」だ。

実は前日、店頭の品書きに
煮魚ーアオヒラスを見とめ、気になっていた。
おそらく今日は無いだろうなと思いつつ、
引き戸を引いて入店。

やはり昨日で売り切って無いとのこと。
真っ黒な身体がなぜアオヒラスなのか見当もつかぬが
アルゼンチンやニュージーランドなど、
主に南半球で漁獲されるこのサカナは上品な白身、
食味がすこぶるよろしい。

本日の煮魚はカレイ。
「どんなカレイでしょう?」
「カラスガレイです」
こちらは逆に北の海で獲れ、
アイスランドから大量に輸入されている。
これまた煮魚向きの良品、即注した。
サカナたちは北から南から日本を目指す。

ビールも好みのドライ、歓んで通したら
泡いっぱいの生が来た。
これは確認しなかったJ.C.が悪いや。
飲み始めたらすぐに3点セットが供される。
茄子の揚げびたし、
サラダ(トマト&サニーレタス)、
新香(べったら&きゅうり醤油漬け)は
いずれも手抜きなく、ビールの良き友となる。

カラスが煮上がった。
火の通し加減、煮汁の味付け、ともに申し分ない。
唯一手こずったのは口中に紛れ込む小骨である。
この除去に気骨が折れた。
油揚げとわかめの味噌椀、
白飯も水準に達しており、
お勘定は生中と合わせて2千円ちょうど。

昼の献立はほかに、刺身盛合わせ、
サバの文化干し、カキフライ、海老とキスの天丼。
瓶のビールがあったなら
月に一度の利用は確実なのになァ・・・
そう思ったことでした。

「蕾(つぼみ)」
 東京都文京区根津2-36-2
 03-5832-9968

2023年11月23日木曜日

第2312話 食堂開いて80年

「一平」のお勘定は3400円だったかな?
秋の夜はつるべ落としというけれど
日が短くなったなァ、17時過ぎで真っ暗だヨ。
船橋駅に戻る鶴を表通りまで送り、
「それじゃまたネ」と軽いハグ。
こちらは飲み屋街にとって返す。

よほど「一平」に戻ろうかと思ったが
それじゃあまりに芸がない。
今度またいつ来れるか知れぬ船橋の夜。
探索に励もう。

この店が良さそうだ。
立ち止まったのは「花生食堂」。
さっきは裏路地だったが、こちらは半オモテ通り。
たたずまいに好感が持てた。

引き戸を引くと店内は意外に狭い。
カウンター5席ほどに
相席できそうなテーブルが1卓のみ。
取り仕切るのは初老の女将さん1人きり。

先客はカウンターに2人とテーブルに1人。
みな単身だがカウンターは常連とみえて
言葉を交わしていた。
うち1人が左端を示して
「先輩、どうぞこちらへ」
「ああ、どうも、おジャマします」
こういう店では雪解けならぬ打ち解けが早い。

頭ン中では百恵チャンが
「いい日旅立ち」を歌い出したが
披露は控えておこう。
浪花の小姑がうるさいからネ。
と言いたいところなれど最近、
ウンともスンとも言わないんだ。
コロナかフルーにやられたんかな?

それはそれとして「花生食堂」。
開業80年を超えたそうだ。
飲みものは此処でもドライの大瓶。
つまみは野菜炒めをお願い。

そうこうするうち、
先客はパラパラと帰ってゆき、
後客がパラパラと入って来た。
そして一様に湯豆腐を注文する。
18時を前に暖簾は仕舞われた。

豆腐を突つく客の横顔を見ながら
久保田万太郎の句が思い起こされた。

湯豆腐や いのちのはての うすあかり

苦手な赤貝のにぎり鮨を
無理に飲み込もうとして窒息死した万太郎。
豆腐を食ってりゃよかったものをー。

赤貝や いのちのはての 案内人

「花生(はなしょう)食堂」
 千葉県船橋市本町4-16-30
 047-422-6565

2023年11月22日水曜日

第3411話 悩殺されたり ホッペタ落ちたり

風太に別れを告げて動物公園をあとにした。
さて何処で飲もう。
例によって鶴は早帰りを希望するので
早いとこ決めよう。
帰りの総武線沿いだと船橋だろうヨ。

時刻は16時半。
南口の飲み屋街に直行する。
船橋は何年ぶりだろ・・・
にわかには思い出せない。
思い当たる店とてないが飲み歩きのプロは
スマホなんぞに頼りはしない。
おのれの目を信ずるほかに手立てはないのだ。

すぐに目星はついた。
この店はいいゾ、いいに決まってる。
直感をヒットした。
「一平」は複雑な形の細長い、
カウンターだけの店である。

最近、白内障が進んでしまい、
壁の品書きがほとんど読めない、
すさまじい数の短冊を鶴に読み上げてもらった、
遠い動物園につき合ってくれたお礼だと言う。
これぞまさしく鶴の恩返し。

