2020年10月30日金曜日

第2514話 柳橋と浅草橋 (その2)

去年の春に馬刺しで飲んだ浅草橋「むつみ屋」。

やって来たが開店は16時半、まだ1時間もある。

左隣りは日本そばのこれもお世話になった「満留賀」。

そばよりも天ぷらで飲むことが多かった。

 

初心に戻ってそば屋酒、暖簾をくぐる。

晩酌セットは天ぷら盛合せに飲みもので

ビール大瓶(キリンorアサヒ)が1400円、

日本酒1合瓶(菊正or金婚)だと1250円。

アサヒで通す。

 

背後で新聞を読んでた客が帳場に向かう。

あれっ、この御仁、どこかで見た顔だゾ。

立ち去ってしばらく、ハタと思い当り、

接客のオバちゃんに

「今のお客さん『むつみ屋』の大将だよネ?」

すかざず受けて

「そうですヨ、社長さん」

開店前の腹ごしらえだったわけだ。

 

それにしても天ぷらはボリューム満点。

魚介が、海老・きす・めごち・柱かき揚げ。

野菜は、なす・いんげん・ピーマン・しいたけ。

下町風の天つゆにはおろしがザブンと浸かっている。

 

以前はお好みだったせいか、量をあまり感じなかった。

大瓶が800円だから逆算すると600円。

もり・かけと同値とはビールが高めだけに破格だ。

 

卓上に小袋入りの赤穂にがり塩をみとめ、

四十七士に思いをはせつつ、

きす&かき揚げはそれでいただく。

 

赤穂の海水が産んだ塩の製造工場は大阪府・八尾市。

八尾となれば、何たって大映映画の「悪名」シリーズ。

今度は八尾の朝吉に扮する勝新太郎の面影を偲んだ。

ちなみにJ.C.のくくりでは

勝新・ショーケン・たけしが三大お騒がせ芸能人なり。

 

大瓶1本と持て余し気味の天ぷらでもうじゅうぶんだが

充実しているつまみを紹介しておこう。

枝豆・月見とろろ・玉子焼きなど定番のほか、

さば味噌煮・鳥もも焼きと守備範囲は広い。

 

超レアなのは、にかけ煮、ヨソで見たことがない。

オバちゃんに再び訊ねると

鍋焼きうどんマイナス海老天&うどんだとサ。

 

このとき名古屋在住ののみともよりメール来信。

出張で上京中の彼から、ちょい飲みの誘いだった。

17時に御徒町の約束を交わす。

時間に余裕があり過ぎるから歩いて行こう。

面倒臭い街、秋葉原を迂回してネ。

 

「浅草橋 満留賀」

 東京都台東区浅草橋1-18-5

 03-3851-6684

2020年10月29日木曜日

第2513話 柳橋と浅草橋 (その1)

平日の昼過ぎに浅草へ。

仲見世の人出はビフォー・コロナの半数以下。

新仲見世など、シャッター街とまではいかぬが

扉を閉ざす店が何軒もあり、

中には長年の歴史にピリオドを打ったところも―。

悲しむべし。

 

ホッピー・ストリートは客足がだいぶ戻った様子ながら

昼過ぎに営業しているのは6割程度だ。

浅草を離れて南へ歩く。

田原町・鳥越・蔵前を経て柳橋にやって来た。

ニューヨークから帰国後、10年余り暮らした町である。

江戸の昔に栄華を誇った花街が廃れて半世紀が過ぎた。

 

たびたびお世話になった「梅寿司」、洋食「大吉」は健在。

うなぎ「よし田」も存続しているが

天ぷら「江戸平」は袖看板が取り払われ、閉業した気配。

後日、確認のための電話がつながり、

ご主人が出られて

「もう、78年前に商売はやめました」とのこと。

 

「よし田」、「江戸平」は柳橋の芸者置屋を舞台にした、

成田巳喜男の名作「流れる」(1956)で

その姿を見ることができる。

天ぷらが閉じた今、うなぎはいつまで続くことやら・・・。

 

