2018年5月31日木曜日

第1883話 デミ・グラスが魅了する! (その2)

東急目黒線・西小山駅のエスカレーターを上がると、
懐かしい町並みが広がっていた。
商店街を流すヒマもあらばこそ、「杉山亭」に一直線である。
あらっ? エントランスの脇に1卓出張って
中年のカップルがオムライスを食べてるヨ。
昼下がりのよき光景、ちょいとしたテラスの昼食だネ。

ドアの把手を引くと店内は大盛況。
4人掛けのテーブルが4卓、すべて埋まっている。
近所の若夫婦か家族連ればかりだ。
さいわい奥のカウンターは先客1人のみ。
4席が空いていた。

古いけど立派なメニューを手に取り、考えに考える。
決断の前にスーパードライの中瓶を通し、
オードヴル代わりにシーフードサラダのハーフサイズを―。
そうしておいてオムライスに比べ、
けして軽くはないハンバーグをお願いした。
もちろんライス抜きである。

サラダはレタスの上に小海老・タコ・イカが並んでいた。
イカはスミイカの赤ちゃんだろうか、
ゲソまで付いた小さいのが2尾だ。
ドレッシングは一般的なフレンチとは異なるが美味しい。
赤みがさしているのはトマトピューレのせいだろうか?
んなことあるわけないな、にんじんだネ。

2本目のビールを我慢しているところへハンバーグが登場。
まるで洋々たるデミ・グラスの海を泳ぐ海亀の如くだ。
セットされたナイフは使わず、フォークだけでいただく。
いいネ、旨いネ、素敵だネ。

ハンバーグを食べるのは実に久しぶり。
と思ったけれど、2週前に王子の「キッチン ハマダ」で
豚肉100%のハンバーグを食べてたわ。
でもあれはランチセットの片割れだからいわゆるデュエット。
正式にハンバーグをソロで注文するのは久々なのである。

ガルニはマッシュドポテトにゆでたブロッコリー。
たっぷりのソースに、ポテトはフライよりマッシュがよく合う。
ポテトの力を借りて一滴残らずソースを拭いとった。
当店のデミ・グラスは子どもにも大人にもジジババにも
歓ばれる均整のとれた万人受けのするもの。
フランス人やアメリカ人も美味しいと感じるに違いない。

「ごちそうさま、大変美味しくいただきました」―
上條恒彦をコンパクトにした感じのシェフに声を掛けると、
「ありがとうございます、またお待ちしています」―
まことに丁寧なご返答。
会計後、マダムに見送られ、すがすがしく店をあとにする。

おう、おう、外は太陽がいっぱいじゃないか。
さて、大岡山まで歩くとしますかの。

「杉山亭」
 東京都品川区小山6-1-3
 03-3712-6222

2018年5月30日水曜日

第1882話 デミ・グラスが魅了する! (その1)

東急目黒線・西小山駅至近に洋食店「杉山亭」がある。
その存在は20年ほど前から知っていた。
散歩の途中に通りすがって
しばらく店の佇まいをながめたこともあった。

切盛りするのは初老のご夫婦二人きり。
にこやかな奥方の接客に加え、
ご主人の手になる名代のオムライスが人気で
地域の常連さんはもとより、
遠方から通うファンも少なくないそうだ。

真夏日に迫ろうという好天気の午後。
目黒線で2駅先の大岡山に行きたくなった。
別段、深い理由はないけれど、
北口の商店街を歩いてみたくなったのだ。

都心からだと、メトロを乗り継いで目黒経由か
JR京浜東北線で大井町に出て
東急大井町線を利用するかのほぼ二者択一。
軽いブランチをとっただけだから
家を出たときには少なからず空腹感があった。

昼過ぎにガッツリ食うと晩酌に差し障りが生じるため、
重いものは極力避けたい。
避けたいとは思うものの、
しばらく美味しいのに出逢ってないとんかつが食べたい。

大井町には老舗中の老舗「丸八本店」がある。
そうだ、ごはん&味噌碗を自粛して
ロースカツでビールを飲もう。
ぼんやりと、そう考えていた。

この瞬間だった、いや、ちょっと待てよ。
思い出したのは行きそびれていた「杉山亭」だ。
大岡山を目指すなら西小山は
「杉山亭」のご夫妻には失礼ながら
行き掛けの駄賃じゃないか!

そうと決めたら気分は晴ればれ、ほとんどルンルンである。
ケチャップ感満載のチキンライスに
薄焼きオムレツが乗っかり、
たっぷりのデミ・グラスが掛けられる。
想像するだに味覚を激しく刺激される。

でもねェ、オムライスはボリュームがあるだろうな。
まさかハーフサイズはなかろうし・・・。
狙いは何といってもデミ・グラスだからなァ。
さすればビーフシチューかハンバーグのどっちかだ。
迷える仔羊を乗せた電車は
西小山に到着したのでありました。

=つづく=

2018年5月29日火曜日

第1881話 コンビニよ お前もか!

今の日本、右を向いても左を見ても
恥をさらしまくって恥と気づかぬ輩ばかり。
意地悪ガエルにそっくり顔の麻生なんか
カエルの面にションベンを地でいってるヨ。

先週のことである。
新聞の朝刊に1枚のチラシが入っていた。
いや、何枚もあったが、うち1枚に目がとまった。
とあるコンビニの広告だ。

今後の売上にダメージを与えかねないので
名前を伏せようと思ったものの、
どうせバレるだろうから実名を記す。
もっともJ.C.の書くことなんぞ、
社会に大した影響を与えまい。

今話の標的はローソン。
当該のチラシを大ざっぱに再現してみる。
まずオモテから―。
ローソンの新鶏から登場!!
 しょうゆ 旨塩  お店で揚げてます
 鶏から各種
 しょうゆ=国産”木樽天然醸造濃口醤油”使用
 旨塩=長崎県産”五島灘の塩”使用
毎週金曜日はタイムセールの日
 対象の揚げ物・焼鳥 20%引き
 広告有効期間 5/22~5/31
そしてウラ。
でか焼鳥もも塩 1本127円無料!
 備長炭火焼 長崎県産”五島灘の塩”使用

てなこったが、何かヘンじゃない?
国産天然醸造醤油やら五島灘の塩やら備長炭やら
こまかいところにやたらこだわるクセに
肝心の鶏肉の出所が明記されていない。
ひた隠しに隠している気配だ。

チラシにカスタマーセンターの番号があったので
さっそく電話してみた。
5分ほど待たされた末に通じたオペレーターに訊ねると、
彼女、悪びれもせず応えたネ。
「中国産です」―予想通りだった。

余計な惹句を振りかざさなけりゃ見過ごしたのに
愚かにして姑息な広告というほかはない。
かつてマクドナルドを窮地に陥れた中国産チキン。
しかもこのところ、
週刊文春あたりが槍玉にあげている中国食品だ。
中国産のすべてが悪いわけじゃないけどサ。

あゝ、コンビニよ、お前もか!
儲け第一主義で消費者をあざむく。
政治家悪けりゃ、官僚も悪い。
彼らとツルむ大企業もまた悪い。
小遣いに苦労してるわりに
コンビニ通いをやめられない若者たちに告ぐ。
いいかげんに目覚めなさいって―。