ドライの大瓶を注ぎ合う。
ラインナップを聞いていて
この店は只者じゃないゾ、その感を強くした。
鯨のカツとテキにも惹かれたが
まぐろの脳天刺しとカマ刺しにはもっと惹かれた。
より珍しい脳天に白羽の矢。

これがとても好かった。
薄くスライスされて見た目は
オックステールをコンパクトにした感じ。
舌に乗せたら濃密な旨味が拡がった。
うん、まことにけっこう。

大瓶のお替わりとともにもう1品いきたい。
まぐろつながりでまぐろのホッペフライを追注。
カスベ(エイ)や真ダラのホッペ肉は
食べたことがあるが
まぐろはおそらく初めてだ。

繊キャベを従えて
円く平ぺったいのが2枚付けで来た。
んん? 何だヨこの旨さ!
シットリとした身肉がフックラ揚がって
サカナのフライとしては超一級。
ホッペにチューしたいくらいだ。

脳天刺しには悩殺され、
ホッペフライにはホッペタが落ちた。
船橋に此処以上の酒場はないんじゃないかァ。
アイ・シャル・リターン! オー・イエス!

「一平」
 千葉県船橋市本庁4-42-4
 047-422-5122

2023年11月21日火曜日

第3410話 まだまだ現役 風太くん

「さァ、次は何を観るんだい?」
「決まってるじゃないの」
「何がサ?」
「この動物園の一番の人気者」
「だから何だヨ」
「風太くん!
「エエ~ッ!アレって此処に居んのっ?」

がぜんヤル気を出したJ.C.であった。
実はレッサーパンダが大好きなんだ。
上野の人気者、あの熊猫のタンゴよりもネ。

レッサー・コーナーに行ってみて驚いた。
(今日はよく驚く日だ、ジッサイ)
当園はレッサーの宝庫であり、
楽園でもあった。

最初にお目にかかったのは
メイメイとメイタの姉弟。
それぞれに自分の敷地内を飽きもせず、
ぐるぐると歩き回る。

お次がみい&ゆうだったっけかな?
みんな一人暮らしのようで
同じスペースに同居の例は見当たらない。
一緒にしとくと喧嘩を始めるんかい?

そしていよいよ真打ちの登場である。
まってました、風太くん!

この7月15日に満20歳の誕生日を迎えて
ますます元気と言いたいところだが
足腰がだいぶ衰えて
自慢のスタンディング・ポーズは
もう決められない。

あのブームから15年だもんなァ。
それでも一時期は体調不良や歯の治療で
姿を見せなかったことを思えば完全復活である。
絶滅危惧種のレッサーパンダ。
種の知名度を高めただけでなく、
子孫の繁栄にも多大な貢献をしてきた風太だ。

毛皮の茶色がずいぶん褪せてしまったけれど
自分の縄張りを盛んに徘徊してまだまだ現役。
その姿を拝めただけでも白鶴に感謝する。

次回は上野動物園に連れてけってんで
こうなってくると
のみとも転じてZooともだネ、
ハハハ、それもまたいいでしょう。

2023年11月20日月曜日

第3409話 白鶴が ハシビロコウに 会いたがり

新しいのみとも・白鶴より、メールが来診。
千葉の動物園につき合ってくれと言う
なんでもハシビロコウが観たいんだとー。
鶴がハシビロコウを観てどうすんだ?
とも思ったが素直に従った。

JR錦糸町駅の総武線快速の
プラットフォームで待ち合わせた。
駅をいくつもトバすため、
案外早く千葉駅に着いた。
乗っていたのは40分だ。

そこから千葉市動物公園駅まで
モノレールで5駅だったかな?
改札横のコンビニにて
ビール、燻製玉子、コールスローを調達。
ほかに彼女が鮭とばとミックスサンドを
持参して来ている。

千葉の動物園は上野と
ずいぶん趣きを異にしている。
むしろ多摩のソレに近い。
緑あふれて自分らしくないところに
来ちまったなと歩きながら感じていた。

モンキー・コーナーをザッと観たら
ビールがぬるくならないうちに二人小宴会。
前日に買ったプラコップを
家に忘れて来たと言うんで
J.C.が生ビールのカウンターに出向く。

アルバイトらしき女のコに
「モノは相談だけど
 コップだけ2個売ってくれないかな?」
「こちらでよろしかったらどうぞ」
紙コップを只(ロハ)でもらっちゃったヨ。

二人でロング缶を3つ空け、
鮭とばだけは半分残したが、
あとはきれいに平らげた。
太陽の下での飲み食いは旨いもんだ。

そうしておいて動物たちのもとへ。
ライオン、シマウマ、キリン、ダチョウ、
カンガルーと廻り、念願のハシビロコウである。

めったに動かぬこの鳥だが
上野では手を延ばせば
届きそうなところにいた。
ところが千葉では広いスペースの一番奥だ。
しかもこっちに尻を向けている。
いや、ああいうのは尻ではなくケツという。

