2020年10月9日金曜日

第2499話 巣鴨では猫と鰯と胡瓜漬け (その2)

街角で出逢ったロシアンブルーに心を残しつつ、
直下を都営・三田線が走る、白山通りをなおも北北西に—。
途中、巣鴨駅南口ロータリーの手前で鮮魚店に目がとまる。
うわっ何だヨこの鰯、目がキラキラ輝いて
たった今、海中からジャンプ・アップして来たかのよう。
腐ったサカナは目で判るというが、この小鰯はその真逆だ。
 
はて、どうしたものかのう?
なかなか出会えない上物にほとんど金縛り状態。
しかも3匹で100円と超破格、1匹100円でもぜひ買いたい。
To go, or not to go, that is the quetion. 
ハムレットの心境である。
 
店先に出張って来た女将さんに
「店仕舞いは何時ですか?」-問いかけると
「7時くらいですけど無くなっちゃうもの多くて
 お決まりでしたら取り置いときますが・・・」
そうか、そうしてもらおうか―。
あらためてショウケースを見渡した。
 
ケースの左端に皮目が薄いピンクの三枚おろし。
斑点の模様と色合いからホウボウだなこれは―。
普段、河岸や鮮魚店にしょっちゅう出入りしてないと
まず、このクラスのレアなサカナは見極め不能だ。
いや、自慢気でごめんなさい。
 
買い求めたのは小鰯6尾、ホウボウ2枚で
計ビッタシ1000円、消費税込みである。
1時間半ほどでピックアップする旨を告げ、
向かったのは高岩寺門前のとげぬき地蔵通り。
コロナ禍発生後、わが遊び場の上野・浅草は
つぶさに 定点観測してきたがオバアちゃんの原宿は
はたしてどんな具合であろう? そのことであった。
 
やっぱりなァ、人通りが極端に少ない。
まだ明るいのにバアちゃんはほとんどいない。
ジイちゃんは? ってか? 
そんなもん、いるわけないやろっ!
 
何度も利用している「巣鴨ときわ食堂 本店」に落ち着く。
都内に相当数存在する「ときわ食堂」の中でも
最大の繁盛店が此処だ。
界隈の3店に加え、駒込・大塚にまで展開している。
 
スーパードライの大瓶ときゅうりのぬか漬けを通した。
当店の浅めの漬かり加減が好きなのだ。
グビッ、ポリポリ、グビッ、ポリポリを繰り返してシアワセ。
J.C.にとってこの組合わせ、フォワグラ&ソーテルヌ、
あるいは、キャヴィア&ストリチナヤに匹敵するのです。
 
 =つづく=