2015年3月13日金曜日

第1054話 閃いて日暮れの里 (その2)

JR山手線・京浜東北線、
そしてこのほど将来の全線再開通が報じられた常磐線、
加えて京成線に日暮里・舎人ライナー、
ちょいとしたターミナルでありながら
どこか都会ばなれしたローカル色の漂う日暮里にいる。

「いづみや」のカウンターは細いのが二本差向い。
牛丼のチェーン店をイメージしてもらえばいいが
雰囲気はずっとずっとレトロだ。
べつに腹は空いてなかったが
大衆酒場においては一人一品のつまみは暗黙のルール。
T栄サンと意見の一致をみて最初にかきフライを注文した。
5分少々で揚げ立てが運ばれる。
やや大きめのが4粒にキャベツとレモンの輪切りが添えられていた。
ナリは小さくなってしまうがコロモはもっと薄めにしてほしい。
ウスターソースをたっぷりかけてB級グルメ風とした。

壁の貼り紙に目がとまる。

=いづみや名代梅割焼酎始めました=

ふ~む、一昨年夏の大宮本店では見掛けなかったものだ。
ご丁寧に”梅割”部分は赤字で染められてている。
試してみたいと思う反面、
最近始めたものに”いづみや名代”もなかろうぜ。
と、判っちゃいるけど、頼んでしまう。
しかもこれがまた210円なのである。
赤羽「まるよし」ではさんざ金210円也のつまみをむさぼってきた。
こういうことって重なるのよねェ。

1分と経たずに目の前に置かれた梅割焼酎はかなり色が濃い。
ウイスキーの水割りより濃く、ウーロン茶くらいだろうか。
東京下町ではハイボールに店独自の梅シロップを混入させるが
そのスタイルとは一線を画している。
画しているが比べれば”下町味”に軍配だ。

二人での来店だから、つまみをもう一品頼まねば―。
品書きを吟味していてまぐろモノに行き当たった。

 まぐろぶつ 510円  山かけ 570円  まぐろ刺身 800円

相方に
「まぐろでもイッてみる?」―こう振ると
「お任せします」―とこられて
お願いしたまぐろぶつであった。

べつに安いから注文したわけではない。
銀座・赤坂の割烹ならいざしらず、
東京の酒場ではまぐろ刺身より、
まぐろぶつのほうが粋なのである。
鯔背(いなせ)なのである。
コレは読者の方々にもぜひ覚えておいていただきたい。

能書きが先行してしまったが
結局は薬局、ぶつはあんまりよくなかった。
本店の目刺しよりはマシだったけれど、オススメはしませんネ。

「いづみや」
 東京都荒川区西日暮里2-18-5
 電話ナシ