するともう1羽、隣りにいたヨ。
奥でつながって
互いに行き来できるのかもしれにが
とにかく別居状態。

驚いたことにこっちのヤツは
のそのそ歩き回ってやんの。
こんな規格外のもいるんだネ。
その様子を観て鶴のヤツ、
満面の笑みを浮かべてやんの。

=つづく=

2023年11月17日金曜日

第3408話 北区で飲むと 帰宅が早まる (その2)

赤羽「まるます家」の酎ハイは
プラス100円でモヒート・セットを付けられる。
言わずと知れたライム$ミントである。
こんなオサレなマネをする大衆酒場が
他のどこにあろうかー。

滞空時間40分で切り上げた。
そう言えば席に着いたとき、
オネエさんに
「1時間半でお願いしてます」
一言釘を刺されたんだった。

赤羽からさらに北上すると埼玉県・川口市。
かつてはキューポラのある街の異名をとった。
書き出すと長くなるし、
今日は行かないのでカットする。

実際はテクテク歩いたが
JR京浜東北線で一つ東京寄りの東十条に移動。
駅そばのコの字カウンター、
「杯一」の止まり木に止まった。

時刻は開店間もない16時過ぎ。
ドライの大瓶をもらい、
カウンターに並ばった料理を見に立つ。

メカジキの煮魚と
ウインナー&白菜のクリーム煮、
この2品で迷ったが
居酒屋には珍しいクリーム煮にしてみた。
うん、けっこうなお味。

書き上がった本日のオススメが壁に掲げられる。
メカジキもクリーム煮も入っている。
てえことはどちらも常備菜じゃないってことだ。

黒ホッピーにチェンジ。
クイクイ飲りながら
オススメボードをつぶさに眺める。
そうだねェ・・・
まぐろ山かけいってみようかー。

小鉢と一緒に醤油さしを差し出したオネエさん。
「下味ついてます」
「ああ。ありがと」
そうなんだヨ、山かけのまぐろに下味は必要不可欠。
「杯一」は正しい。

王子・赤羽・東十条と廻って来たが
この辺りはかつての軍都。
大日本帝国の屋台骨を支えて来た。
兵器・武器・火薬をフル稼働で生産したのだ。

大ざっぱにいって24時間を8時間づつの3交代。
夜勤明けの人員も少なからず。
彼らのために朝から飲ませる店も少なからず。
その伝統が今でも残っているのだ。

スタートが早いもんだから
北区で飲むと
帰宅が早まるのもむべなるかな。

「まるます家 総本店」
 東京都北区赤羽1-17-7
 03-3902-5614

「杯一」
 東京都北区東十条4-2-14
 03-3914-6513

2023年11月16日木曜日

第3407話 北区で飲むと 帰宅が早まる (その1)

最近、ふと思うことが多く、
この日もふと思い、北区のハシゴ酒を目論んだ。
後述するが北区には昼から飲める店が少なくない。
朝からなんてところまである。
これでも近年、だいぶ減ったがネ。

スタートは行きつけの飛鳥山「豫園飯店」。
いつものようにJ.C.担当、香蘭の笑顔に迎えられる。
今日はあちこち廻るのでガッツリは食べない。
肉シューマイをお願いした。

ドライの中瓶と一緒に
大根サラダがスッとサーヴされる。
美味いんだなコレがっ!

シューマイは他の料理より時間がかかるため、
彼女がいろいろ気を遣ってくれる。
サラダのお替わりに鳥から揚げまで出て来た。
ありがたいねェ。
ホントにいいコだ、オバちゃんだけれども。

われわれがまだ子どもの昭和30年代。
町の肉屋のシューマイはてっぺんに
緑のグリーンピースがチョコンと一粒乗っていた。
当店は代わりに小海老が一尾乗っている、
横浜の某有名店とは比べようもないほどに旨い。

香蘭に今月、白内障の手術する旨伝えると
今年亡くなった彼女の母君も白内障だったが
手術後よく見えるようになって
ハハハ、翌日から麻雀三昧と来たもんだ。
麻雀かァ、しばらく囲んでないなァ。

中瓶2本にとどめ、手を振った。
音無親水公園をそぞろ歩き、
王子駅前から赤羽駅行きのバスに乗った、
赤羽となれば、目指すは街のランドマーク、
「まるます家」である。

すんなりカウンターに着くことができた。
赤星中瓶と玉ねぎフライを通す。
これがあったら必ず通す。
ビヤホールや居酒屋で
よく串カツを注文するのはある意味、
豚肉より玉ねぎ狙いと言えなくもない、
好きなんだよなァ。

そうしておいてホヤ塩辛を追注。
イカ塩辛だと時として生臭みに閉口するが
ホヤはそのリスクがないからいい。
飲みものは酎ハイに移行する。
当店の酎ハイには
シャレた趣向が用意されているのだ。

=つづく=

「豫園飯店」
 東京都北区滝野川2-7-15
 03-5394-9951

2023年11月15日水曜日

第3406話 行きつけは行きつけを招くよ (その2)

