2012年2月1日水曜日

第242話 渋谷に疲れて神楽坂 (その1)

たびたび指摘しているけれど、渋谷の街は歩きにくい。
スクランブル交差点からNHKに上ってゆく通りなど、
いつも歩道から歩行者がこぼれんばかりだ。

その坂を上りきったところに利用するヘアサロンがあるので
往来を余儀なくされるが人混みを避けるため、
歩道を降りて車道を歩くのが常。
そうでもしないと目的地への進行が遅々として進まぬ。
イヤな街だよ、渋谷の街は!

このほど料理店を開業した友人O.K.を伴い、そのイヤな街へ。
わざわざ虎穴に入ったのにはワケがある。
何かの参考に「こんな設いもあるんだぜ」と
見せておきたい店舗があったのだ。

その前に行きがけの駄賃。
渋谷に来れば立ち寄る「富士屋本店」で軽く一杯を目論む。
店の前に到着してハタと思い当たった。
ポケットの中には数枚の万札と小銭しかないぞ。
立ち飲み屋で万札を出したらイヤな顔をされるからなァ。

ここで即座に一計である。
地下1階にある「富士屋本店」の地上1階部分は
同系列の「富士屋本店 ワインバー」だ。
さっそく入店して両替をお願いした。
「地下でビールを飲んだら戻って来てワインを飲むからサ」―
われながら気の利いた言い訳ではないか。

地下にてサッポロ黒ラベルの大瓶を2人でシェア。
つまみは避けて通れぬ名物ハムキャベツだ。
これは千切りキャベツにハムのスライスがかぶさってるだけ。
ただそれだけなのに人気を呼び、当店の定番になった。
支払いはたったの750円、破格のすべり出しである。
渋谷にもこんな店があるものである。

地上に移動してピエモンテの赤、バルベーラ・ダスティを。
グラスを傾けながら本日のオススメを吟味する。

 鮪の生ハム 450円  仔羊のテリーヌ 450円
 自家製コンビーフ 500円  自家製ロースハム 550円
 穴子とフォワグラのテリーヌ 600円  メンチカツ 400円
 芽キャベツのブレゼ 500円  カキのアヒージョ 650円


2人、意見の一致を見て頼んだ2品はまず穴子。
赤ワインとイチヂクのソースで来たが、こりゃ生臭くてダメだよ。
フォワグラとのコラボが不発に終わった結果だネ。

カキのアヒージョはまずまず。
アヒージョとはスペイン名物のニンニクオイル煮のこと。
通常は小海老を使用するが、カキはカキでまたよし。

さあて、ここからはいよいよ目的地。
勤皇の志士を気取り、”幕末の京都”にタイムスリップを試みる。

「富士屋本店」
 東京都渋谷区桜丘町2-3 富士商事ビルB1
 03-3461-2128

{富士屋本店 ワインバー」
 東京都渋谷区桜丘町2-3
 03-3461-2128