2018年5月28日月曜日

第1880話 キサマらに明日はない

この国はいったいどうしちまったんだろう。
真実は隠蔽されて真っ赤な嘘や
真っ黒な言い逃ればかりがまかり通る。
諸悪の根源は阿倍以外の何者でもなかろう。

キャツこそが国難の根源にしてウミの大元である。
辞めてくれりゃ国難は去り、ウミの出し切りも完了する。
すべてを認めて国民に謝罪すべきだ。
「アイム・ソーリ、もとい、アイム・ソーリー」ってネ。
善良な国民はやってられないヨ。

振り返れば、これほど汚辱にまみれた政権は
かつてなかったのではないか!
片手の指を3本立てて職を追われた首相がいたが
現政権とは恥と罪の次元がまったく違う。

TBSラジオの午後の番組、
「荒川強啓デイ・キャッチ!」をときどき聴いている。
とりわけ毎週水曜の時事川柳コーナーは必聴。
思わず吹き出す作品が目白押しなのだ。
いくつかの傑作を紹介してみよう。

佐川でぇ~す お荷物ですよ 昭恵さぁ~ん

活字にするとインパクトが伝わらないかもしれないが
いや、笑った、笑った、腹を抱えてネ。

ヘソ曲げて くちびる曲げて スジ曲げて

ハッハッハ!
誰のことだか一目瞭然なり。

いいですよ 縛ってあげる 手錠でね

変態・福田も震え上がるKOパンチ。
そもそも縛りたいとか縛られたいとか
どうしてもやりたかったら
テメエの女房にお願いしろヨ。
馬鹿か、キサマは!

阿倍・麻生 内田・井上 そっくりショー!

まさしく瓜二つ。
もはや付ける薬はございやせん。

遅ればせながらJ.C.も一つひねってみやした。

われがもし ゴルゴなら撃つ 麻生・阿倍

銃器が簡単に手に入らぬ、日本に生まれてよかった。
 

2018年5月25日金曜日

第1879話 江戸錦絵のお出迎え (その2)

北区・王子の「無識庵 越後屋」。
18時を回り、客入りも順調。
孤食は見掛けず、家族連れや仲間同士が目立つ。
地元の方々ばかりでわれわれのような遠征組はいない。

つまみ類はいずれもソツなく、かつ美味。
小さなポーションもありがたく、
箸の上げ下げによどみが出ない。
味覚の変化を舌が素直に歓んでいる。
酒と肴のシナジー効果というヤツだネ、これは―。

品書きをながめて気になった京にしん。
質の良し悪しをジャッジしてみたいまぐろ刺し。
以上2品を追加する。
飲む際にさほどつままぬ身には異例のことだ。

京にしんの煮上がりに瞠目した。
京の都の旦那衆も真っ青必至の出来映えである。
身は厚く大きくともペロリンコと平らげた。
あらためて当店の力量を確認した次第。

逆にまぐろには感心しなかった。
赤身4~5切れに対し、
大とろに近い中とろは1切れのみ。
見るからにアンバランスにして食味ももの足りない。
生モノからは撤退したほうがよさそうだ。

そろそろ締めにかかろう。
初訪のそば屋でそばを食べなきゃ悔いが残る。
しかしながらここに到って食欲の低下が生じた。
立派すぎるにしんのボディーブローが効いてきた。

相方と協議の結果、一人前のシェアを決断。
当方の嗜好を優先させてもらい、
好物の変わりそばに決定する。
ところが月替わりの変わりそばの5月は茶切り。
う~ん、茶切りかァ・・・。
これだけはあんまり好まないんだよねェ。

ちなみに4月は桜切りに海老切り。
季節からして海老切りは桜海老に相違なかろう。
食べたかったなァ。
そして翌月の6月はくるみ切りだった。
これもまた興味津々なり。
月のめぐりの悪さを恨みつつ、
変わりをあきらめてシンプルなせいろを注文した。

そばは1枚のせいろに小さな山が4つ。
いわゆる小ちょぼに盛られて登場した。
新潟のへぎそば以外でこのスタイルは珍しい。
分けて食べやすいし、そば猪口を2つ用意してくれ、
心配りに感謝の巻である。

知っていながら長期に渡った未訪を今さらながらに悔やむ。
ったく、こんな気持ちにさせやがって
これ 越後屋、そちもなかなかのワルよのぉ。

「無識庵 越後屋」
 東京都北区王子本町1-21-4
 03-3900-5904

2018年5月24日木曜日

第1878話 江戸錦絵のお出迎え (その1)

いまだに王子の町にいる。
ランチ後、4時間ほど費やして晩酌の時間となった。
夕暮れ、夕まぐれ、灯ともしごろ、たそがれ、宵の口、
言葉変われど、一日のうちで最も好きな時間帯である。

訪れたのは「無識庵 越後屋」。
日本そばの老舗だ。
当店を識別したのはかれこれ10年ほど前ではなかったか?
十条・赤羽に向かう散歩の途中だった。

見覚えのある江戸錦絵の出迎えを受ける。
歌川豊国の筆による大泥棒・鬼あざみ清吉だ。
金持ちから盗んだ金を貧しい人々に与えたというから
鼠小僧次郎吉にも似た義賊であった。

原本は清吉の背景に二八そばの屋台が描かれているが
ここでは鬼あざみのみでバックは省かれている。
清吉っつぁん、ハスに構えてしゃがみ込み、
箸を右手に染付の小どんぶりを左手に抱えて食事中である。

歌舞伎や上方落語の演目にもなった鬼あざみだが
実在のモデルがいて鬼坊主清吉という。
江戸末期の文化年間、若くしてお縄を頂戴し、
千住の小塚っ原で首を打たれ、刑場の露と消えた。
実は雑司ヶ谷霊園に墓があり、香華が絶えないと聞くから
江戸庶民の人気が平成の世に受け継がれているわけだ。

店内に先客はゼロ。
奥まった四人掛けの卓に着く。
23区内に唯一残る造り酒屋、
小山酒造の丸真正宗純米の冷酒を所望した。

つまみは葉わさびおろしと
相方が食べたがったあさり天ぷら。
葉わさびの辛味がツンと鼻腔に抜けてゆく。
あさりはあさりでカラリと揚げられ、身はホックリ。
どちらも上々の仕上がりだ。
老舗らしい落ち着いた空気が流れている。

これも冷酒の出羽桜枯山水古酒に切り替え、
ウドきんぴらとたら子西京漬けを。
ウドは皮が主体につき、
味付けはよいが奥歯にはさまりやすいのが難。
珍しいたら子の西京はオツなもの。
他店では見かけない独創的佳品と言ってよい。

枯山水はさすがの古酒。
複雑な滋味が味蕾を襲う。
たら子と西京、もとい、最強タッグを組んでくれる。
じんわりと清酒の酔いが回ってきた。

=つづく=

2018年5月23日水曜日

第1877話 時とまれども時間は厳守

その日のランチは北区・王子にて―。
かつては赤羽・十条とともに
帝国の軍都を形成した町である。
金原亭馬生や立川談志が演じた落語、
「王子の狐」の舞台としても世に知られている。

