2015年3月26日木曜日

第1063話 ボナセーラ・トライベッカ (その2) 古く良かりしニューヨーク Vol.8

「J.C.オカザワのれすとらんしったかぶり」のつづき。

=ボナセーラ・トライベッカ(上)=

引き続きトライベッカの「Arqua」。
主菜では仔牛レバーのヴェネツィア風、地鶏の蒸し焼き、
骨付きうさぎのソテーと安定感抜群。

ブロックの角地にあり、窓を大きくとってあるから
陽光燦々の昼下がりも、窓ガラスに二人の横顔が映る夜更けも
それぞれに趣きがあって居心地がいい。
ただし、トイレにゆくのにキッチンの真ん中を横切らねばならず、
日本の女性は気恥ずかしい思いをするかもしれない。
ここは米人女性に倣い、毅然と胸を張って通り抜けるしかない。
たとえ、胸に自信のない方でさえも・・・。

=ボナセーラ・トライベッカ(下)=

先週に続きトライベッカのイタリアンを紹介する前に
訃報を伝えなければならない。
過日、気に入りのポルトガル料理店、
「Tasca do Porto」を訪れて愕然とした。
いつのまにかフレンチビストロに変身していたのだ。
ステイク・フリッツやシュークルートなどに並んで
イワシの塩焼きが残っている。
前店の残滓と呼ぶほかはない。

「Barocco」、この店の料理は大好きだ。
アンティパスト(前菜)は魚介類のサラダ、サーモンのグラヴラックス、
牛肉赤身のカルパッチョとスタンダード・ナンバーを中心にはずれナシ。

日本に帰国した際、天ぷら屋に立ち寄ると、
スミイカにせよ、アオリイカにせよ、
イカ天はまず外さないほどイカ好きなくせに
イタリア料理屋ではめったに食べないカラマーレ・フリット。
しかし、「Barocco」のそれは花マル。
旨みを閉じ込め、カラリと揚げきっている。

パスタはフェットチーニ、ラヴィアオリ、ラザーニャが自家製の生。
スパゲッティーニ、ペンネ、リガトーニ、ガルガネッリが既製乾麺。
すべて秀逸のなか、
小ダコのガルガネッリとポルチーニのラザーニャが抜きん出ている。
殊にラザーニャはミートソースとベシャメルソース、
二つのソースの絡みが絶妙だ。

主菜ではペッシェ(魚)なら尾頭付きスズキのロースト。
食材の鮮度、火の通し、タイムによる香りづけ、
付け合せのブロッコリー・レイヴに至るまでパーフェクトだった。

カルネ(肉)は骨付きうさぎのロースト。
焼き色美しく、ローズマリーが香り、
黒オリーブの塩っ気とトマトの酸味が味を引き締め、
噛みしめると一瞬、奥歯をはね返す弾力が頼もしい。
絶品のこのウサちゃん、お出かけしていることが多く、
留守どきの穴埋めには若鶏か仔牛を召し上がれ。

=つづく=