2023年4月26日水曜日

第3261話 松陰神社のカフェで一息

目黒駅に戻り、バス停の物色である。
行く先を二子玉川と三軒茶屋に絞り、
思案の末、三茶行きに乗り込んだ。
途中、東急東横線・祐天寺駅前で下車を迷うが
そのまま終点まで行った。

駅前は地方選の運動真っ只中。
喧しくて街の散策何ぞしてられやしない。
東急世田谷線沿いに脱出を図った。
西太子堂、若林と歩いて松陰神社前。

世田谷通りと松陰神社をつなぐ道筋を
往ったり来たりすると閉店した店が少なくない。
最後に訪れたのは5年前だもんなァ。
そのとき入った町中華「一番」は
シャッターが降りていた。
「一番」と迷った「喜楽」もまたしかり。

飲める場所などまず無い中で
カフェが1軒だけ開いていた。
テイクアウト用の窓口から
カウンターのスタッフに声掛け。
「中でビールだけ飲めますかネ?」
「ハイ、どうぞお入り下さい。

声音もいいけど容姿もけっこう。
目元さやけき美女であった。
J.C.がもうちょい若かったら・・・
いや、さすがに無理だな。
もし息子がいたらその嫁に・・・
孫だろ! ってか? ほっとけや!

銘柄はキリンのブラウマイスターのみ。
重々しくて苦手なんだがノー・アザー・チョイス。
片目どころか両目をつぶって発注に及ぶ。
(乙女よ、キミの笑顔だけが救いなんだぜ)
口には出さず、心の内でつぶやいた。

「大利根無情」の平手造酒よろしく
息を殺して一気に飲んだ。
あと味が鼻腔に抜けるのを防ぐため、
すかさず鼻をつまむ。
何でこんな苦労までして飲まなきゃならんのだ。

メニューに山椒サワーがあり、
どんな代物か期待薄で頼んでみたら
やっぱりダメじゃん。
山椒の粉末が散り、アルコールが弱すぎる。
たぶん焼酎だな。
ワンオペの彼女に会計のとき訊ねたら
いいちことのことだった。

滞空15分で2杯飲み、
一息ついて町をぶ~らぶら。
駅の踏切脇の老舗パン屋「ニコラス精養堂」へ。
当店は驚くなかれ、大正元年の創業である。
前回も此処で買い物をした。
今夜のためにケバーブサンド。
明朝用にクロクムッシュを購入する。

遠くから神社に一礼し、
建て替え中の世田谷区役所と
国士舘大学の間の坂を降り、
テクテク歩いて小田急線・梅ヶ丘駅前に出た。
サァ、飲み直し、飲み直し。
テヘッ、頬が緩みますのぉ。

「CAFE DICT」
 東京都世田谷区若林3-17-7
 03-5431-3518

「ニコラス精養堂」
 東京都世田谷区若林1-19-4
 03-3410-7276