2013年9月10日火曜日

第661話 ハマの市場へ行きました (その1)

魚河岸となると、築地にはちょくちょく出向く。
ただし、鮨屋にはまず入らない。
あれは江戸前鮨ではなくて築地寿司だからだ。
酢めしに鮮魚をおっかぶせただけの代物は断じて鮨ではない。

稚魚の高騰のせいで鰻屋が苦戦している。
需要と供給のアンバランスから天ぷら屋も激減した。
すき焼きなんかウチで食えるものねェ。
日本人が一番好きな鮨でさえ、相当にあぶない。
さように日本の食文化の根幹を支える料理屋が
揃って苦境に立たされている。
悲しいなァ、ホンにお店はつらいよ。
見通しが明るいのは、せいぜいそば屋くらいのものだ。
あとは焼き鳥屋とトンかつ屋か?

あいや、今話は嘆き節に非ず、魚河岸のことであった。
東京に河岸があるごとく、横浜にもちゃんとある。
余談ながら吉幾三のCD、「横浜」を聴きながら書いている。

 ♪ 国を超えて ことば超えて
   愛に溺れた 横浜・・・・・・ ♪

うん、実に名曲だ。

ハマの卸売市場には行ったことがない。
さすれば、一度行きたいと思うのは人情、
8月のある日、出陣を決意した。
流れるBGMはいつの間にか「笹舟」に替わっている。

お盆前の吉日、京浜急行の乗客となって東京を南下した。
同行者は鎌倉武士の末裔、P子である。
当ブログではすでにおなじみのレギュラーメンバーですネ。

横浜駅で待ち合わせ、
よせばいいのにクソ暑いなか、目的地までトコトコ歩いて行きました。
砂丘を越えて行きました・・・お姫さまとともにラクダにまたがって・・・
ハハ、それは冗談、御宿じゃないから砂丘なんてありゃしません。

でもって、汗をかきかき、到着した横浜中央卸売市場。
ありゃりゃァ、やっちまったヨ、何にもないじゃん。
ひょいと姫君の横顔を見やると・・・
怒ってる、怒ってる、間違いなく怒ってる。
(何が楽しくて、こんなとこまで連れて来たの?)
無言の圧力が伝わってくる。

白いハンカチで額の汗をぬぐってやりたいところだが
あいにくJ.C.はハンカチの持ち合わせがない。
その代わり、ティッシュは肌身離さず携帯している。
汗を拭くにも鼻をかむにも使い捨てのティッシュが便利。
外人みたいにハンカチで鼻はかめんもん。

遠路はるばるやって来たハマの魚河岸。
それにはちゃんとした理由がありました。

=つづく=