2020年10月28日水曜日

第2512話 かきフライのバイオレンス (その2)

井之頭線・駒塲東大前の食堂「菱田屋」。

ビールを運んでくれたオネバさんに

かきフライ単品と小餃子をお願いした。

 

当店はすべてポーションが大きいと聞いていたので

定食仕立てはハナからムリと踏んでいた。

とはいってもほかに何か1品ほしいし、

軽いつまみがまったくないから

“小”の字に惹かれて餃子にしたのだ。

 

向かいの客が頼んだ、まぐろ刺身が着卓。

ジロジロ見るのは失礼につき、チラチラのぞくと、

赤身が10切れほどあるじゃないか―。

此処は独りで来る店じゃあないネ。

続いて豚肉生姜焼きが来て、これもドッサリ。

それほど大柄な御仁じゃないけどクリアできるかな?

 

「かきフライお待ちどうさま」

「ゲッ!」

見ただけでげんなり。

ひい、ふう、みい、よお・・・バカデカいのが5カン付け。

1粒が他店の2.5倍はあり、

ほとんど食堂内暴力だぞ、これは―。

 

たっぷりのタルタルソースに厚めのレモンスライス。

付合わせはキャベツ繊切りとスパゲッティサラダ。

定食にしなくて不幸中の幸いながら、とても食べ切れまい。

 

それでも別腹のビールはスイスイ入る。

黒ラベルにチェンジした、

うん、やはりこっちのほうがノド越しがよりスムース。

だけど、フライがスムースでなく、見た目通りに大味。

デカきゃ、いいってもんじゃないぜ。

 

餃子が運ばれ、これも5カン。

“小”を通したハズだが“小”なのかな?

パクリとやると肉々しいばかりで

野菜が少ないうえに餡の寝かせも足りず、旨みに欠ける。

そうこうするうち、隣りに中年夫婦、

はす向かいにヤングカップルが同席。

8人掛けは一気に密状態となった。

しかもフロント&サイドにシールドはない。

 

悪戦苦闘の末、フライ1、餃子2を残してギヴアップ。

当店の人気の秘訣はボリューム以外に理由が見つからない。

残念ながらデリカシーのかけらもないや。

そうだ、此処は定食界の「ラーメン 二郎」なんだヨ。

中高年には身体の毒。

どうしても行きたい向きは

時節柄、おすすめしないが徒党を組んで挑みましょう。

 

懸念は現実となり、

食事中のご夫婦に立ってもらって離席する。

会計は3200円ほどで、けして高くないけれど、

単身のオッサンは近づくべからずの異界が

最高学府の真ん前にありました。

 

「菱田屋」

 東京都目黒区駒場1-27-12

 03-3466-8371