2014年11月18日火曜日

第971話 都内に「ときわ」は数あれど (その1)

都内に「ときわ」は数あれど

その宵は豊島区・駒込に出没。
比較的立ち寄る機会の多い町だが
久方ぶりにのみとも・M鷹サンと酒盃を交わすことになった。

訪れたのはこの町の飲み屋街・アザレア通りだ。
たかだか100mほどの短いストリートながら
飲み処に事欠くことはまったくない。
焼き鳥店「松本」、和洋居酒屋「駒っこ」などのチョイスがある中、
入店したのは「食堂 ときわ」だった。

およそ2年ぶりになろうか。
都内に50軒近く存在する「ときわ」のうちでも料理の質が高い1軒だ。
お運びのオバちゃん(女将であろう)による、
着かず離れずの接客ぶりにも好感を抱いている。

もともと大衆食堂兼大衆酒場で飲むのは大好き。
晩めしと晩酌が入り混じる空間は居心地がきわめてよろしい。
なぜか?
飲み一辺倒になると、
遅かれ早かれ、きこしめした酔客の発する騒音に
我慢できなくなるなることもしばしば。
そんな酔っ払いも隣りで学生が静かに食事中とあらば、
文字通り自ずと自制心が生まれるものなのだ。
公共の場においてはセルフ・コントロールが必要不可欠であろうヨ。

「ときわ」グループとなれば、
巣鴨のとげぬき地蔵通りに2店ある「ときわ食堂」は
母と息子の姉妹店ならぬ親子店。
ここだけは互いにサポートし合って共同経営みたいなものだろうが
ほかはみな独立採算、別経営のハズだ。

最近はあんまり見掛けないものの、
町の中華屋・「生駒軒」みたいなケースだと思われる。
もっと判りやすい例は日本そばの「藪」系列だろうか。

待合わせの時間より30分も先着したJ.C.、
気ままにビールを飲り始めた。
好みの銘柄の大瓶がうれしい。
夜も更けてからなら中瓶でも構わないが
晩酌のスタート時点では大瓶に如くはなし。

ともに運ばれた突き出しの小鉢は
和風食堂には珍しいコンビーフ・ポテトであった。
松阪牛や米沢牛使用の高級品ならともかく、
普及品のコンビーフはイヤな匂いの伴うものがあり。
あまり好みの加工品ではない。
近年はじゃが芋が混入されたニューコンビーフを見掛ける。
芋好きには手間が省け、アレはあれで便利かもしれない。

大した期待もせずに箸でつまみ上げたコンポテを
舌の上に乗せてから、ひと噛み、ふた噛み、
「ややっ、何だよコレッ!」― 一瞬、言葉を失いました。

=つづく=