不忍池にほど近い池之端「JACK」。
ナイフ&フォークでいただいた、
チキンソテーは上々の焼き上がり。
率直に美味しい。

牛スタミナ焼きや豚生姜焼きは
味の濃いソースがヒタヒタで運ばれるが
チキンはグッと薄味。
ライス少な目で通すOLさんに打ってっつけだ。

それではここで当店の Best3の発表。

① カジキのムニエル(700円)
 とにかくお食べ得。
 味付けよろしく、ボリュームもあって 
 適正価格は1500円、銀座辺りじゃ2000円か。
② マグロのフライ(700円)
 ふっくらした身肉が軽やかに揚げっている。
 自家製タルタルもバッチリだ。
 おそらくビンチョウと思われる。
 最も安価なマグロがちゃんと役割を果たす。。
③ チキンソテー(650円)
 冒頭の通り。

読者におかれては
値段にびっくりされたことでしょう。
持ち家(?)に夫婦二人とあって
家賃と人件費がかからないからこその実現。
最近は繁盛ぶりを見せるようになった。
11~14時の昼のみ営業も一因だろう。

1位と2位をシーフードと言うより、
フィッシュが占めている。
海老や帆立や牡蠣など、
他店にありがちな高級食材を避けつつ、
カジキマグロとビンチョウマグロ、
言わば、ツナ・シスターズの活躍を促す。
店主の目利きと料理の腕が冴えわたる。

酒類はビールのみの販売で
銘柄はサッポロ黒ラベル中瓶(500円)。
来れば必ず1~2本飲んでいる。。

利用客はほぼ100%、近隣のリーマン&OL。
うち8割が男性だ。
遠くからは行きづらいけれど妙案が一つ。
比較的空いている土曜日がねらい目。
とりわけファミリーに推奨したい。

家族四人連れなんか理想的で
パパは豚ロース一口カツ、
ママはカジキのムニエル、
中二のお姉チャンはオムライスで
小四の弟クンはカツカレーでどうだろう。

パパが1本取ったビールを
1杯だけママに注いでやり、
子どもたちはお冷やでOK。
以上を締めて3200円也。
ばかばかしくてファミレスなんざ行かれない。

幸せいっぱい、腹いっぱいの食後は
根津神社から谷中銀座と谷根千散策するもよし。
上野動物園のパンダに会うのもまたよし。
何せ、園の池之端門は徒歩2分の距離にある。
一家のご多幸を祈ります。

「JACK」
 東京都台東区池之端2-8-5
 電話ナシ

2023年11月14日火曜日

第3405話 行きつけは行きつけを招くよ (その1)

ここ数年、もっとも利用率が高いのは
池之端の日本そば「新ふじ」である。
この世で一番好きな店と言い切っても過言ではない。
もともと界隈の人気店だが
この1年ほど、ずいぶん立て混むようになった。

店先の腰掛けに1~2人なら待つ気にもなるが
それ以上だとあきらめる。
そしてそのたびに隣りの隣り、
洋食店「JACK」に流れるのだ。

ご夫婦二人きりの切盛りで
今ではすっかりなじみとなり、
「いつもどうもありがとうございます」
必ず奥さんにささやかれるようになった。

ついでに言わせてもらうと
この方ほど丁寧な接客をする人を
J.C.はほかに知らない。
こちらが恐縮するくらいだ。

10年ほど前に一度だけおジャマしたが
そのときの印象は薄い。
それが何度か通ううち、この店の良さに気づいた。
12品あるメニューにまったく穴がない。
メインだけでなく、手抜きのない付け合わせが秀逸。
繊キャベ、トマト、きゅうりに
マカロニサラダがうれしい。

短い間にすべて食した。
近所だからこそできる芸当だ。
普段、めったに注文しないオムライスすら
向かいに座ったOL三人組の
美味しい、旨いの連発に
つい誘われて試した次第。
それほどではなかったものの
水準はクリアしていた。

箸で食べさせる洋食だが先日、
チキンソテーを頼んだ際に
ナイフ&フォークが出て来た。
ん? 「JACK」でナイフ?
すかさず裕次郎が歌い出した。

♪ 砂山の砂を 指で掘ってたら
  真っ赤に錆びた 
  ジャkックナイフが 出てきたよ
  どこのどいつが 埋めたか
  胸にジンとくる 小島の秋だ ♪
   (作詞:萩原四朗)

「錆びたナイフ」は1957年8月のリリース。
楽曲も印象的だが
思い出深いのは翌年の同名映画。
弟役の小林旭が狙撃されるシーンである。
怖いですねェ、怖かったですねェ。
もうお時間来ました、サヨナラ、サヨナラ。

=つづく=

2023年11月13日月曜日

第3404話 そうは問屋が卸さない (その2)

北千住は飲み屋ストリートの行きつけ店「幸楽」。
希少な白身に加えて、天ぷらも魅力だ。
イワシ・ハゼ・キス・穴子が不動のカルテット。
素材の質に揚げ切りもよろしく、
つい、食指が動いてしまう。