柳橋と浅草橋の町を分断する江戸通りを西に渡る。

こちら側は10年の間に様変わり。

肉バルだの、肉酒場だの、何とかミートだの、

肉を全面に押し出す大型酒場が乱立していた。

加えてもつ焼き・焼きとんを商う店も増えている。

 

浅草橋の焼きとんは「ぶたいちろう」と

「西口やきとん」が東西の横綱格。

両店に挑戦状をたたきつけたのだから

かなりの強心臓といえよう。

 

15時を回ったばかりなのに左手がうずき出す。

というのは嘘で実際は右手のほうだ。

折り紙つきの左党に分類されるJ.C.だが

ビールでも日本酒でもワインでも

グラス、酒盃の類いはすべて右手で持つ。

 

以前よりずっと賑やかになった駅界隈も

さすがにこの時間に開いてる店舗は限られる。

ここは通し営業のそば屋酒といこうか―。

 

この町で飲むのは去年の春以来。

桜の季節に桜肉とシャレこんだ。

あの店はわりと早めに暖簾を出すハズ。

ひょっとしたらと期待を胸に

馬刺し名代の「むつみ屋」へ向かった。

 

=つづく=

2020年10月28日水曜日

第2512話 かきフライのバイオレンス (その2)

井之頭線・駒塲東大前の食堂「菱田屋」。

ビールを運んでくれたオネバさんに

かきフライ単品と小餃子をお願いした。

 

当店はすべてポーションが大きいと聞いていたので

定食仕立てはハナからムリと踏んでいた。

とはいってもほかに何か1品ほしいし、

軽いつまみがまったくないから

“小”の字に惹かれて餃子にしたのだ。

 

向かいの客が頼んだ、まぐろ刺身が着卓。

ジロジロ見るのは失礼につき、チラチラのぞくと、

赤身が10切れほどあるじゃないか―。

此処は独りで来る店じゃあないネ。

続いて豚肉生姜焼きが来て、これもドッサリ。

それほど大柄な御仁じゃないけどクリアできるかな?

 

「かきフライお待ちどうさま」

「ゲッ!」

見ただけでげんなり。

ひい、ふう、みい、よお・・・バカデカいのが5カン付け。

1粒が他店の2.5倍はあり、

ほとんど食堂内暴力だぞ、これは―。

 

たっぷりのタルタルソースに厚めのレモンスライス。

付合わせはキャベツ繊切りとスパゲッティサラダ。

定食にしなくて不幸中の幸いながら、とても食べ切れまい。

 

それでも別腹のビールはスイスイ入る。

黒ラベルにチェンジした、

うん、やはりこっちのほうがノド越しがよりスムース。

だけど、フライがスムースでなく、見た目通りに大味。

デカきゃ、いいってもんじゃないぜ。

 

餃子が運ばれ、これも5カン。

“小”を通したハズだが“小”なのかな?

パクリとやると肉々しいばかりで

野菜が少ないうえに餡の寝かせも足りず、旨みに欠ける。

そうこうするうち、隣りに中年夫婦、

はす向かいにヤングカップルが同席。

8人掛けは一気に密状態となった。

しかもフロント&サイドにシールドはない。

 

悪戦苦闘の末、フライ1、餃子2を残してギヴアップ。

当店の人気の秘訣はボリューム以外に理由が見つからない。

残念ながらデリカシーのかけらもないや。

そうだ、此処は定食界の「ラーメン 二郎」なんだヨ。

中高年には身体の毒。

どうしても行きたい向きは

時節柄、おすすめしないが徒党を組んで挑みましょう。

 

懸念は現実となり、

食事中のご夫婦に立ってもらって離席する。

会計は3200円ほどで、けして高くないけれど、

単身のオッサンは近づくべからずの異界が

最高学府の真ん前にありました。

 

「菱田屋」

 東京都目黒区駒場1-27-12

 03-3466-8371

2020年10月27日火曜日

第2511話 かきフライのバイオレンス (その1)

世田谷区・池ノ上から渋谷区・駒場東大前へと歩いている。

駒塲野公園を通過すると、辺りは真っ暗。

こいつは若い娘なんぞ歩けやしないぜ。

老人と子どももあかんなァ。

 

このとき流れくるのは小百合チャンの歌声だった。

誰だ? その女は! ってか?

