2020年12月30日水曜日

第2557話 御苑前からサンシャイン

その日は新宿三丁目に所用があり。

昼前にはこなして喧騒を避けようと新宿御苑前に逃れた。

税金泥棒の犯行現場、御苑が右前方に見えた。

あんな恥知らずは思い出したくもないので

まずは昼めしをと「そば処 更科」に向かう。

 

客のほとんどがラーメンを注文する特異なそば屋だ。

ランチのピーク時では相席は当たり前、

先客に軽く会釈して座った。

向かいのオジさんはやはりラーメンをすすっている。

 

何も食べずに家を出たため、腹ペコくん。

だとしてもちょいとムリかな? と思いつつ、

ラーメン&ミニカレーのCセット(1000円)を通す。

ビールは自重しておいた。

 

ほぼ真っ直ぐの細打ち麺に鶏ガラ&豚骨のスープ。

水準に達していてもすばらしくはない。

以前のほうがよかったような気もする。

チャーシューはロースかな? 2枚浮かんでいる。

あとはシナチクと小松菜に長ねぎがいっぱい。

 

居合わせた15人ほどの客は9割方がラーメン。

うち半分がCセットで

ほかはカレーライスとたぬきそばが一人づつだけ。

こんな日本そば屋、ありなのかい?

 

ミニカレーは典型的なそば屋カレーで真っ黄色。

言っちゃ悪いが、お世辞にも旨いとは言えない。

卓上のウスターソースをこれ幸いと垂らしてみたら

旨くはならなかったけど懐かしさがよみがえった。

昭和の子どもはカレーにソースを掛けて食ったものだ。

 

今宵は池袋で飲むつもり。

距離があるが腹ごなしに歩き始めた。

新大久保、高田馬場を過ぎ、神田川を高戸橋で渡った。

川面を見下ろせば、つがいのカルガモが仲良く泳いでいる。

河原には数羽の土鳩の姿も―。

なるほどなァ、土鳩の別称は河原鳩だもんねェ。

 

ほどなく千登世橋に差し掛かる。

西島三重子のいじらしい歌声が流れてきた。

 

♪ 電車と車が並んで走る

  それを見おろす橋の上

  千登世橋から落とした白いハンカチが

  ヒラヒラ風に舞って飛んで行ったのは

  あなたがそっとさよならを

  呟いた時でしたね     ♪

 

「千登世橋」の歌詞の通り、

橋の下に明治通りと都電荒川線が並んで走っている。

 

鬼子母神の脇を抜け、サンシャイン60に到着。

半世紀前の1970年まで巣鴨刑務所があった場所だ。

GHQの接収時には巣鴨プリズンと呼ばれ、

幾人ものA級戦犯の絞首刑が此処で執行された。

 

「そば処 更科」

 東京都新宿区1-30-5

 03-3351-2951