2020年12月16日水曜日

第2547話 なんだ神田で 立ち飲んで

呑ん兵衛オヤジの聖地、神田にやって来た。

もっとも上野・新橋の後塵を拝するようになって

久しいけどネ。

 

♪ なんだ神田の 明神下で

  胸に思案の 胸に思案の 月をみる ♪

 

銭形平次でお馴染みの神田だが此処はJR駅前。

明神下は直線距離で1キロの北にある。

よって此度は舟木一夫の歌唱にふれず、スルーする。

 

一昨年の春に「三州屋 駅前店」が消えて以来、

訪れる理由とてなくなった神田ながら

御徒町のマイ・ブレイクルーム、

「味の笛」の支店がガード下にあるので直行する。

この本・支店の生ビールはすばらしい。

アサヒの工場直送だからネ。

立ち飲みでこのレベルは都内に数軒しか存在しない。

 

ずっと歩いてきたおかげもあって

琥珀色の液体は飛びっきり。

今宵の支店は何がさいわいしたものか、本店の上をいく。

ヘヘ、前日も飲んで来たばかりだから間違いはない。

 

昼が天丼だっただけに、つまみは何も要らないけれど

最低一品は常識、たこ&九条ねぎのぬたを所望した。

たこ自体は明石や佐島の上物なんてことは全然なく、

西アフリカのモーリタニアだろうが

辛子酢味噌の塩梅よろしく、まことにけっこうだ。

 

プラコップの生を3杯いただき、はて何処へまいろう。

明神下へでも行ってみようか―。

駅前のガードを潜ろうとして1軒の店先で足が止まった。

「大松」も立ち飲みなんだが立て看板にあった、

“氷見直送の鮮魚”に心惹かれた。

 

ふらふらっと足を踏み入れると、

仲宗根美樹の「川は流れる」がかかっていた。

富乃宝山のロック、さんま刺身を通す。

すると、このさんまがスゴかった。

ひと月前の末広町「花ぶさ」をりょうがしている。

おろし生姜、小ねぎに加え、半割りすだちにしびれた。

 

包丁を握る店主はただ者ではござらんな。

剣豪には剣豪が判り申す。

誰が剣豪だ! ってか? ハイ、スンマソン。

 

芋焼酎を一刻者(いっこもん)に切り替え、

コショウダイ(胡椒鯛)のカマ焼きをリクエスト。

いや、マイッたな、これも美味いや。

さんまは北海道だがコショウは富山湾だネ。

菊正樽酒の冷やで締め、勘定は2700円也。

 

近いうち、また神田に来よう。

生ビールはあっちの水、酒・焼酎はこっちの水。

そうそう御徒町ばかりでとぐろを巻いちゃおられまへん。

 

「味の笛 神田店」

 東京都千代田区鍛冶町2-13-26

 03-5294-0141

 

「立ち飲み 大松」

 東京都千代田区鍛冶町2-12-13

 03-5295-5470