2014年11月28日金曜日

第979話 巨星は星の彼方に (その4)

そう、兵隊もヤクザも結局は薬局、
母親が心のふるさとってこった。
砲弾や白刃の下で命を張れば張るほど身にしみる親心。
荒海稼業の船乗りだって帰る港があらばこそ、だろう。

それもそうだヨ、
何たって、おっ母さんは子ども製造工場の工場長。
それに引き換え、お父っつぁんは一介のしがねェ油差しだもん。
シガネー・オイリーなんちって・・・。

さて「唐獅子牡丹」だが、さらにもう一番、
「昭和残侠伝 血染めの唐獅子」だけに流れた歌詞がある。
「たいがいにせいっ!」―
そんな声が聴こえてきそうだからやめときますか。
エッ? 「もったいぶらずに吐け!」ってか?
ですよネ、ファンの方なら聴きたいッスよネ?

 ♪  鳶に命の 三番纏 
   ジャンが鳴り出しゃ 捨て身の稼業 
   とった火口は 根性で守る 
   浅草(エンコ)生まれの 男伊達 
   背中で燃えてる 唐獅子牡丹
       =間奏=
   祭囃子に詫びて行く
   背中に血染の唐獅子牡丹 ♪

何だか「昭和残侠伝」と「唐獅子牡丹」一色になっちまいやしたが
なおもここで健サン映画のマイ・ベストワン、
「昭和残侠伝 死んで貰います」でありやす。
1970年9月に公開された作品の舞台は
関東大震災前後の東京・下町でありやした。

まず、イの一番に相手役・藤純子との息がピッタリ。
シリーズ最高のコンビネーションを見せてくれる。
この頃の純子ハンはまっこと、ええオナゴやった。

高倉健・池辺良ともに料亭の板前という設定もユニーク。
健サンが玉子焼きを焼いたりもする。
ラストじゃ結局、二人して包丁をドスに握り代えるんですがネ。

脇がまたすばらしい。
中村竹弥、加藤嘉、長門裕之、荒木道子(荒木一郎のお母さん)、
みんなよかったなァ。

加えて敵(かたき)役が”群の抜”でありやした。
純ワルの諸角啓二郎、半ワルの山本麟一、
ともに一世一代のハマリ役ではなかったか。
ちなみに山本は明大ラグビー部の出身。
そう、健サンはこの大学の先輩を
立てて慕って厚い信頼を置いていたという。

=つづく