2025年4月29日火曜日

第3785話 看板に 偽りとまでは 云わんけど

残り少なくなったキャッシュを
日暮里駅前の銀行で補填し、
そのまま錦糸町行きのバスに乗った。
ひさご通りと千束通りのつなぎ目、
奥浅草でゲット・オフ。

ひさごのアーケードを抜け、
ホッピー・ロードを南に進む。
途中、五重塔通りを右折して
六区ブロードウェイ方面へ。

最近はこの通りを
奥山おまいりみちと称するらしい。
誰が変えたか知らんが
やりたい放題だな、ったく。
ここで目が留まったのは路傍の看板。

これだよこれ こういうのが
いいんだよなぁ
昔ながらの 中華そば

その下の大写しの写真には
チャーシュー2枚・シナチク・ナルト・
ほうれん草・海苔・ねぎを載せた、
中華そばが写し込まれていた。

数年前に開店したことを知っていたが
利用したことはない。
店名の「参食堂」は
参道、お参りに由来しているのだろう。

最近の昼めしは日本そばや中華そば。
胃に優しい麺類が多い。
そのぶんビールは人並み以上に
しっかり飲むけどネ。
何やってんだァ、お前!
云われても返す言葉が見つからない。

入店した。
若いアンちゃんのワンオペである。
アサヒの本場・浅草でドライ中瓶と
名代の中華そば(750円)を通す。

中太ちぢれ麺にフツーの醤油スープ。
細かい刻みねぎが全体に散って
チャーシューは肩ロース。
麺もスープもそれなりに旨く、
水準には達している。

でもネ、懐かしさに乏しいんだ。
”昔ながら”と言えば、かつてこの近くに
日本の中華そばの元祖「来々軒」があった。
食べたことないけど、ああいうの食べたい。

店頭の看板に偽りあり。
とまでは云わないものの、
心の片隅に小さな屈託が生じた、
暖かい春の午後でした。

「参食堂」
 東京都台東区浅草2-5-9
 03-5380-3735