新幹線やら京浜東北線やら何本も走る線路と
王子本町にはさまれた細長い一画の岸町(きしまち)。
そこにレトロ感満載の洋食屋があると聞いて訪れた。
王子駅を西に出て有名なおでん屋を左に見ながら
狭い道を真っ直ぐ行くと右手に「キッチン ハマダ」はあった。

入店したのは13時半過ぎ。
なるほど、こりゃ古めかしい。
昭和30年代で時はとまっておるネ。
逆L字形のカウンターのみ、岸町同様にこちらも細長い。
白髪の女将さんと息子だろうか、
プロレスラーみたいに身体の分厚い料理人のツーオペだ。

王子からそう遠くない町に棲む相方と
ほぼカウンター中央に席をとった。
さっそくのビールはキリンラガーの中瓶。
古い店はこの銘柄であることが多い。

ランチメニューはほとんどが2種の料理のコンビネーション。
②番と⑥番を通した。

②―ポーク焼肉&チキンカツ
⑥―ハンバーグ&海老フライ

付合わせはともにキャベツ千切り。
具だくさんの味噌汁と皿盛りのライス。
卓上にはきゅうりのしば漬けが備え付け。
といった陣容である。
ライスの盛りがかなりと聞いており、少な目でお願いした。

料理もけっこうなボリュームで海老フライの2尾はともかく、
チキンカツの2枚はやり過ぎじゃないか―。
いや、若者にはこのくらいが適量なのかもしれないネ。
まったくもって歳はとりたくないもんだ。

プリリとした海老は期待以上。
ポークは肉質イマイチながら味付けは悪くない。
豚ひき100%のハンバーグもこれはこれでいい。
ライスはそこそこだったが
野菜の切れ端のごった煮みたいな味噌汁は
勘弁してほしかった。

14時ちょうどだったかな? 若者が独りで来店するも
ランチタイム終了の告知に踵を返して立ち去った。
同じ北区でも先日訪れた上中里の「力食堂」と違い、
岸町「ハマダ」は時間厳守をモットーとしている様子。
長く続けるために無理な延長は避けるに超したことはない

「キッチン ハマダ」
 東京都北区岸町1-3-4
 03-3909-6950

2018年5月22日火曜日

第1876話 ライムジュースとミントティー

最近は午前9時頃にブランチをとるのが常で
ごはんよりパンのほうが多い。
ちなみに昨日の献立は下記の通りだった。

イングリッシュマフィンのバタートースト
ライムジュースのソーダ割り
ホット・ミントティー

今日もほぼ一緒かな?
マフィンが食パンのバタートーストや
ハムやチーズのサンドイッチに替わることもある。
ときどきスープ(オニオンorミネストローネ)、
あるいは玉子料理(目玉焼きorスクランブル)を
付けたりもする。
とにかくこのところハマッているのが
ライムジュースとミントティーなのだ。

ライムは生果実をスクイーザーで搾らなければならない。
瓶入りのコーディアルなんかじゃダメ。
やはり手造りのガムシロップを少量足して
よく冷えたクラブソーダでグラスを満たす。
旨いんだなコレがっ!

レモンに比べると
ライムは口当たりというか、ノド当たりがずっとやさしい。
レモンジュースがノドチンコにぶつかる衝撃は
かなりのものがあるからネ。

ミントティーを初めて飲んだのはかれこれ四半世紀前。
アルジェリアの首都・アルジェのカスバだった。
ジャン・ギャバン主演の「望郷(ペペル・モコ)」を
ご覧になった方も多かろう。

ミントティーなる飲みものの存在を知ったのは
それよりずっと以前だった。
米映画「名誉と栄光のためでなく」(1966年)の撮影のため、
アルジェリアを訪れていた主役のアラン・ドロンが
ひどく気に入ったという逸話を
映画誌「スクリーン」で読んでいたからだ。

スーパーのハーブ売り場で手に入るスペアミントか
ペパーミントをティーバッグとともにカップに投じ、
熱湯を注ぐだけで出来上がり。
無精者にも面倒なことはなく、オススメである。

ライム&ミントとなれば、カクテル好きはピンとくるハズ。
そう、ヘミングウェイも愛したモヒートですな。
もちろんたまには作って飲むけれど
このミックスドリンクは夏でないと美味しくない。
しかも海の見えるテラスでないと美味しくない。
そして傍らに美女がいないと美味しくない。
まことにヤッカイなシロモノなんざんス。

2018年5月21日月曜日

第1875話 ヒデキの思い出

西城秀樹がいきなり逝ってしまった。
二度に渡る脳梗塞の後遺症との闘いは
伝え聞いていたけれど、命を奪ったのは心不全。
ちょっと意外な気がした。
それにしても63歳の死は若すぎた。

追悼の意をこめてマイ・ベストファイヴをいきたい。
といっても耳に親しむ曲は
1972年のデビューから1983年初めくらいまで―。
よってベストテンは少々荷が重い。

思い起こせば1983年4月15日。
東京ディズニーランドが開園した日にシンガポールに赴任し、
以後15年に及ぶ海外生活が続いたため、
その間にリリースされた曲はほとんど聴いていないのだ。

① 傷だらけのローラ
② ブーツをぬいで朝食を
③ ブーメランストリート
④ 情熱の嵐
⑤ 激しい恋
 次点:抱きしめてジルバ~Careless Whisper~

何といっても「ローラ」が一番。
「抱きしめて~」は珍しくも
郷ひろみの「ケアレス・ウイスパー」との競作だが
ヒデキのほうが好きだ。

あれは1988年8月。
ニューヨーク在住のJ.C.は
愛車・プレリュードを走らせて旅に出た。

バッファロー→トロント→オタワ→モントリオール→
ケベック→ボストン→ニューヨーク

ナイアガラ、カナダ、マサチューセッツ、
いずれも初めての訪れだった。

フランス語圏、ケベックでの一夜。
仏料理の夕食を終え、バーで飲んでいた。
そのとき突然、BGMでかかったのが「傷だらけのローラ」。
ん? 何だ、なんだ、何が起こったんだ?
よく聴くと声は確かにヒデキだがフランス語じゃないか!
カナダでも大ヒットした仏語版の初聴きであった。

唐突ながら今月末にシルヴィ・バルタンの日本公演がある。
ゲストとして八代亜紀もステージに上がる。
願わくば二人で「傷だらけのローラ」を歌ってくれないかな。
「哀しみのシンフォニー」や「悲しみの兵士」に
通ずるような気もするし、観客にウケること間違いナシだろう。

故人の愛した妻子のこれからに、幸多からんことを祈ります。
 

2018年5月18日金曜日

第1874話 鷺沼に舞い降りた (その2)

川崎市・宮前区の鷺沼に鷺の棲む沼はないようだ。
その町の焼き鳥店「近藤屋」のカウンターで独り、
ハイレベルの焼き鳥を生ビールと楽しんでいる。

日本酒に切り替えて”今週の地酒”から
地元・神奈川のカルガモ生(520円)を選択。
いづみ橋が銘柄でカルガモ・ラベルということらしい。
なるほど冷蔵ケースの一升瓶にはカルガモが描かれていた。

枡or徳利を択べるのもなかなかのアイデア。
燗酒は徳利&猪口、冷たいのは枡&グラスがよい。
甘いレバたれのあとだったせいか、
カルガモはスッキリ辛口に感じられた。