小百合っていやあ、

吉永サンに決まってんじゃないすか。

吉永サンつったって

朝からTVに出てる騎手の女房じゃないヨ。

吉永小百合チャンだヨ。

 

♪   歩いて歩いて 悲しい夜更けも

  あの娘の声は 流れくる  ♪

 

ご存じ「いつでも夢を」の2番冒頭であります。

ん? そんなら橋幸夫の声もだろっ!、ってか?

いえ、いえ、ここは小百合のソロ・パートなんざんす。

 

17時半開店の「菱田屋」の敷居をまたいだのは18時前。

すでに7割の席が埋まっていた。

エリアで大人気の定食屋は初訪問。

入ってすぐ左にUターンすると、

相席用8人掛け大テーブルがあり、

その一番奥、壁際を指定された。

 

真向かいで単身男性がレモンサワーを飲んでいた。

いやマイッた、後客が隣りに来たら簡単にゃ出られんぜ。

航空機の窓側席を思い浮かべていただきたい。

おまけに4席並びときたもんだ。

 

卓上にも目の前の壁にも品書きの類いが見当たらない。

入って右側の壁に貼り出されているだけだ。

オペラでいうパーシャル・ヴューそのもの。

尻を滑らせていったん奥に落ち着いたはいいが

ただちに滑り戻してメニューが書き出された、

壁の前に出向いて沈思熟考。

 

後客が来たら出たり入ったりできないから追加注文は難しい。

すべてはムリなので、めぼしいモノだけ頭に入れた。

しっかし、何て非常識な店なんだ、ここは! 

飲み食いする前からムカッ腹を立ててる。

 

かなりの距離を走破して、ふくらはぎが痛む。

それよりもノドの渇きをいやすのが先決だ。

待望のビールは生が一番搾り、

中瓶がハートランドと黒ラベル。

キリンの中では唯一好みのハートランドを通した。

 

=つづく=

2020年10月26日月曜日

第2510話 歩いて歩いて 世田谷区 (その2)

経堂のお次は豪徳寺。

J.C.はこの道筋が大好き。

ユリの木通りは楽しく歩けて心が弾む。

短いながらも都内有数の散歩道は

マイBest 10 プロムナードにランクイン間違いナシだ。

 

小田急線・豪徳寺駅は

東急世田谷線・山下駅とサイド・バイ・サイド。

東武スカイツリーライン・牛田駅と

京成本線・関屋駅に等しい相互関係にある。

 

ラーメンを250円で提供していた、

「満来」の建物は残っていたが閉業したのだろうか?

店先の品書きはそのままなれど―。

備長炭の焼き鳥で1杯飲った「まつり邑」は健在。

早くも店は開いていたものの、食指動かず見送る。

 

ここで進路を変え、小田急沿線を外れ、

京王井之頭線・東松原駅方面へ。

豪徳寺の商店街を抜けると住宅街が続く。

他人様の家を眺めても仕方ないから

住宅街はちっとも面白くないネ。

 

黙々と歩行を進め、

気がついたら東松原をオーバーウォーク。

明大前に到達しちまった。

散策の魅力に欠ける駅周辺は退屈だ。

 

はて、何処に行くかな? 

