2012年2月27日月曜日

第260話 伝通院でイタリアン (その3)

吟味に吟味を重ね、Y里と一緒に選んだ皿はかくの如し。

前菜
 イカ墨のカプチーノ仕立て
 平目のカルパッチョ 乾燥熟成した生ハム、セロリ、林檎

プリモピアット
 ポルチーニ茸と苺のリゾット
 白子のカルボナーラ アメリケーヌ仕立て
 
メイン
 子羊のグリル 能登高農園のサラダ
 仏産小鴨胸肉のロースト 3時間オーブンで焼いた玉ねぎ

デザート
 チョコレートのスフレ 金柑のマリネとソルベ
 林檎のクランブル キャラメルジェラートとー196゜Cのバニラ

チーズ各種

パッと見て料理のネーミングが少々ダサい。
パスタ&リゾットをプリモピアット(第一の皿)としたのなら
メインではなくセコンドピアット(第二の皿)としてほしい。
なんか整合性に欠けるんだよなァ。

とにかくザッとこんな感じで選んでみたが
まず初めにメニューにも明記されていた、
能登赤土野菜のバーニャカウダが全員に振舞われた。
10種以上の野菜たちがかなりのボリュームで登場した。
おい、おい、これだけで腹一杯になっちゃうよ。
バーニャカウダ(熱い風呂)に仕立てられたソースも濃厚だしネ。
ただ、珍しい隼人瓜が仲間入りしていたのはうれしかった。

前菜の2皿はこんなものかナという印象。
カルボナーラは手打ちのタリオリーニでこれはおいしかった。
アメリケーヌは甲殻類の殻で出汁をとっている。
子羊と小鴨は水準をクリアしたものの、
記憶に残る、というほどではない。
ドルチェはめったにとらない主義につき、
すべてY里チャンの小さな胃袋に収まった模様だ。
それにしてもー196゜Cってのはスゴいや。

ほかに食指が動いた料理は

 白子のムニエル 蛤と生のりのスープ
 鰯とボッタルガ(からすみ)のリングイーネ
 コテキーノとボルロッティのリゾット

の3品である。
ちなみにコテキーノは豚の腸詰、ボルロッティはウズラ豆のこと。
この食材からはフランス南西部の郷土料理、カスレが連想される。

食べ終えての感想は全体に方向性が分散しており、
そのせいで食べ手の気もバラけてしまうのが残念。
メインは上記のほかに
佐賀県産の酵素ポークのグリルのみだから
必ずしも牛肉料理がある必要はないけれど、
やはり3皿では選択肢が狭く、寂しさを拭えない。

キャパが限られるためか、毎晩満席が続いている様子。
でも積極的にリピートする気にはなれないお店であった。
ズバッと1本、貫かれる柱が求められると痛感する。

=おしまい=

「チッタ・アルタ」
 東京都文京区小石川3-1-24
 03-6325-3703