そしてもつ焼き(焼きとん)がまたけっこう。
2本しばりながら
異なる部位を1本づつもOKだから
常にレバとシロをお願いしている。

この日は柳川みたいに熱々で運ばれる、
ニラ玉を追加し、これをつまみに
ボール(酎ハイ)を2杯飲んで2軒目に移動。
移動といってもほとんど目の前、はす向かいだ。

「千住の永見」は実に久方ぶり。
これもみな「幸楽」のおかげだ。
いや、せいだ。
あちら11時だが、こちらは15時開店、
とてもじゃないが待ちきれない。

ドライの大瓶と名物の永見揚げを通すと
お運びのオバちゃんに笑われた。
「ハハハ、千住揚げネ」
「それ、それ、しばらく来てないから
 名前忘れちゃったヨ」
「アハハハ!」
「そんなに笑わなくても・・・」
「ごめんネ、ごめんネ」
アンタはU事工事かい?

千住揚げは自家製さつま揚げ。
玉ねぎがいっぱい入ってソフトタッチ。
小さいのがコロッと3カン付けで来る。

フツーのとニンニク入りがあり、
ここは”入り”でお願いした。
何となく気に染まって
”寄れば頼む”の一品となった。

当店でもボールと呼ばれる酎ハイにチェンジ。
つまみももう1品いきたい。
目の前にあるガラスケースのブツが旨そう。
タコじゃなくてマグロのネ。
注文した。

まだ開店30分につき、空いている。
だからじゃないけど、
居心地ははす向かいよりずっといい
とは言え、あっちの白身は百難隠してあまりある。

「幸楽」と「永見」。
幸、永かれと祈らずにいられない。

「幸楽」
 東京都足立区千住2-62
 03-3882-6456

「千住の永見」
 東京都足立区千住2-62
 03-3888-7372

2023年11月10日金曜日

第3403話 そうは問屋が卸さない (その1)

この日は自宅でのブランチが遅かったため、
腹が減らずに昼めしはパス。
盤めしまでおとなしく過ごせばよいものを
そうは問屋が卸さない。

ここで思い起こしたのははるか昔の笑い話。
頃は1984年。
ところはロサンゼルス。
ロス五輪が開催され、大会のマラソン日本代表は
瀬古利彦&宗兄弟。

3人の人気は大したもので
それぞれのマスコット人形が売り出された。
人気度は瀬古が一番だったが
なぜか瀬古人形は店頭に売るほど並んでいるのに
宗人形はまったく手に入らない。

いったいどういうことかと組織委が
調べてみると、その理由が判明した。
宗は問屋が卸さない、んだとサ。
おあとhがよろしいようで。

てなこって出没したのは
東京の北東の玄関口、足立区・北千住。
この街のマイ・ブレイクルーム、
「幸楽」のカウンターに落ち着いたが
本日はここだけでは終らせないゾ、
そんな意気込みだった。

ドライの大瓶を通すのは毎度のこと。
ラガーと一番搾り、生も一番搾りと
横浜・川崎の店々のように
キリンが大手を振って歩いちゃいるが
スーパードライも黒ラベルも控えており、
この姿勢こそが真っ当な酒場・居酒屋の
あるべき姿と言えよう。

当店の最大の魅力は白身の刺身。
品書きに真鯛や平目が載ることはまずないが
希少なサカナが必ず入荷している。

この日は鯛類で最も高価なものの一つ、
メイチダイが居てくれて即注に及んだ。
御徒町駅前のサカナのデパート、
「吉池」でもめったに並ばぬ代物である。

実にさまざまな白身に出逢ってきた。
鯛類だけでもヘダイ、オナガダイ、
キントキダイ、ヒゲソリダイと
珍魚のオンパレード。

加えてハタ類のマハタ・キジハタ・
オーモンハタに美味の極みスジアラ。
鮨屋の守備範囲を大きく超えている。
仕入れ担当者と言葉を交わしたいくらいだ。

=つづく=

2023年11月9日木曜日

第3402話 ぶらり大江戸線アゲイン (その2)

練馬駅から乗った大江戸線で新宿方面に向かう。
前回と違うのは都庁前における、
外回りへの乗り換えだ、
一つ目の新宿西口で下車。
線路の上は思い出横丁。
またの名をしょんべん横丁という、

仲通りにあたる小路。
いわばメインストリートは
立て込む店が目立つものの、
準備中のところも少なからず。
JR線路の西側、高架下沿いに廻った
おそらく昭和30年代だろう、
界隈では老舗中の老舗「きくや」に入った。
大きめの相席用テーブルだが
先客の若者二人、うち一人が頭を下げてきた。
若いのに感心である。
こちらも応じて会釈を返す。

ドライの大瓶には
辛味噌を添えたキャベツがドーン。
6分の1カットくらいじゃないかな?
結果から言うと完食はできなかったが
かなりやっつけ、野菜の補給にはなった。