塩に戻ってハツとセセリを追加する。
うむ、どちらもけっこう。
そう、そう、書き忘れたが最初のソリ&オビには
バジルソースが添えられたのだった。
当店では塩モノには必ずバジルソース。
これがまた秀にして逸なのである。
おそらくバジルとチーズに塩とオリーヴ油。
まさしくイタリアンのジェノヴェーゼだネ。

芋焼酎の一刻者・赤をロックで―。
生モノはタコブツとイカソーメンのみとおざなり。
本日のおすすめにサバ塩焼きがあった。
備長炭で焼いたら、さぞ旨かろうと思うものの、
サバは食べでがあるからなァ。
おっと(小)もあったか・・・いや、やめとこう。
もう1軒行っときたいしネ。

さて、河岸替えである。
ところが狙った2軒に連続してフラれた。
1軒は満席、もう1軒はカウンターが満杯だった。
ここで記憶の片隅に置いといた店を思い出す。
「麺屋 直久」である。

「直久」といえば建て替わる前の銀座は旧東芝ビル地下。
ロンドンから帰国して新米サラリーマンになった頃、
たびたびお世話になった懐かしのラーメン店だ。
山梨県・甲府市での創業が大正3年というから
老舗中の老舗、その直系店に遭遇したのも縁だろう。

サッポロ黒ラベルの中ジョッキ、
純鶏醤油ラーメン、餃子3個を注文した。
純鶏醤油は名古屋コーチンの丸鶏使用とあったが
本当だろうか?

いただくと今は無き銀座店とはまったくの別モノである。
中細ストレートの麺、鶏油が浮いたスープ、
どちらにも懐かしみを覚えることはなかった。
皮が不出来の餃子は餡との一体感に乏しく1個残す始末。
壁に掲げられた銀座店の写真パネルのみが懐かしい。

救いは接客担当の娘さん。
サービス細やかにして気配りにも長けている。
綾瀬はるかを電子レンジでチンした感じの容姿も可愛い。
いきなりそんなこと言われたって理解不能でしょうが
ちょいとばかり、心が温まったのも事実でありました。

「近藤屋」
 神奈川県川崎市宮前区鷺沼3-1-22
 044-852-3323

「麺屋 直久」
 神奈川県川崎市宮前区鷺沼1-11-2
 044-866-5141

2018年5月17日木曜日

第1873話 鷺沼に舞い降りた (その1)

2ヶ月に1度の理髪を済ませて渋谷駅。
この日のターゲットは川崎市・宮前区の鷺沼だ。
田園都市計画によって造成された新興住宅地である。
知らない場所を歩くのは大好き。
よってこの町に鷺のように舞い降りた。
いえ、実際は田園都市線の急行電車に乗ってネ。

中休みを終えた飲食店が夜の営業を始めるのは17時ごろ。
鷺沼駅に下車したのは16時だった。
1時間もあれば駅周辺は網羅できるハズ。
意気揚々と歩き始めた。

いや、ずいぶん坂の多いところだこと。
普段、埋め立て地中心の平坦な下町を基盤としているため、
余計にその印象が深い。
北へ行っても南に下っても坂道ばかりである。

これといった訪問先を決めてきたわけじゃないから
ちょいと歩いちゃ、店の前で立ち止まり、
店構えや品書きを値踏みしてゆく。
1軒目として目星をつけたのは焼き鳥の「近藤屋」。
ハス向かいにやはり焼き鳥主軸の大型店があったが
こういうものは小さいほうを択んだほうが間違いは少ない。

町を走破してもなお15分ほどの時間が余った。
駅前のスーパー・フレルの生鮮コーナーを物色することにした。
鮮魚・精肉・青果を見れば、その町の生活水準は一目瞭然。
鷺沼のレベルはそれなりに高かった。

17時10分、「近藤屋」に入店すると、先客がテーブル席に2組。
がら空きのカウンターに落ち着く。
生ビールの380円は安いがジョッキは小さめだ。
卓上に備え付けの壺みそを小皿にとってしばしのアテとする。
突き出し(300円)に山芋くし切りとなめこの三杯酢が供された。
ニセわさが添えられている。

焼き鳥は稀少部位からソリとオビを塩でお願い。
ソリはももの付け根でプリプリの食感。
ももの内側のオビはソリよりも柔らかい。
上質な素材に備長炭による焼き入れが丁寧。
文字通り、塩の塩梅もよろしく、期待以上である。

続いてレバをたれで―。
うむ、これも巧みな火の通しだ。
串はどれも130~200円と良心的価格。
近年、高級焼き鳥店が
大手を振って歩く東京から来ると、殊更にそう感じる。
そしてすべてが旨い。
かなりイケてますな、この店は―。

=つづく=

2018年5月16日水曜日

第1872話 たこ焼き屋と大衆食堂

足立区の一大ターミナル、
北千住駅を西に出て歩くこと十数分。
かつて柳新地と呼ばれたカフェー街跡を散策。
その後、尾竹橋を南に渡り、町屋の町に向かっていた。

途中で発見したのが「笑顔」という名のたこ焼き屋である。
テイクアウトがメインだろうが中をのぞくと
カウンターに数脚の椅子が並んでいるじゃないか。
間口の狭い小体な店ながら、たこ焼き居酒屋といった風情。
小腹が空いており、渡りに舟とばかり、迷わず入店した。
たこ焼き屋で飲むのは極めて稀有なことである。

ビールはスーパードライのレギュラー缶が350円。
サッポロラガー(赤星)中瓶とギネス小瓶がともに500円。
缶を頼んだら店主がギネスのグラスに注いでくれた。
容量350ml がグラスにキッチリ納まった。

多彩なメニューから、いか焼き(250円)を所望。
いかと玉子の薄いお好み焼きである。
いか焼き用ソースは辛口で醤油っぽさを感じる。
これがビールをいっそう旨いものとした。

正統派のたこ焼き(6個)のほかに揚げたこがあって
これは2個(120円)から注文できる。
6個は多いからちょうどよい。
たこ焼き用ソースは甘みが主張して
クミンの香りもほんのりとユニークなソースだ。

壁に貼られたソルティードッグの説明書きに目がとまる。
AとBの2タイプがあり、
バータイプのAはグレープフルーツの生搾り。
アルコール度は20パーセント。
居酒屋風のBは出来合いジュース使用で
度数8パーセントながら量は2倍となる由。
Aをお願いしてみると、なるほど本格的だ。
製氷機の氷に不満が残るものの、じゅうぶんに楽しめた。
30分の滞在でお勘定は1120円也。

2軒目は町屋のランドマーク「食事処 ときわ」。
久々に訪れると、店は大改築されて1階が飲める食堂、
2階は寿司割烹に様変わりしている。
もちろん1階使用だが、いや、たいそうな混雑ぶりだ。

4人掛けの卓が1つだけ空いており、そこに案内される。
もっとも10分以内に独り客が2人来店して相席となった。
知らない同士3人の同席ってのは居心地が悪いやネ。
サッポロ黒ラベルの大瓶を飲みながら
ふきのとうの天ぷらが揚がるのを待つ。
何と、運ばれたのは40分後ときたもんだ。

