2021年8月25日水曜日

第2727話 築地の中華は そのまんま冷やし

前日から築地本願寺そばの中華と決めていた。

明暦の大火で焼失した本願寺は元あった場所、

日本橋横山町での再建かなわず、

幕府から江戸湾海上が与えられた。

 

海の上に寺を建てろ! 

乱暴な話だが佃島島民中心の埋め立て工事により、

築き上げられた土地に復興した。

地名・築地の由来である。

 

「中華 ふぢの」は初訪問。

以前、築地場内(現在は豊洲市場へ移転)に同名店があり、

そちらは何度か利用した。

通常“ふじの”と綴るべきところ、

“ふぢの”の表記はきわめて珍しい。

何らかの関係があるに決まっている。

 

メトロに揺られながら思い浮かべていたのは

五目焼きそばor冷やし中華の二択。

到着時はあまりの暑さに冷やし一択となっていた。

 

細打ちちぢれ麺が加水多めのシコシコ。

ヒタヒタのつゆは昔恋しいケレンなき味。

具材が焼き豚・錦糸玉子・きゅうりと

おなじみの御三家に紅しょうが少々。

昭和そのまんまの冷やし中華であった。

 

入れ替わり立ち代わり現れるリーマン&OLには

チャーハンが一番人気の様子。

若い娘たちも麺類&半チャーハンと食欲旺盛だ。

 

近所のオジさんが独りで入店して来て

半ラーメン&半チャーハンを通した。

ありそうでなかなかないコンビネーションを

涼しくなったら試しに来よう。

 

会計時、女将サンに旧築地店との関連を訊ねると

あちらは女将サンの母君の実家だったが

今は何の縁戚関係もないとのこと。

往時、場内の中華といえば、

「ふぢの」と「やじ満」が二枚看板だったなァ。

 

昭和そのまんま冷やしに満足して

オモテに出ると折からのにわか雨。

新大橋通りを走るクルマがしぶきを上げている。

太陽が出てるのにこの雨足はいったい何なんだ。

 

目の前のメトロ入口に逃げ込もうとも思ったが

店先にたたずむこと5分で雨は止んだ。

これならだいじょうぶだろう。

地下に潜るのをやめて散歩を決断。

勝鬨(かちどき)橋に向けて歩を進めました。

 

「中華 ふぢの」

 東京都中央区築地3-3-9

 03-3541-6989