2023年4月11日火曜日

第3250話 霞ケ浦のほとりへ (その2)

亀城公園を一めぐりし、市内の散策。
繁華街にやって来ると、
いかがわしい所が目につくようになった。

「酒乱歩乱」なるカラオケバーは
江戸川乱歩もビックリだろう。
巣鴨信用金庫になぞらえた、
「素股信用金娘(こ)」なんてのもあり、
こちらはモロにフーゾクだ。

ホンの数分の間でソープランドの客引きに 
声を掛けられること三度。
よっぽど好き者に見えるらしい。

冗談じゃないぜ。
こちとらフーゾクは苦手なんだ。
ってゆううかァ、まったく縁がないんだヨ。
若い頃から素人で手一杯だったから(イヤな言い方)。

あちこちほっつき歩いて
16時ちょい前にはジャーマン・レストラン、
「エルベ」に戻って来た。
エルベ川はヒトラーが最初に侵攻した、
ズデーデン地方を源に北海へ注ぐ大河である。

先刻の「亀屋」同様、
「エルベ」も6年前に存在を把握している。
何でまた、土浦にドイツ料理屋が?
強く印書に残ったのだ。

元カノ・F子に当店を提案したとき、
一悶着というほどではないにせよ、
可笑しいことがあった。

「ドイツ料理の『エルベ』で逢おうか」
「エッ? どうして『エルベ』なの?
 美味しくないわヨ、ずっと閉めてたし・・・」
「まあ、いいじゃないか」
「行かなきゃいけない理由でもあるの?」
「理由なんてないサ、ただ飲み食いするだけ。
 何か不具合な点でも?」
「だって、会社の真ん前なんだもの」
「エエ~ッ!」
「会長なんか来ると面倒だし・・・」
「会長来たら、そっちへ伝票回すヨ」
「アハッ、うん、判った。
 アナタが行きたいんなら其処でいいわ」

いや、驚いた。
茨城の片田舎といえども
土浦は人口14万を擁する街、
そこそこの広さはある。
いくらなんでも職場と店が
向かい合わせはあんまりだ。

=つづく=