庶民的雰囲気も失せて何だか平凡な店になった。
唯一、気に染まったのは新商品のモーニングセット。
午前11時半までの提供で
小生ビール・ポテトサラダ・ミニ皿・あじフライ。
飲み屋のモーニングなんて前代未聞だ。
肝心の値段を忘れたが次回は午前中に来てみよう。
いや、小ジョッキで済むわけないから、あんまり意味ないか。

「笑顔」
 東京都荒川区町屋8-1-9
 03-5901-9578

「食事処 ときわ」
 東京都荒川区荒川7-14-9
 03-3805-2345

2018年5月15日火曜日

第1871話 中華の細うで繁盛記 (その2)

千葉県・松戸市の上本郷。
松戸市というのは江戸川をはさみ、
寅さんで全国にその名を知らしめた柴又の対岸。
演歌で有名な矢切の渡しの向こう側である。

ともにこの土地にゆかりのある二人が
町の中華屋、「大八北珍」で飲み始めた。
今宵はゆるりと、
当地にまつわる思い出話に花を咲かせよう。

お定まりの瓶ビールをお願いしてグラスを合わせる。
菜譜に目を通して驚いた。
何だヨ、あなご丼って?
ありゃりゃ、スパゲッティ・ナポリタンまであるぜ。
あらためて時の流れを痛感する。

お通しは小さな冷奴。
腸詰めにはプチトマトと白髪ねぎ、炒めた小松菜も。
海老蒸し餃子、いわゆるハーガウは
点心専門店のレベルには達していないが
昔はこんなシャレたものはメニューになかった。

紹興酒に切り替えた。
花彫塔牌珍5年の600ml入り である。
相性のよさそうな牡蠣ニラ炒めと合わせる。
牡蠣は片栗粉をはたいて揚げたものを
ニラと炒め和えてあり、花彫との相乗効果を生んでいる。

ゆでた豚バラ肉のニンニク醤油がけ、
俗に言う、雲白肉を追加した。
もっと薄くスライスしてほしいが、その味付けに箸が進む。
ニンニク醤油のチカラというほかはない。

締めはあんかけの五目焼きそば。
たっぷりの具はありがたいけれどヤケにしょっぱい。
白飯のおかずになるほどだ。
急に飲みたくなってビールに舞い戻る。
こういう料理にビールは必要不可欠。
プハ~ッ、生き返る思いがした。
会計は6千円あまりと、これは松戸価格かな。

食後、上本郷の町をぶらり。
よく買い物をしたスーパー、マルエツはそのままの姿。
庶民的な日本そば屋「稲廼家」、
ちょいと高級な鮨店「菊よし」、みな健在だ。

おっと、「佐藤精肉店」が生き残ってるじゃないか―。
当世、個人経営の肉屋は稀少にして貴重。
すき焼き・ステーキ用に牛肉、
生姜焼き・ソテー用に豚肉をちょくちょく買った店なのだ。

ここの店主の口ぐせを今も忘れない。
グラム数を明言している客に向かって
「奥さん、ちょっと出ましたァ!」―
ハハ、これが毎度のことだから
口ぐせというより巧みなオッツケだネ。
あのオヤジさんの姿が見えないから
とっくに引退したか、
もうこの世の人ではないかもしれないなァ。

「大八北珍」
 千葉県松戸市仲井町3-13
 047-368-1609

2018年5月14日月曜日

第1870話 中華の細うで繁盛記 (その1)

千葉県・松戸市の緑ヶ丘。
1980年をまたいで6年ほど暮らした平和な町である。
最寄り駅は松戸から新京成線で一つ目の上本郷。
ターミナル駅の松戸まで歩けない距離ではなかった。

駅前の商店街をちょいと入った小道に
「大八北珍」なる町の小さな中華屋が
オープンしたのは’70年代の終り頃。
若い夫婦が独立して開いた店だった。

ほどなく二人のあいだに赤ん坊が生まれ、
奥さんは乳飲み子を背中におぶって接客に励んでいた。
いや、バイタリティにあふれてたなァ。
拍手を送りたくなるくらいだった。
旦那はおとなしい人であまりオモテに出なかったから
若女将が孤軍奮闘しているようにも見えた。

緑ヶ丘を離れたのはシンガポールに赴任した1983年。
あれから幾星霜、懐かしさに後押しされて
27年ぶりに「大八北珍」に立ち寄ると
店は目抜き通りの商店街に移転していた。
立地条件のよい角地で広さもかなり拡張されている。

そのときはランチのため、長居はしなかったが
厨房内にチラリと女将の姿を見とめることができた。
ここまで発展させたのは店主の腕もさることながら
女将の細うでによるところが大きい。
今は昔、静岡の温泉旅館を舞台にした、
「細うで繁盛記」というTVドラマがあったが
こちらは町の中華屋版だネ。

このGW、8年ぶりに訪れた。
相方もまた、当店を利用したことがある御仁だ。
入店すると件の女将が厨房で元気よく中華鍋を振っていた。
とうに還暦を超えているハズなのに―。

老眼鏡(?)のお世話になっているものの、
髪はキチンとセットされている。
聞くところによれば、
今や当店は”上本郷の台所”の異名をとるそうだ。
町を代表する大店(おおだな)に育て上げ、
暮らし向きもずいぶんよくなったんだネ。
何となくうれしい。

奥のテーブルに進む際、一瞬彼女と視線が合ったものの、
別段、これといった反応はない。
そりゃ、そうだろう、客は店の人を覚えちゃいるが
常連でもないかぎり、その逆はないやネ。
ましてやあれから数十年である。
さもありなん。

=つづく=

2018年5月11日金曜日

第1869話 三河島で酌交

読者のK野サンと初めて一酌に及ぶこととなった。
待合せはJR常磐線・三河島駅改札である。
われわれの世代は三河島と聞くと1962年に発生した、
国鉄の多重事故を思い出さざるを得ない。
死者160人に及ぶ大惨事ながら、ここでは多くを語らない。

メールの交換から飲む機会を得たK野サンと
約束の18時に先んずること1時間。
日暮里から歩いて三河島に到着した。
ここは城東のコリアンタウンでもある。
焼肉店を利用したが居酒屋で飲んだことはない。

狙いを定めた「もつ焼き 三朝」は
惨事の起こった駅高架下にポツリとあった。
若くはないオニイさん、あるいはフケてはいないオジさん。
そんな感じの店主が独りで切盛りしている。

アサヒの大瓶は明らかに冷えがたりない。
カシラの塩とレバのタレは水準以上。
タレで頼んだ、ゆでシロはシロというよりテッポウだ。
下茹でが施してあり、食感がよろしい。
ハナシの種にたこ焼きのおでんを所望してみたが
これは策士、策に溺れるの感あり。
わさび葉のおでんも花わさびと思い込んだこちらの早トチリ。
まっ、ここは店名通りにもつ焼き(焼きとん)が全てでしょう。

初対面の相方と入店したのは駅前の大衆酒場「春駒」。
地元の客たち、殊に家族連れで賑わっていた。
椅子席でよかったが入れ込みの座敷に通される。
同部屋には十名近くの大人と未就学の子どもがほぼ同数。
こりゃ先が思いやられるな、いや、マイッたぜ。

