2015年3月27日金曜日

第1064話 ボナセーラ・トライベッカ (その3) 古く良かりしニューヨーク Vol.8

さらに今は無き、読売アメリカ現地版連載の
「れすとらんしったかぶり」をつづけます。

=ボナセーラ・トライベッカ(下)=

「Acappella」。
イニッツィオ(お通し)に出たズッキーニのフリットが
苦みばしって美味しい。
ノルウェー産サーモンのカルパッチョ、
ニュージーランド産ム-ル貝の白ワイン蒸しもよいデキだ。
3種のパスタの盛合わせがいろいろと楽しめて素敵。
とある夜はフジッリ、パッパルデッレ、
パリア・エ・フィエノの組合せだった。
パリア・エ・フィエノは直訳すると麦わらと干し草。
その名の通りに薄黄色と薄緑色の2種類の麺が絡み合っている。
東京ではまず見掛けないオサレなパスタだ。

高級魚・ブランツィーノ(地中海スズキ)の仕上がりは
クリームが重たく、塩気も強いものでまったく感心しない。
骨付き仔牛のチョップは仔牛そのものよりも
添えられた揚げじゃが芋のほうが美味。
とかくこの世はままならぬ。

高い天井が快適な空間を生み、入店の際の第一印象は好ましい。
ただ照明が暗すぎてメニューを読むのに一苦労も二苦労もする。
ムード優先のアメリカ人にはよいかもしれないが
子どもの頃から 
 ♪ 明る~い ナショナル ♪
を聴かされて育った日本人にはあまりにも暗い。
いやいや、ドイツ人のゲーテだって叫ぶだろうぜ、
「もっと光を!」と―。

=おわり=

「J.C.オカザワのれすとらんしったかぶり」は
読売アメリカ紙上にておよそ4年間(1993~97)連載された。
主としてニューヨークの”食べ歩記”ながら
一時帰国の際に訪れた東京をはじめ、日本各地の店々や
往時、毎年のように休暇旅行に出掛けた、
パリのレストランをも紹介したものだ。
幸いに読者の好評を得ることができ、
この連載から”読売グルメ倶楽部”なるサークルが生まれたのだった。

パリ・リヨン・ブリュッセル・ローマ・ヴェネツィア・ミラノ・
マドリッド・バルセロナ・イスタンブール・ベルリン・ストックホルム・
ロンドン・ケベック・モントリオール・シカゴ・サンフランシスコ・
ブエノスアイレス・シンガポール・香港・マカオなどなど、
世界中の都市を食べ歩いたが
世界の二大食都はニューヨークと東京に尽きる。

幅の広さ、奥の深さにおいて他の追随を許さないのだ。
二大食都のそれぞれの最強料理は
東京が江戸前鮨、ニューヨークはイタリアン。
誰が何と言おうと、これだけは自信を持って断言できやす。

=おしまい=

「Gigino」
 323 Greenwich St
 212-431-1112

「Arqua」
 281 Church St
 2121-234-1888

「Barocco」
 301 Church St
 212-431-1445

「Acappella」
 1 Hudson St
  212-240-0163