2013年9月2日月曜日

第655話 変わらぬ味と変わった味 (その2)

昔恋しい昭和のパンのことである。
エッ、三つ島(みつじま)って何だ! ってか?
これはですネ、菓子パンの1種なんですヨ。
家紋に重ね三つ星というのがあるが、それと同じカタチ。
三つ星といっても星が三つではなく、
丸い団子を三つ、くっつけ合わせたような形状をしている。
重ね三つ星
三つ島パンは丸い三つのパンの中に
それぞれジャム、クリーム、あんこが入っている。
1個で3度美味しい優れモノなんです。

いけねっ! 今話はパン屋じゃなくって中華屋がテーマだ。
千駄木の「砺波」と根津の「中華オトメ」であった。
自著「J.C.オカザワの古き良き東京を食べる」において
2軒をガイドしたので、そこのところを引用してみたい。

=「砺波」=

■野菜そばに恋をした

大好きな店である。
近くにあれば中華そばが食べたくなったときに足繁く通うハズ。
初老のご夫婦だけの切り盛りだ。
滑舌のよいオバさんの接客が丁寧で好感が持てる。
店名から察すると、お二方もしくは旦那さんの出身地が
富山県の礪波市なのかもしれない、おそらくそうだろう。

ラーメン(500円)はスープに化調を感じても
味のバランスは崩れていない。
中細ちぢれ麺は粉々感が心地よく好きなタイプ。
焼きそば(600円)は柔らか麺のあんかけスタイルだ。
豚小間・きくらげ・野菜のあんに練り辛子がたっぷり。
「三丁目の夕日」の時代の味と香りがして、
酢を垂らしたら、より舌と鼻腔が反応した。

週末のせいか、小体な店に近所の家族連れが数組詰め掛け、
地元の人たちの愛着度がよく伝わってくる。
壁の品書きには街の中華屋の定番以外に
鯵フライライス・いかフライライス(各700円)・
かつ丼(750円)なんかも並んでいる。
隣りの卓のお母さんが食べていた野菜そば(550円)がとても美味しそう。
野菜そばは他店のタンメンとまったく同じだ。

どうしてもタンメンが食べたくなり、半月後に再訪。
餃子(550円)でキリンラガーの大瓶を飲む。
その夜はオジさんが留守らしく、オバさんが調理場とホールの一人二役だ。
やがて運ばれた清楚なタンメンに一目惚れ。
純白の小さなドンブリもまた可憐で
こんなに可愛いタンメンは東京中探し歩いてもまず見つからない。

つい先日も旧知の友人を伴い、野菜そばを食べてきた。
以前とまったく変わらぬ味に心和ませたのだった。

=つづく=

「砺波」
 東京都台東区谷中2-18-6
 03-3821-7768