気を取り直し、サッポロの赤星で初めましての乾杯。
訊けば、とあるホテルチェーンの統括料理長をなさっている由。
専門はフレンチということで会話に弾みがついた。
得意料理はパテのパイ包み焼きだとおっしゃる。

お通しとして供されたのはブリの煮付け。
これがバカデカくて一品料理並みだ。
何だか出鼻をくじかれ、ほかのつまみに食指が動かない。
一応、タコ刺しと蟹サラダを通し、もっぱら飲みに徹した。
ビールの次は山形の一献をぬる燗で―。

そうこうするうち、ガキンチョたちがドッタンバッタンし始めた。
ガマンはしたものの、あまりにヒドいので
この温厚なJ.C.が親たちに一献、もとい、一言。
あらら、アッという間にみんな帰っちゃったヨ。
こちらもじゅうぶんに飲んだのでお勘定。

歩くには少々遠い町屋まで歩き、2軒目は「A屋」。
ちょいと小ジャレた日本酒バーは雰囲気もいいが
地元の常連に迷惑がかかりそうで紹介できない。
これをキッカケにK野サンとは
定期的な酌交を約し、当夜はお開きとした。

「もつ焼き 三朝」
 東京都荒川区東日暮里6-28-17
 03-3806-7787

「春駒」
 東京都荒川区東日暮里3-40-12
 03-3806-5093

2018年5月10日木曜日

第1868話 猫に惹かれて日本橋参り

猫好きの友人よりレンラクあり。
写真展の招待券をいただいたのでご一緒にいかが?
なる、お伺いだった。
スケジュールが合致したのでお供することにする。
GW真っ盛りの一日であった。

展覧会は「岩合光昭の世界ネコ歩き2」。
ところは日本橋三越本店・本館7階催物会場。
TVでこの人のネコ番組は何回か観ているから
おおよその見当はつくし、親近感もあった。
牛に引かれて善光寺ならぬ、
猫に惹かれて日本橋参りである。

早めの昼食をと、同じ三越の「カフェ・ウイーン」に出向く。
ややっ、順番待ちの客がすでに十数名。
みなさん、椅子に行儀よく座っていらっしゃる。
一目見てあきらめた。

デパート周りの人出は相当なものがあった。
少しでも人混みを逃れるため、
日本橋(地番ではなく本物の橋)を南に渡り、
やって来たのはコレド日本橋内の「天ぷら魚新」。
以前は六本木に本店を構えた老舗だったが
コレド出店のあと、本家を閉じたものの、
最近、再び西麻布に開業した「魚新」である。

スーパードライで一息ついて注文したのは穴子天丼。
1尾(1500円)、2尾(2300円)とあるうち、
朝食を抜いたこともあって2尾でお願いした。
1尾につき800円の穴子はビール中瓶と同値になる。
ちなみに相方は特製天丼(1700)を択んだ。

多めの丼つゆが気になるけれど、
ふっくらと揚がった穴子は花マル。
まとったコロモ、使用する油、ともに良し。
穴子半尾と海老1本の物々交換も効果を発揮し、
美味しくいただけた。

脇役のお新香は、きゅうりぬか漬け・しば漬け・京菜。
ちと、おざなり感が否めない。
しじみ赤出しは出汁が不十分でコク味に欠けた。
コーヒーに例えれば、エスプレッソである必要はなくとも
アメリカンではあまりにもの足りない、ってな感じ。

コレド日本橋からお江戸日本橋を北へ渡り返し、三越へ。
いや、大変な人気ぶりじゃないか―。
当日券(800円)を求める入場者が列を成していた。
これを見てイヤな予感がしたものである。

案の定、会場内は芋を洗うが如く。
写真を見られずに人々の後頭部ばかり拝んでいる。
耐え忍んではみたものの、15分でギブアップ。
そもそも小展・大展問わず、日本の会場は入場過多だ。
ほとんど日本人だけでこの状態なのに
もしも近隣国の大群が襲来したらどんな状態に―。
想像するだに恐ろしや!

「天ぷら魚新」
 東京都中央区日本橋1-4-1コレド日本橋4F
 03-5205-7661

2018年5月9日水曜日

第1867話 忘れられた昭和の町 (その3)

都営荒川線・梶原駅そばの「力食堂」に入った。
煙たなびく店内を進み、奥のテーブルに着く。
カウンターがあるにはあるが客用ではない。
おびただしい数の眞露(ジンロ)のボトルが所狭しだもん。

スタッフはママらしき(女将という感じじゃない)人と
近所の奥さんのパートみたいな方の2名。
スーパードライの中ジョッキをお願いして
壁に貼り出されたおすゝめ料理の短冊群を見上げる。
誰が書いたか存ぜぬが、いや、達筆である。
殊に”とんかつ”の四文字は見事というほかはない。
失礼ながら店の雰囲気にまったくそぐわない。

にんにく揚げ、チョリソ炒め、羽根つき餃子、鯵フライ。
そんなこんなが並んでいた。
中からミックスフライ(480円)を注文。
種類に富めば、すべてハズレのリスクを回避できるからネ。

生ビールと一緒に運ばれた突き出しは
刻んだオクラに花かつおを散らせたもの。
割り箸で不作法を承知の寄せ箸に及んだら
スススーゥっと手前に寄って来た。
ハハ、小鉢は軽いプラスチックでありました。

あらためて店内を見回す。
いやあ、「ますや」もそうだったが
ここも相当な年代物である。
こういうところが東東京の大きな魅力で
新興の西東京では出逢えるハズもない。

届いたミックスフライはドデカであった。
皿を埋め尽くしていたのは
鰺フライ1枚、メンチカツ1枚、かきフライ2個。
なあんだ、大したことないじゃん! ってか?
冗談じゃないよぉ、サイズがスゴいんだよぉ!

かきフライは他店とほぼ同じだからノー・プロブレム。
問題はメンチである。
女性の化粧台に配備されてる手鏡みたいなヤツ。
こんなん完食できるかな?
そして大問題は鰺だった。
設計用の三角定規もかくやと思われたほど。
こんなん完食できるワケがない。

2杯目の中ジョッキに援護されながら奮闘の結果、
皿には鰺が半枚食べ残った。
もう、あきまへん。
〆張月の冷たいのを1杯なんて算段も吹っ飛んだ。

なあんて綴りながら、尾久の「よしみ食堂」のこともあるし、
近々このエリアを再訪するのはほぼ確実。
忘れられた昭和の町を、J.C.はけっして忘れるものか―。

=おしまい=

「力食堂」
 東京都北区上中里3-18-6
 電話ナシ

2018年5月8日火曜日

第1866話 忘れられた昭和の町 (その2)

尾久駅前の北区・昭和町。
「よしみ食堂」の臨時休業にガックリ。
しからばと明治通りを北西に向かって歩く。
昭和町は2丁目から3丁目と、その地番を換えてゆく。
 
15分は歩いたかな。
2軒目として狙いを定めた「力食堂」に着いたのは17時前。
まだ暖簾は出ていない。
隣りの床屋の店先で赤・青・白のサインポールが
クルクルと回っていた。
 
踏切を渡ってこれもまた、
昭和の匂いに満ちた商店街を行き来して時間をやり過ごす。
しばらくしてから戻っても店は閉じたまま。
とっくに17時を過ぎてるのになァ。
営業時間は厳守してほしいものよのぉ。
 
バカ面下げてひたすら待つのは性に合わない。
通りの反対側、上中里のさびれた商店街を散策する。
理容室、ヘアサロンと名は変われど、
やたらに床屋の多い一廓である。
ホンの5分少々で4本のサインポールに出くわした。
どうなってんのヨ、この町は!
 