当店おすすめのもつ煮込みをー。
よくよく煮込まれて柔らかく、
歯による咀嚼(そしゃく)を必要としない。
まったくもって都内のザ・ソフテスト。
入れ歯を忘れてきた人には地獄で仏だ。
レバをタレで2本追注し、
ビールを1本にとどめて次へ。

近いうちの再訪を約したこともあって
締めは前回同様、台東区・台東の「松井酒店」。
まずはお定まりのドライ生を1グラス。
一気にあおってタンカレNo10 の炭酸割り。
練馬の「よつぼし」で飲んだ、
サントリー翠の上をゆく。

ふと思いついてバーテンダレスに
ジンのラインナップを訊ねると
あとはボンベイ・サファイアとビーフィーター。
タンカレのレギュラーが理想だったが
ボンベイをやはり」ソーダで割ってもらい、
No10と飲み比べる、
うん、明らかに違うネ。

再びふと思い、ウォッカと比べようと
銘柄を訊ねたら仏産があるとのこと。
キンキンに冷えたのをストレートで所望。
ワイルド・グース(野生のガチョウ)と
ロシア産の違いは判らなかった。

目の前にグラスが3つ並ばった。
ふむ、ボンベイはウォッカの勢いに押されて
おとなしくなってしまうが
タンカレは負けずに自己を主張する。

「お前はウォッカだが俺はジンだぜ!」てな感じ。
妙に納得し、大江戸線第2弾これにてお開き。

「きくや」
 東京都新宿区西新宿1-2-4
    03-3342-5928  

「松井酒店」
 東京都台東区台東4-6-7
 03-3831-4451

2023年11月8日水曜日

第3401話 ぶらり大江戸線アゲイン (その1)

先日、ぶらり乗り継いで飲み歩いた都営大江戸線、
何の因果か、もう一度繰り返すこととなった。
事の経緯はこうである。

フード・ダイアリーをパラパラやっていたら
ポロリ足元に落ちたのは
練馬区・練馬のオイスター酒場、
「よつぼし」のレシート。 
何気なしに眺めていてあることに心づいた

おや? 注文外の品が載ってるゾ。
焼きとんのタンモト2本と梅水晶だ。
記憶をたどるとこれらは
J.C.の隣りにいた客が食べたもの。
こいつは看過できないと電話を入れた。

申し訳なさそうに即刻返金すると言う。
わざわざ来ていただかなくとも
振込ますとのこと。
千円に満たない金額である。

電話に出たH本クンの応対が丁寧なこともあり、
「いいヨ、いいヨ、近いうちに顔出すから。
 そのときはまた生がきをいただくネ」
「ありがとうございます、お待ちしてます」

3日ほど経過して出掛けた。
H本クンは休みだったが女性スタッフが
気持ちよく対応してくれる。

「お客様にお返しする分が690円なんですが
 ご注文いただいたアサヒの中瓶が690円なんで
 こちらのチャージを控えさせていただきますネ」
「おっ、賢いねェ、顔も可愛いけど・・・」
「ありがとうございます」

てなもんや三度笠。
われながら調子がいいや。

本日の生がきは岩手の大船渡を2個。
わりと小粒だが味は濃い。
続いて兵庫は相生も2個。
メニューに特別な方法で育てたとあったが
別段、特別な味はしなかった。

あとは自家製の月見つくねを1本。
鶏団子に卵黄が添えてある。
自分らしくないもんを食べてるなと
自覚しつつもけして不味くはなかった。
サントリーのジン、翠の炭酸割りを1杯もらって
「よつぼし」をあとにした。

「わざわ来ていただいてすみませんでした」
「いや、いや、また来るネ」
翠を飲みながら決めていた。
今宵も大江戸線を飲み歩こうとー。

=つづく=

「よつぼし」
 東京都練馬区豊玉北5-15-5
 050-5494-4782

2023年11月7日火曜日

第3400話 上野の立ち飲み また楽しからずや

コーヒーはとても好かったけれど、
「マドンナー」に ビールは無い。
いや、あるのかもしれないが確かめなかった。
おそらく無いものと思われる。

でももしあったなら、あんなに旨いコーヒーと
めぐり合えなかったことになる。
人間万事塞翁が馬だねェ。
しめしめ。

さて、ここでただちにJ,C,が
取らねばならない行動は
一にも二にもガスの補給であろう。
アメ横の一角だから飲み屋には事欠かない。
昼日中から呑ン兵衛たちで
あふれ返る店が軒を連ねている。

界隈でよく出入りするのは
「かどや」、「ほていちゃん」、
「たきおか」が御三家。
今日はサクッと立ち飲みでいこう。
となると「たきおか」の一択だ。

「いらっしゃいませ~!」
元気なオニイさんの声に迎えられながら
右手の人差し指を1本立ててスス~ッと進み、
カウンターの奥へ。

隣りに高校生みたいなコが独り飲み。
小柄な身体に似合わない大ジョッキあおっている。
ドライの大瓶をもらい、トクトクやっていると
このコがよく食べること。

空いた皿を片付けながらいろいろと追加する。
ポテサラ、ブリ塩焼き、あと何だったっけな?
短い間に矢継ぎ早である。
飲みものはジョッキ1杯だけの様子で
早々に引き上げていった。