思えば遠くへ来たもんだが、まだまだ歩ける。

明大前の隣り町というか、駅でいうと

代田橋・下高井戸・東松原・永福町が、東西南北。

 

駅改札から出て来る人波を眺めながら短考。

結局、井之頭線沿いに東松原へ南下する。

方向的に戻り気味ながら

来た道をあからさまに戻るわけではない。

豪徳寺から大きく迂回して下北沢方面に向かうことになる。

 

日も暮れかかってきた。

少々、急ぎ足で新代田・下北沢を素通りし、

ほぼ10年ぶりの池ノ上に到着。

前回は「レストラン3」で会食した。

ここでもちょいと心配になって出向いてみると、

営業は継続している様子だが、おそらく開店は18時。

時刻はまだ17時で界隈の店は和・洋・中を問わず、

18時オープンが目立つ。

 

ふと、或る1軒が脳裏をよぎり、

一つ渋谷よりの駒塲東大前を目指した。

日はとっぷりと暮れ、暗い夜道をテクテクテク。

こういうのもハイテクの一種であろうヨ。

2020年10月23日金曜日

第2509話 歩いて歩いて 世田谷区 (その1)

ウルトラマン商店街の洋食屋でハズしたあと、

1時間余り界隈をほっつき歩いて町を出た。

この日は長距離散歩を敢行するつもり。

小田急線沿いに東へ向かう。

 

隣りの千歳船橋を目指して城山通りを往った。

歩き初めて10分ほど、

遭遇したバス・ストップでアイ・ストップ。

停留所名が笠森稲荷前。

どうして笠森稲荷がこんなところに―。

そのことであった。

 

大阪・高槻市に創建されたこの稲荷神社は

東京・谷中の天王寺境内に勧請され、

江戸中期、明和年間には門前の水茶屋「鍵屋」の看板娘、

お仙が評判となり、人気を博して大いににぎわった。

 

それがなぜ遠く離れた世田谷・砧の地に?

調べてみても経緯は判明せず。

ネットの写真では廃れ果てたという感じだったが―。

 

千歳船橋は平成の終りの春以来。

大型10連休の2日目に「旬菜 すがや」で飲んだ。

ちょいと心配で訪ねてみたら営業を続けていて一安心。

 

道筋をそのまま直進してT字路にぶつかり、

通りの名前を記す標識を見てビックリ。

何と森繁通りだとサ。

森繁と聞いたら希代の名優、森繁久弥意外に思いつかない。

 

こちらは調べたらすぐ判った。

かつて通り沿いに名優が棲んでおり、

いつしか地域の住民が呼び始めた俗称が

区も認める正式名称になった由。

 

経堂にやって来た。

此処には「はるばる亭」がある。

カウンター数席だけの小体なラーメン店だが

昼から酒を飲ませてくれる。

したがって呑ん兵衛が2~3人も集まると、

回転率が極端に落ちてしまい、

ラーメンだけの客は相当待つ破目に陥る。

 

チャーシューかシナチクでビールをと思い、

十数年ぶりの再訪。

すると、店先に貼り紙1枚。

 

紅葉の季節となりました

旅に行ってきます

  =店主=

 

ハハハ、一風変わった人だったけど

まるでフーテンの寅さんみたいだネ。

 

 =つづく= 

2020年10月22日木曜日

第2508話 ウルトラマンの町へ (その2)

世田谷区・祖師ヶ谷大蔵は

ウルトラマン商店街の「キッチン マカベ」に独り。

ドライカレーの全面に覆いかぶさるカレーソースに

手の施しようもなく、空を、じゃなかった、天井を見上げている。

 

ドライカレーはそのままに、カレーライスは白飯と一緒に

食べたいんだよぉ!