ほどなく古びた町の中華屋に遭遇した。
袖看板に「中華そば ますや」とある。
中華そばはともかくもビールが飲みたい。
思い切って入店する。

初老に差し掛かったオジさんによれば、
サッポロとキリンがあってどちらも大瓶。
黒ラベルを選択し、中華そばとともに注文する。
そのときオジさん、テーブルを拭いてくれたのだが
台拭きを見てびっくり仰天。
クシャクシャのタオルが煮しめられたように黒ずんでいる。
(勘弁してくれよぉ!)
心の中で叫ぶ自分がいた。

中細ちぢれの多加水麺にスープはあっさり醤油味。
具はもも肉チャーシュー、細切りメンマ、鳴門巻き。
懐かしさはあってもズバ抜けて美味しいというのでもない。
あとで知ったことながら、創業六十有余年の大老舗だった。

18時近くになって「力食堂」に舞い戻ると、
今度は立て看板に灯りが点っていた。
やれやれ。
先客は2人連れ1組で、かなり出来上がっている。
彼らの卓の灰皿はすでに吸い殻でいっぱい。
ヘビースモーカーズなんだねェ。
まっ、こういう場所では当たり前の光景でありましょう。

=つづく=

「中華そば ますや」
 東京都北区上中里2-38-10
 03-3911-8719
 

2018年5月7日月曜日

第1865話 忘れられた昭和の町 (その1)

東京都民に忘れ去られた町、
荒川区・尾久(おぐ=Ogu)。
JR東北本線の尾久(おく=Oku)駅は
宇都宮線、高崎線も乗り入れている。
上野駅から一つ目の尾久の次駅ははるか遠い赤羽。
並走する京浜東北線と比べると、極端に駅数が少ない。
京浜東北線は上野―赤羽間に7つもの駅がある。

温泉が湧いたことから大正期には都心の近場の行楽地として
それなりの賑わいを見せたそうだが
近年ではその存在すら知らぬ都民も多かろう。
なぜだろう? なぜかしら?
察するに、ナ~ンもないからだろうヨ。

尾久と聞くと、J.C.の第一感は阿部定事件。
待合「満佐喜」で発生した猟奇的殺人事件だ。
二・二六事件、上野動物園クロヒョウ脱走事件とともに
昭和11年三大事件の一つに数えられている。
ちなみに大島渚がメガホンをとった映画「愛のコリーダ」は
この事件を克明に描いたものだ。

阿部定事件についてはあえてここで語らぬが
忘却の町、尾久を十数年ぶりに訪れた。
上野駅から宇都宮線に乗って尾久駅に降り立つ。
前述したようにホームに流れるアナウンスは
”おく=Oku” であった。

駅名を決める際、責任者が”おぐ”を訛りと勘違いし、
勝手に”おく”と思い込んだためらしい。
そんなことってあるのかネ?
まっ、いいや。

ホームに立って南側を眺めると線路また線路。
ほぼ隣接する田端駅との間に
JR田端・尾久操車場があるからだ。
山手線が乗り入れる田端と異なり、尾久の乗降客は少ない。
1日1万人に満たず、これは都区内にあるJR駅では
越中島、上中里に次ぐ少なさだという。

駅の北側を明治通りが走っている。
このあたりは北区・昭和町。
どうりで昭和の匂いが残っているわけだ。
道行く人の数もまばらであった。

本日の目当ては昭和町の「よしみ食堂」。
そして都営荒川線・梶原駅近くにある「力食堂」。
定食を食べたいわけではないが
食堂のハシゴ飲みを遂行するためにやって来た。

明治通りの裏筋にある「よしみ食堂」はすぐに見つかった。
見つかったけれど、店先に1枚の貼り紙があるじゃないか。
ややっ、何てこったい!
この日、夜の営業はお休みだとサ。
店主が病院に行くんだとサ。
思わず天を仰いだ。

=つづく=

2018年5月4日金曜日

第1864話 「三州屋」転じてブラッスリー (その2)

神田は日銀通りの脇道にある「ブラッスリー・ザン」。
そのカウンターで
プーレ・ロティの匂いに食欲をかき立てられていた。
匂いの元は何だ!ってか?
使いなれない仏語でごめんこうむりやすが
ローストチキンにごさんす。

思い起こすのはブラッスリーの発祥地、
フランス北西部のアルザス・ロレーヌ。
地方で最大の都市はシュトラスブールだ。
J.C.がこの街を訪れたのは1974年の夏。
夕刻にはルクセンブルグへ向かう列車に
乗り込む予定の昼下がりだった。

川のほとりで草の上の昼食とシャレこんだ。
目の前に拡げたのは軽めの赤ワインとバゲット。
そして1羽のプーレ・ロティだった。
いえ、正しくはプッサン・ロティ。
プッサンは雛鳥のことである。
とてもじゃないが親鳥1羽は食べ切れないからネ。

そんなことを思い出しながら神田で注文したのは
前菜代わりのキャロット・ラペ、豆サラダ。
加えてメインのプーレを半羽(1200円)。
ほとんどの客はこれを目当てに集まって来る。

白ワインに移行、ボトルでなくグラスでお願いした。
1杯目はホブノブのシャルドネ。
キャロットよりも豆によく合う。
続いてアンディアンはソーヴィニヨン・ブラン。

焼き上がったプーレが運ばれた。
総じてチキンは好きだが中でもロティは大好物。
日本式の焼き鳥はあまり好まない。
正肉・ねぎ間に魅力を感じず、
それならハツ・レバー・背肝など臓物に疾る。

胸肉、いわゆるアバラの部分を二つに分けてかじりつく。
うむ、ウム、旨い、ウマい。
これが正しいチキンの味わい方だと思う。
それに昨今は東京の焼き鳥屋がずいぶんと高級化した。
江戸前鮨と同じ道を歩むのかと思うとゾッとする。

赤ワインに切り替え、ルーマニアのラヴィというのを―。
アバラの周り、特に背肝との相性がよろしい。
赤の2杯目、テンプラニーリョのヴァルサンソも悪くない。
当店のグラスワインの品揃えは
ビールのそれに反してまことにけっこうなり。

プーレはテイクアウトも可能。
近くにあればちょくちょく持ち帰るのになァ・・・。
骨付きもも肉にかぶりつきながら
そう思った次第なり。

「ブラッシュリー・ザン」
 東京都千代田区鍛冶町1-7-1
 03-3251-2233

2018年5月3日木曜日

第1863話 「三州屋」転じてブラッスリー (その1)

もう二度とふれないと言いながら
またもや「三州屋 神田駅前店」。
いえ、これにはワケがあって
先述したが当夜は相方とJR神田駅での待合せ。
駅へ歩く途中、「三州屋」の脇を抜けたものの、
店先に立たなかったがため、
翌週閉店の貼り紙に気づかなかったワケであります。

