2023年12月14日木曜日

第3427話 津軽の海を越えて来た (その2)

浪花の小姑が何か言ってきそうなので
ハナシを本題に戻す。

あん肝やとも和えをいただいてから
鍋にしておくれとお願いしたが
お店のアンちゃん、
「まずは鍋をガス台に置かせてください。
 火はあとで点けますから・・・」
との仰せ、異存などあるはずもない。

越後の銘酒、越乃寒梅に切り替える。
近年は獺祭の人気が群を抜くけれど
40年前はこの酒が一番人気だった。
J.C.は愛飲というほど
しょっちゅうは飲まないものの、
今でも好きな酒である。
麒麟山と並び、自分に取って越後の双璧だ。

前菜の品々の中ではやはりあん肝が際立つ。
居酒屋のソレとは一段も二段もコク味が深い。
コレにはポン酢が添えられた。
越乃寒梅との相性もバッチリだった。
とも和えはちょいと臭みが残って口に合わない。
煮こごりも鮫や穴子と比べて
別段の違いが感じられず、まあこんなものかな。

チャッカマンで鍋に着火がなされる。
一同のまなこが釘付けとなる。
土鍋と違い、ステンレス製だから
すぐに煮立ってきた。

俗に”鮟鱇の七つ道具”と言われるが
そのすべてが入っているようだ。
ここでも肝が美味いねェ。
あとはやはり上身だろうな。

永谷園のCMで茶の間におなじみの人間国宝、
六代目・柳家小さんの言葉を思い出す。
「刺身は河豚が旨いが鍋は鮟鱇が旨い」
言い得て妙である。

アンコウよ、よくぞ津軽海峡を超えて来たネ。
おっと、今度は吉幾三の歌声がー。

♪ 津軽海峡 渡る船は
  横なぐり 横なぐりの雨
  も一度 も一度 やり直せるなら
  このまま このまま 引き返すけど
  もう遅い もう遅い 涙の海峡 ♪
   (作詞:吉幾三)

「いせ源」は仲良しこよしの年忘れに
まっことふさわしいお店でありました。

「いせ源」
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