あのヒラタ、といっても
三元豚で有名な「平田牧場」では
ございやせん。
港区・麻布十番で
イタリアンの最高峰に君臨する、
「ヒラタ」のことであります。
そばとも・MきサンのBDイヴ。
おめでたい日の前夜を
祝うのに日本そばじゃ、
あんまりなので箸をフォークに
持ち替えることと相成った。
遠藤ビルの3階が
「クッチーナ・ヒラタ」。
2階はよりカジュアルな
「ヴィノ・ヒラタ」。
今回は2階を予約し、
その窓際に案内された。
店一番の特等席である。
来る前に近所の立ち飲み酒場で
ビールをしっかり飲んで来た。
よってさっそくの赤ワインは
プロデュットリ・デル・
バルバレスコ '19
テイスティングの段階で
華やかに香った。
カメリエーレ(接客係)が
「アレルギーのあるものは
ございますか?」
J.C.、即座に応えて
「性格の悪いウエイターくん!」
「それなら大丈夫です。
お任せ下さい!」
大人しそうに見えたニイさんが
張った胸をポンとたたいた。
おう、頼もしいじゃないかー。
人は見掛けによらないネ。
赤のグラスを合わせる。
相方の頬が緩み、笑みがこぼれた。
そうでしょうとも。
NY時代に何度も飲んだ、
気に入りの造り手ですもの。
途中の腹具合を見る意味もあって
発注を前後半に分ける。
前半は
吉田牧場の焼きカチョカヴァッロ
仏産仔牛モモ肉 ツナソース添え
シャコとトマトのスパゲッティ
カチョカヴァッロは好きなチーズ。
馬のチーズを意味するこれは
もともとソレント原産だが
現在は南イタリア全域で作られ、
人々に愛されている。
湯で練り込んで整形し、
紐で吊り下げて熟成させ、
瓢箪に似た形に仕上げる。
その形が馬の鞍にぶら下がる、
振り分け袋に見えるため、
こう呼ばれるようになった。
=つづく=