当方は豚バラのにんにく焼き、通称バラにんを2本。
焼きとんはレバ&シロが我が定番ながら
他店にはあまりないバラを注文することが多い。
にんにくダレが朝鮮焼肉のタレみたいで好きだ。

酎ハイに切り替えた。
目の前のTVがドル円相場を報じている。
画面いっぱいに150.11-13 が大映し。
フフ、投機筋と日銀の狐と狸の化かし合いだネ。

背後のオッサン二人組の会話が聞こえて来た。
しきりにアラン・ドロンと
ジャン=ポールの名前が飛び交っている。
話題は映画「ボルサリーノ」らしい、

そっちがジャン=ポールなら
こちとらジャン=クロードで
ちったあ知られたオアニイさんだ。
振り向いて少しく二人の会話に参加した。
ともに真っ赤なスタジャン姿と来たもんだ。

ほどなく二人は帰って行ったが一人の背中に驚いた。
VAN JACKET のデカいロゴが目立つのなんの。
♪ 背中cで吠えてる VAN JACKET ♪
ってか?
高倉の健さんもビックリだぜ、こりゃ。

「たきおか本店」
 東京都台東区上野6-9-14
 03-3833-2777

2023年11月6日月曜日

第3399話 上野の喫茶のオムライス (その2)

上野はアメ横に近い喫茶「マドンナー」。
調ったオムライスはなかなかに美味しそう。
皿に同盛りの繊キャベ、トマト、きゅうりは
最近行きつけている池之端の「JACK」に瓜二つ。
かかるドレッシングまでクリソツだ。
生野菜の脇のタクアン2切れはご愛敬。

スプーン&フォークがセットされるも
J.C.は努めてフォークのみを使用する。
ロンドン&ニューヨークの生活が長いからネ。
彼の地の人々がスプーンを用いるのは
スープ&デザートのみ。
料理に使うのはお子チャマだけだ。

オムライスがことのほか美味。
「マドンナー」をあらためて見直した。
20年近くも前、かつて西浅草にあった、
24時間営業の洋食屋、
「豚八」にはたびたびお世話になった。
仲間うちやスナックのママ&女のコと訪れ、
真夜中のオムライス、夜明けのナポリタンを
幾度口にしたことだろう。

さて上野。
ひんぱんにミートソースの注文が入るし、
隣りのリーマンの生姜焼きも旨そうだ。
驚いたのは食後の熱いコーヒー。
味も香りも一級品である。
おっと今度は浪花のお調子者、
中条きよしが歌い出す。

♪   マージャンしてたと 言いわけも
  投げ出すように 冷たくて
  熱いコーヒー  いれながら
  もうおしまいねと  泣きました ♪
    (作詞:山口洋子)

「理由(わけ)」は1974年10月のリリース」。
この年のヒット曲は「よろしく哀愁」、
「積木の部屋」、「二人でお酒を」が印象深い。

そうこうするうちも客足は衰えない。
1階は2人掛け4卓だが単身者ばかり。
2人以上は地下へ降りてゆく。
喫煙者は2階だ。

味わいある古い店だから
ぜひそちらものぞいてみたい。
「マドンナー」だけに
マァドンナー光景が待ち受けているものやら。
喫煙者をよそおえばたやすく2階へは上がれるが
地下は同伴者が必要かもしれない。

コーヒー飲みではないJ.C.に
美味いと感じさせるコーヒー。
ボリューム軽めのランチも気に召した。
これから月に一度は立ち寄りましょうゾ。

「マドンナー」
 東京都台東区上野6-16-4
 03-3835-4456

2023年11月3日金曜日

第3398話 上野の喫茶のオムライス (その1)

エンコの翌々日はノガミに繰り出した。
酒類や魚介の買い出しのためなんだが
何だかんだいって
しょっちゅう出没するエリアである。、

買い物の前に昼飲み、いや、その前に昼めし。
ところが平日だというのに狙い定めた店々は
行列だったり臨時休業だったり。

「上野藪そば」なんざ、臨時も臨時、
よせばいいのに大掃除とかで
店先にホースやらポリバケツを並べて
ジャブジャブジャブと来たもんだ。

浅草に比して外国人率では劣るものの、
たいそうな人出である。
結局は薬局、かつて
一度だけ利用した喫茶「マドンナー」へ。

その節のハンバーグは
どこぞのレトルトみたいな感じで
感心しなかったが背に腹は代えられない。
喫茶店のミートソースは
たまに当たることがあってもほとんど外れ、
めったに食べないオムライスにしてみた、

生姜焼き、カツカレー、ナポリタン、とんかつ、
ランチメニューは一律800円。
11~16時の提供である。

注文を取ってくれた中国娘の一本おさげが超長い。
背中を下がってお尻に届いている。
少女じゃなくて25歳くらいだが眺めていたら
ゴールデン・カップスが歌い出したヨ。