せめてぶっかけを多少ずらし、ライスが見える状態にしてほしい。

中華料理屋のあんかけ炒飯。

あれも大嫌いで、未だ注文したことがない。

食べてないんだから、食わず嫌いのそしりは免れないがネ。

 

実食してやはり旨くなかった、いや、まずかった。

カレー粉をまぶしただけのピラフに

お子チャマ向けのゆるいカレー、完食するのに一苦労。

添えられた薄いチキンカツはカラリと揚がり、

ラードも香るが惜しむらくは火の通し過ぎ。

ガシガシのパサパサときたもんだ。

 

ドレッシングのかかった生野菜は

トマト・きゅうり・キャベツ。

糸みつばときざみねぎが浮かぶスープは

コンソメと澄ましの中間で、昔とまったく変わらない。

 

コロナ禍のせいもあろうが、

卓上にカスター(薬味立て)が見当たらない。

塩・コショウはもとより、

カツにはウスターとマスタードがほしい。

 

ああ、オム・コロにしとけばよかった。

何度か利用し、いろいろいただいたが今回は最低点。

スペシャルインディアンの名称に惑わされちまったヨ。

推薦しといてまことに無責任ながら

これが当店の真の実力かもしれないな。

「ローン・レンジャー」のトントが言ってたヨ、

「インディアン、嘘つかない」ってネ。

 

ビール中瓶(¥750+)と合わせ、会計は2310円。

内容から割高感否めず。

それでも地域の人気店に疑いの余地なく、

13時を回って客足が落ちることはなかった。

満足度は低くとも腹ごしらえはできた。

ウルトラマン・タウンの散策に入ろう。

 

歩きやすい町である。

スーパーや鮮魚店をのぞいたが、食のレベルも高い。

まるよし横丁なる、昭和20年代の情感をたたえた、

スモール・アーケードがいい感じ、次回は此処で飲もう。

と言っときながら、なかなか来ないんだけどネ。

 

「キッチン マカベ」

 東京都世田谷区祖師谷3-11-15

 03-3482-3748

2020年10月21日水曜日

第2507話 ウルトラマンの町へ (その1)

その日、小田急線の電車を降りたのは祖師谷大蔵。

世田谷区のセレブタウン、成城学園前の一つ都心寄りだ。

駅北側の祖師谷、南側の大蔵、二つの町の合成ネームだが

実際に駅のすぐ南は砧(きぬた)で大蔵はその向こう。

しかも砧のほうが知名度も高いのに

なぜ駅名を祖師谷砧にしなかったんだろう。

漢字3文字と1文字じゃバランスが悪かったのかな?

 

かつて砧に怪獣映画の特撮で名をはせた

円谷英二監督のプロダクションと自宅があったため、

ここはウルトラマンのホームタウン。

町を縦横に走る2本のメインストリートも

ウルトラマン商店街を名乗っている。

 

目当ての「キッチン マカベ」に到着したのは正午過ぎ。

1階のテーブルは満席だ。

カウンターの椅子には雑誌類が置かれ、使われていなさそう。

フロアに接客係の姿なく、そのまま勝手に2階へ上がった。

 

懐かしい光景が広がる。

四人掛けが1卓空いており、そこに案内された。

同時にスタッフが階下に叫ぶ。

「満席でーす!」

 

この時点で他テーブルにほとんど料理が配膳されておらず、

かなり時間がかかりそう。

リーマン・OLのランチ利用は難しいだろう。

 

本日の欠品は牡蠣と豚リブロース。

最初にこの申し出はとても大切だ。

注文後しばらく経ってから、無い旨を告げられると

「初手から言うてくれい!」―

厚な客の声もさすがに荒がるからネ。

 

自著「昼めしを食べる」で当店を紹介した際、

ピンポン玉みたいなクリームコロッケが2個、

オムライスに添えられる、通称オム・コロを推奨したが

本日は未食の料理でいきたい気分。

 

入念にメニューを吟味し、店先のウインドウにあった、

スペシャルインディアンライス(¥1350+)を選択する。

蝋細工はドライカレーにカレーソースがかかり、

傍らにチキンカツが乗っていた。

 

次第に料理が出始める。

全体の七割を占める女性客、その過半数がオム・コロだ。

入店から40分で注文品が整い、このとき中瓶をお願い。

皿を、すがチャンみたいに俯瞰して失望の色隠せず。

ドライカレー全体にソースがぶっかかってるヨ。

サンプルはライスが半分顔を出してたんだがなァ。

 

=つづく=