さて、その夜。
目当ての店にフラれたわれわれは
日本の大衆酒場の代わりにフランスのブラッスリーを択んだ。
ブラッスリーとは何ぞや?
カフェ、ビストロ、レストランのように
飲食店の一業態を表すのがブラッスリーである。

J.C.的にはビストロからはワインの香り、
ブラッスリーからはビールの匂いを嗅ぎとっている。
もちろん、今となってはビール第一主義者となった身、
ブラッスリーは大好きだ。
しばらく訪れていないがパリに着いたら
真っ先にブラッスリーへ足を向けていた。

やって来たのはJR神田駅南口から日銀通りを進み、
すぐに左折した裏路地。
学生時代に世話になった酒場は「清龍 池袋店」だが
その神田店のある筋である。

しかし今宵は「清龍」の前を素通りして
「ブラッスリー・ザン」に入店。
まだ宵の口だというのに相当の繁盛ぶりだ。
カウンターの片隅に肩を寄せ合い、
ってゆうか~、椅子と椅子の間隔が狭いから致し方ない。
これをセクハラと言われたらやりきれんぜヨ。
だから満員電車に乗るのがイヤなんだ。

まっ、それはそれとして、このブラッスリー。
ビールの品揃えがあまりにお粗末。
プレモルにヴァイス(白ビール)、
そしてこれもサントリーのアルト。
もともとパリのブラッスリーは
アルザス・ロレーヌ地方から移住してきた人々が
ビール好きなドイツ系住民のために開いたのが始まり。
ヴァイスはともかくもプレモルやアルトが
ドイツ人の口に合うワケがないヨ。

文句を言ってても始まらないから
比較的好みに合うアルトを所望した。
相方はグラスの泡を選択。
ボードのメニューを眺めながら互いの近況を語り合う。
そのあいだにも香ばしいプーレ・ロティの匂いが
鼻腔をくすぐっていた。
そう、ここはプーレ・ロティの専門店であります。

=つづく=

2018年5月2日水曜日

第1862話 「男女6人ピザ物語」 (その3)

湯島の「アランジャルシ」にて
その名もピッツァ・アランジャルシをいただこうとしている。
6ピースに切られた円盤上には
水牛のモッツレッラ、プチトマト、ルッコラが盛られていた。
牛乳のチーズではなく水牛乳、バジルの代わりにルッコラ。
マルゲリータのプレミアム・ヴァージョンといった景色だ。

サルデーニャのDOCワイン、
カンノナウが相性の良さを見せている。
余韻にネッビオーロにも似た匂いを
嗅ぎとったような思いがしたのは気のせいだろうか―。

3枚目のピッツァはルナ・ロッサ、直訳すれば赤い月。
その名の示す通り、ふくらみを持つ半月形をしている。
イタリア各地やニューヨークあたりでよく見る、
三日月形のカルツォーネに酷似しているが
こちらは半月により近い。
読者は巨大な餃子を思い浮かべてください。

ルナ・ロッサのフィリングはマルゲリータ同様に
モッツァレッラとトマトだ。
いわば二つに折りたたんだマルゲリータである。
サンドイッチに例えるなら片面ブレッドのオープンサンドを
両面ブレッドのオーソドックスなサンドにしたカタチ。
もっともピッツァはオープンサンドのようなものだが
サンドイッチ好きのニューヨーカーは
ピッツァを2枚重ねにして食べる輩があとを絶たない。

最後を飾る4枚目はクワトロ・フォルマッジ。
4種のチーズの競演である。
パルミジャーノ、ゴルゴンゾーラ、モッツァレッラに
あと1種はおそらくリコッタだろうか。
これは好みで蜂蜜と一緒に味わうけれど、
J.C.は赤ワインに悪影響をもたらす蜂蜜は使わない。
蜂蜜のせいで優良赤ワインがダメージを受けることを
俗にハニー・トラップと言う。

みなさんかなりお腹が膨れてきたものの、
せっかくだからとパスタを追加する。
ヴェスヴィオなるカタツムリに似た形状のパスタを
異なる2種のソースでお願いした。

ヴェスヴィオは西暦79年の噴火で
ポンペイの街を壊滅させたあの火山。
あまりカタチは似てないが
そんなイメージで造形されたようだ。

1皿目はホタルイカのトマトソース。
ホタルの持ち味が発揮されずに、ちと残念。
2皿目はナポリのジェノヴェーゼ。
東京の大阪風みたいなヘンテコなネーミングだ。
こちらもパッとせず、ヴェスヴィオは大量に売れ残った。

当夜のパンチDEデートの出席者の中にも
売れ残っているのが約数名。
これは当然の帰結でありましょう。

=おしまい=

「アランジャルシ」
 東京都文京区湯島4-6-17
 03-3812-9616
 

2018年5月1日火曜日

第1861話 「男女6人ピザ物語」 (その2)

切通坂を挟んで湯島天神の向かいにあるピッツェリア、
「アランジャルシ」のテーブルを男女6人が囲んでいる。
ワインやピッツァにウルサい紅組の意見をくみ取りながら
注文を進めていった。

白はアブルッツォとシチリアのシャルドネの2種。
赤はサルデーニャのカンノナウ(グルナッシュ)と
カンパーニャのアリアニコの2種。
全て南イタリアの産である。
リストに北部乃至中部は皆無、南部しかないのだ。

メニューはむろんピッツァが主体で
あとは数種のアンティパストとパスタがあるくらい。
アンティは店主任せの盛合せでお願いし、
4種のピッツァをオーダーする。
パスタは腹の具合を見極め、のちほどというスタイルにした。

協議の結果、択んだピッツァは4枚。
チーズを使わぬマリナーラ、
店名を冠したアランジャルシ、
月形のルナ・ロッサ、
4種のチーズのクワトロ・フォルマッジである。

最初に突き出し代わりのゼッポリーネとフォカッチャが来た。
ゼッポリーネはピッツァ生地に
海藻を練り込んで焼き上げるナポリの名物。
これはこれで美味しいが
ピッツァの大群が控えているというのに
もう一工夫あってよい。
胃袋が小麦粉だらけになっちゃうヨ。

アンティパスト・ミストは何だったっけな?
5種ほどあった気がするけれど、
思い出せるのはとマトのブルスケッタ、
イタリア風オムレツのフリッタータ、
いかリングのマリネに野菜を添えた、
いわばインサラータ・カラマーリ、
以上、3品のみ。
小海老のフリットがあったような、なかったような・・・。
まっ、可も不可もナシってところなり。

最初に運ばれたマリナーラがとてもよろしい。
ニンニクとオレガノが効果的に使われて
風味にインパクトがあった。
ここにアンチョヴィが加わればナポレターナとなる。

通常、マルゲリータに走りがちなピザ屋での選択肢。
あえてモッツァレッラ未使用のマリナーラを
トップに持って来たが仲間たちの評価は高かった。
マルゲリータ以上に基本中の基本、
読者諸氏にぜひとも推したいマリナーラである。

二番手は店名そのままのアランジャルシ。
オペラの世界ならリゴレットやアイーダ、
はたまたトスカにトゥーランドット、
いわゆるタイトルロールだ。
はて、どんなピッツァが現れることやら・・・。

=つづく=