♪   長い髪の少女 孤独な瞳
  うしろ姿悲し 恋の終り
  どうぞ僕だけに 心をうちあけて
  どうぞ聞かせてね 愛の物語  ♪
    (作詞:橋本淳)

「長い髪の少女」は1968 年4月のリリース。
強く心に残る1曲だが、この年はほかにも
「エメラルドの伝説」、「帰って来たヨッパライ」、
「恋の季節」、「伊勢佐木町ブルース」など、
J.C.的には邦楽の当たり年だった。

それはそれとしてオッサンは娘に訊ねた.
「そんなに長くなるのに何年かかるの?」
「4年くらいデス」
「4年でそんなに?」
「ソデス」
思ったより短かった。
いえ、髪が長く伸びるまでがサ。

=つづく=

2023年11月2日木曜日

第3397話 渡り返した隅田川 

♪      エンコ生まれの 浅草育ち
   やくざ風情と 言われていても
   ドスが怖くて 渡世はできぬ
   ショバが命の 男伊達
   背中で吠えてる 唐獅子牡丹 ♪
   (作詞:水城一狼 矢野亮)

さっき渡った隅田の水を渡り返す。
さっき口ずさんだ3番に替えて
レコードに収録されていない4番だ。

するとツレのS織が
「なあ~にその歌?」
「『昭和残侠伝』の主題歌サ」
「『人生劇場』かと思った」
「似てるっちゃ似てるが
 よく知ってるな、そんな古い歌を」
「昔のカレが早稲田だったから」

雷門を通り過ぎ、雷門通りから左へ曲がって
1軒のそば屋に入った。
実はこの日の昼も浅草散歩。
その際「末広」に変わりそばの
あおさ切りを見とめており、
そいつが狙いだ。

そばをたぐる前に本日二度目のグラス合わせた。
今度は中瓶である。
浅草はマイ銘柄の地盤につき、
どこへ入っても安心。
ときどき例外の洗礼を受けるけどネ。

かつ煮ハーフがあって即注に及ぶ。
実にありがたい。
他店にもぜひ見倣ってほしい。
自家製とんかつにかえしが利いて上出来。
”来たら通す”の定番つまみになること必至なり。。

そうしておいて、あおさ切りと
そば屋では捨てがたいラーメンを所望した。
あおさの緑が色濃い。
風味もじゅうぶんで相方の瞳が輝きを増している。

ラーメンの味は典型的なそば屋タイプ。
おだやかな醤油スープに
麺だけはちょいと変わって色白のストレート。
表面を彩るのは
もも肉チャーシュー、シナチク、ナルト、
そしてうれしいことにほうれん草と来たもんだ。
これもまた他店に見倣ってほしいな。
真っ当な店はわかめなんて使わんものだヨ。

師走になったら忘年会をと約束し、
以前、仁丹塔のあった角で別れた。

「末広」
 東京都台東区雷門1-1-10
 03-3844-2216

2023年11月1日水曜日

第3396話 おぼろ月でも 隅田の水に

 ♪   おぼろ月でも 隅田の水に
   昔ながらの 濁らぬ光 ♪

高倉健の「唐獅子牡丹」を口ずさみながら
隅田川を吾妻橋で渡って行った。
いえ、肩で風を切ったりはしませんけどネ。

今夜の相方はのみとも・S織。
待ち合わせたのは和食「水もと」。
黄金のオブジェ、いわゆる、
〇ンコビルのちょいと先である。

彼女は浅草在住で此処は墨田区・吾妻橋だが
この辺りを浅草の一部と
捉える向きは少なくあるまい。

ドライの大瓶を注ぎ合ってカチン。
当方、小いわし南蛮漬け、
相方、ぜんまい煮を皮切りとした。

小いわしの天ぷらは大好物で
瀬戸内の広島や九州の博多でハマッた。
ぜんまいもひなびたいい味を出しているが
ずいぶんと柔らかい。
これは入れ歯の人向きだネ。

ビールをもう1本もらい、
どぜう唐揚げとまぐろぬたを追注。
小どぜうは20尾もいたろうかー。
カラリと揚がって歯にも舌にもやさしい。

鍋のどぜうにはそこそこの大きさが求められるが
から揚げはテデカいと
骨が当たってどうにもならない。
幼魚に限るのだ。
これはどぜう汁にも当てはまる。

ぬたはz先日の浅草「酒富士」のそれと比べると
かなり繊細だ。
ただし、上等なまぐろではなく、
キハダかビンチョウではなかろうかー。

何かもう1品ということで協議の結果、
秋刀魚の大葉フライをお願い。
なんか揚げ物ばかり食べてるな。
新サンマだと思われるが
塩焼きにすればよかったかも?

吾妻橋まで来といて
エンコに寄らぬ手はあるまい。
それでは県さんに申し訳が立たない。
もう1軒行ってみよう。

「水もと」
 東京都墨田区吾妻橋1-7-5
 03-3622-9615